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星の女王 ~ソラの物語~  作者: 夏乃市
赤と青の星
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『赤と青の星』 惑星ルテボボ第一次調査報告書

『惑星ルテボボ第一次調査報告書』


 我々、ラグタタ・ルゲナ以下14名は、星歴145年3月2日、絶対座標X=1688475、Y=4586248、Z=5811253において以下の惑星を発見したことをここに報告する。

 以降、この惑星を仮称でRと記するものとする。

 惑星Rは、赤道半径約5500km。自転周期は22時間。恒星の公転周期はおそらく300日程度だと思われる。(詳細は別紙参照)

 衛星軌道上からの観測によれば、海が全体の七割以上を占め、大陸は赤道上にふたつ。この大陸を、仮称で大陸1、大陸2と記するものとする。

 我々はまず、大陸1を目標として降下を試みることとした。

 上空から観察したところによると、大陸1は砂岩が中心の乾いた土地のようだ。植物相は上空からでは確認できないが、鉱物の採掘には適している様子だ。

 空気の組成は、窒素70、酸素28、アルゴン1.5、二酸化炭素0.5。(詳細は別紙参照)植物がないにもかかわらず、酸素濃度が非常に高い。不思議である。

 我々の着陸艇は、砂岩が中心の平地に着地した。不毛の荒野にしか見えないが、これは地球型惑星改造を施せば問題はないだろう。

 着陸艇を中心に、我々は三日間の調査を行うこととした。


 調査一日目

 晴れ。調査艇周囲の岩石を調べる。加えて簡単なボーリング調査。ボーキサイトが大量に見つかる。アルミニウムは大変に有用な鉱物である。期待がふくらむ。相変わらず植物はひとつも発見できず。空気中に微生物もいない。


 調査二日目

 晴れ。ボーリング調査の最中に地下に巨大な空洞があることがわかった。鍾乳洞だろうか。今は詳細に調査をする時間がないのが惜しまれる。いずれ、大規模な調査をする機会もあるだろう。楽しみだ。隊員の一人が妙なことを言い出した。神を見たとか。何か幻覚作用のある物質でも浮遊しているのだろうか。酸素マスクを使用することにする。


 調査三日目

 晴れ。我々はとんでもないものを発見した。これは宇宙の歴史がひっくり返る。

 調査艇から三キロほど離れた小高い丘の上に、大きな砂岩に囲まれた美しい神殿跡があった。未知の遺跡である。人類のものではない、謎の古代文明の遺跡だと思われる。非常に美しく、感銘を受ける。簡易測定では千年以上前のものと出た。しかし、隊員の一人が神殿最上段のレリーフを外そうと試みて、足を滑らせて怪我をした。写真を撮ろうとした隊員は、突然の酸素マスクの故障で、危うく窒息死するところだった。写真は一枚も撮れていなかった。

 そして、調査艇のエンジンが故障した。これは、なにか遺跡と関係があるのだろうか。


 調査四日目

 雨。エンジンの故障は直らない。


 調査五日目

 大雨。砂が流され着陸艇が傾く。故障は直らない。


 調査六日目

 大雨。更に着陸艇が傾く。故障は直らない。


 調査七日目

 大雨。食料が少なくなってきた。故障は直らない。


 調査八日目。

 大雨。食料残少。水も少なくなってきた。雨水を飲みたいが、濾過器も故障。


 調査九日目。

 大雨。落雷。故障。


 調査十日目。

 大雨。落雷。故障。


 調査十一日目。

 大雨。故障。


 調査十二日目。

 大雨。故障。呪いなんてない。


 調査十三日目。

 大雨。故障。そんなハズは無い。


 調査十四日目。

 大雨。故障。……遺跡で膝をついた。ここは……


 調査十五日目。

 晴れ。故障が治った。これで助かる……


 エンジン故障の原因は最後まで判らなかった。

 この後、我々は大陸2を上空から調査した。なぜか山が少ない。河が多く、少し改造を施せば良い農地になりそうだ。しかし、なぜこの大陸はこれほど平らなのか。

 我々はこれから仲間のもとに戻る。他の氏族は惑星を発見できているだろうか。この星域には、他にもこんな遺跡があるのだろうか。

 大陸1をどうするかは、慎重に検討したい。


 星歴145年3月8日 ラグタタ・ルゲナ(以下14名)

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