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星の女王 ~ソラの物語~  作者: 夏乃市
赤と青の星
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『赤と青の星』 その後 2

 ルテボボ王国の首都ラグタタ。政府専用ホテルのスイートルーム。

 最賓客待遇でそこに泊まっているのはソラ・ベルカルチャだった。

「こんな立派な部屋じゃなくてもいいのに」

「今回は女王様としての訪問ですから。社長」

 ソラのぼやきにディーアが応える。

「逃げようたって駄目ですよ。社長の腕の中には発信器が埋め込まれているんですから」

 ディーアがGPS検索用の端末をちらつかせる。最終的に〈赤の大陸〉にいるソラを見つけたられたのは、彼女の腕に埋め込まれた発信器の信号を、ベルカルチャの商船がつかまえられたお陰だ。

「私にプライバシーはないの?」

「ないです。おトイレもお風呂もばっちりです」

「また〈赤の大陸〉に逃げようかしら」

「だから、会談・面会の予定が目白押しなんですよぅ」

「……」

「まずはテール・ルゲナ翁。それからドラン宰相。場所を異動してルテボボ・ベルカルチャ宇宙重工業の役員会議。重工業の従業員代表からの面談も予定されています。その後はルテボボテレビの……」

「わかったわかった。まかせるわ」

 と、そこでドアをノックする音がした。「はい」とディーアが対応に出る。顔を出したのはスティーだった。

「社長に面会だ」

「ちょっと先輩。そんな余裕は……」

 ディーアとスティーが押し問答をしてる脇を、小さな笑顔がすり抜ける。

「ソラお姉ちゃん!」

「ネリア!」

 ソラは大喜びでネリアに駆け寄ると、その小さな身体を抱き締めた。

「お姉ちゃん、この前はありがとう!」

「あら、わざわざお礼を言いに来てくれたの?」

「うん。お母さんが連れてきてくれたの」

 ドアの外には、深々と頭を下げる母親がいた。

「この前は、大変失礼いたしました」

 ソラはゆっくりと立ち上がると、ネリアの母親に対峙した。

「ネリアのお父さんは〈赤の大陸〉で亡くなっていました」

「はい……」

「事故自体は仕方のないことだし、誰にもどうにもできなかったのかも知れない。でも、その仕事場が非合法で悪意に満ちたモノだったことが私は許せなかったの」

 ソラはネリアの母親のあごに軽く手を当てる。母親はびくっとして顔をあげた。

「貴女が再婚することはいいわ。でも、ネリアにとって、お父さんを過去のことにしちゃいけない。しっかりと向き合わせて、理解させてあげてちょうだい」

「はい」

 ネリアの母親は、ソラの眼力におののきつつ、それでも膝に力を込めて答えた。

「さ、ネリア、何して遊ぼうか?」

「社長! そんな時間ないんですってば」

「ネリア。こんな恐いお姉ちゃんみたいになっちゃ駄目だよ」

「お姉ちゃんこわーい」

「な、な、なんですかぁ。本気になったら社長の方がよっぽどこわいじゃないですかぁ!」

 わ──、とソラとネリアが両手を挙げてディーアから逃げる。

 ディーアが大声を上げながらそれを追いかける。

 開け放たれた窓からさわやかなルテボボの風が入ってくる。

 どこまでも広がる畑の上を、白い鳥がすぃと飛んでいった。

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