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星の女王 ~ソラの物語~  作者: 夏乃市
赤と青の星
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『赤と青の星』 チョルココ星系政府 2

「チョルココ星系政府は、私たちの調査がうまく行かないことが分かっていたんですかねぇ」

 ホテルの一室で、ベルカルチャ惑星開発会社の三人は膝をつきあわせていた。

「五年前から、その星河王とかいう奴に圧力をかけられて、おそらく今でもそれは継続中だ。外部企業への調査依頼は目くらましのパフォーマンスだな。あれだけの土地を遊ばせておけばどこかで不審がられる。政府は開発しようとしているけれど、地権者がごねてます……って構図だな」

「で、副社長。俺らはどこにつくんですか?」

「どこ?」

「チョルココ星系政府か、ルゲナ一族か、まさか星河王とかいう奴ってことは無いでしょうけど……」

 デニスは立ち上がると窓の外へ目を向けた。

「強いて言えばルゲナ一族か。ルゲナ翁の権利がもっとも優先される権利だからな。それに、その星に住むひとが幸せになる開発を、というのが我々の社是だ」

「そうは言っても、星系政府はともかく、武装宇宙船の艦隊なんて本当に出て来ちゃったらどうしたらいいんですか? 独立だってそんなに簡単じゃないですよ」とスティー。

「艦隊はともかく、独立は意外に簡単じゃないですかぁ?」とディーアが携帯端末をいじりながら応える。

「なんで?」

「だって、基本、後ろ盾になる国家がひとつでもあれば良いんじゃなかったでしたっけ? 国家の独立って」

 ディーアの言葉にデニスがうなずく。

「最低限だけどな。正式な国家の後ろ盾があれば、形だけは整う」

「ほら、簡単じゃない」

 ディーアのしたり顔に、スティーも納得の表情を浮かべる。

「なるほど。とすると、残りは武装艦隊……」

「実際には、完成した宇宙船は慣熟航行も兼ねて飛んでいってしまっているだろうからな。〈赤の大陸〉には建造中のものしか残っていないだろう」

「ああ、なるほど」スティーが目に見えて安堵のため息をつく。

 と、携帯端末に目を落としたディーアが大きな声を上げた。

「捕まえた!」

「社長か?」

「ええ。今現在の場所までは特定できませんが……数日前にでかい買い物をしてますね。うわっ、なーに買ったんだろう、こんな金額」

「どこだ?」

 デニスとスティーがディーアに詰め寄る。

「西海岸の……ルゲナ小型飛行商会。ああ、これは飛行機まるまる一機買ってますね」

 三人が顔を見合わせる。

「決まりだな」

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