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ー第4項 うるさい獣をパイプ椅子一撃で黙らせ、物理法則を超越した強さを見せつける話

第4項 うるさい獣をパイプ椅子一撃で黙らせ、物理法則を超越した強さを見せつける話


 キメラは焦った。本能が「この獲物はヤバい」と告げている。

 だが、魔獣としてのプライドが逃走を許さない。

 キメラは地面を蹴り、ケンジへと飛びかかった。鋼鉄すら引き裂く爪が、ケンジの喉元へ迫る。


「あーもう、静かに飲ませてくれよ……」

 ケンジは溜息をつきながら、立ち上がった。

 その手には、座っていたパイプ椅子が握られている。


 彼は、迫りくるSランクモンスターに対して、武器を構えるでもなく、ただ「邪魔なものを退かす」ような動作でパイプ椅子を振り上げた。

「お座り!」


 カォンッ!!

 乾いた金属音が響いた。

 それは、パイプ椅子が獅子の頭を叩いた音だ。本来ならパイプ椅子がひしゃげて終わる場面だ。


 しかし、現実は違った。

 モフ助の能力――「物理攻撃透過」と「概念捕食」の応用である。

 ケンジの「邪魔だ、あっち行け」という純粋かつ強烈な拒絶の念をモフ助が増幅し、パイプ椅子という媒体を通して物理的衝撃に変換したのだ。

 さらに、キメラの「攻撃の威力」そのものをモフ助が食べてしまったため、キメラは防御力ゼロの状態で、神の加護を受けたパイプ椅子の一撃を食らったことになる。


 ドゴォォォォォン!!

 キメラの巨体が、まるでピンボールのように弾き飛ばされた。

 そのまま壁に激突し、ズルズルと崩れ落ちる。白目を剥いて気絶していた。


「……ふぅ。やっと静かになった」

 ケンジはパイプ椅子の座面の埃を払うと、再び座り直した。

 そして、まだ半分残っているチューハイを煽る。


 静寂が戻ったダンジョンで、ケンジはふと、カメラに向かって(というより虚空に向かって)独り言を漏らした。

「嫌な上司も、吠える犬も、全部同じだ。過ぎ去ればただの風。……あ、チータラ落としちゃった。諸行無常……」


 落としたチータラを3秒ルールで拾って食べるケンジ。

 その背後で、最強の魔獣がピクピクと痙攣している構図は、あまりにもシュールで、そして圧倒的だった。


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