『星の涙』 #3
──実は、国際宇宙会議センターで開催中の〈星系代表者会議〉で歌わせていただくんです。
──そうなんですよね。どうですか? 緊張してますか?
──もちろんですよ。だって、偉い人たちばかりなんですよ? 私の歌なんか知らないんじゃないかって……
──いまや「星の涙」を知らないひとは銀河中探してもいないでしょう。泣けますよねえ、この歌。
──ありがとうございます。
──「星の涙」誕生のエピソードとかあったら教えていただきたいんですけど。
──わたしの故郷惑星ポルキアは双子の惑星なんです。
──へぇ、めずらしいですね。自転軸を中心にして並んでいるんですか?
──いえ、軸は公転軸です。太陽をはさんで真反対、同一公転軌道上にもうひとつ惑星があるんです。双子なのにお互いの姿が見えないんです。……で、ひどい失恋をしたときに、夜空を見上げていて、ふと反対側にある惑星のことを思ったんです。もしかしたら、彼らは双子じゃなくて、離ればなれになった恋人同士なんじゃないかって……そこに自分の状況が重なって……
──そちらの星にひとは?
──その星、惑星ペルキスはまだひとは住めません。
──そうですか。淋しい想いをしているのは惑星ペルキスのほうかもしれませんねぇ。