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星の女王 ~ソラの物語~  作者: 夏乃市
星をあげるよ
54/94

『星をあげるよ』 手

 死ぬような思いをして、ようやくたどり着いたボストチヌイ宇宙港で、ソラは何かを待っていた。

 いままでとは違う、だれかが助けてくれるのを待っているのではなく、獲物が掛かるのを待っていた。

 だから、彼がソラに声をかけたとき、かつてニコラスに声をかけられたときのような感慨はなかった。

 彼は、柔らかそうな金髪をした二十歳前後の若者だった。どんな理由でソラに声をかけたのか、単なるナンパか、哀れみか、そんなことはどうでも良かった。スキを見せるつもりはなかったし、求められて必要があれば、彼と寝ることだって厭わないつもりだった。

 そう、これは第一歩。

 私の人生はここから始まる。

 だから、一瞬の躊躇もしなかった。


「貰うわ。見返りはなに?」

「僕はこれからその星へ旅立つ。なにもない、田舎の星さ。僕と一緒に旅をしてくれるのが条件だ」

「そんなこと、おやすいご用だわ」


 ありがとう、とその青年は言い、すっと手を差し出した。

 ソラはその手をしっかりと握った。

 これはチャンス。

 この手は決して離さない。

 なぜなら、この手の向こうに、輝かしい未来が見えるから。



 こうして、ソラの物語が、ようやくここに始まる。



《星をあげるよ 了》

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