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辺境の地より

「離縁されたから、セクシーになろうと思う」


 我が友人ながらなにを言っているのかわからない。


「初夜を拒否されたのは、きっとそれが原因だ」


 私は知っている。

 寝室でずっと待ち続け、諦め、眠りに入ろうとした妻に猿のように飛びかかったせいだということ。


 相手は男性経験のない箱入りのお嬢様だ……顔は良いが、190cmもある大男に寝込みを襲われる恐怖は計り知れなかっただろう。もちろん彼、王子クリストファー・グランデも女性経験はない。


「良い心がけだと思いますよ〜クリ――……ぁ」


 書類に目を通しながら聞いていたせいもあり、適当な返事をしてしまった。了承したが最後、彼は止まらなくなる。

 ストッパーとしての役割で、自分がいると言うのに、火をつけてしまうとは。


「そうだろう!そうだろう!」


 こうと決めたら、納得いくまで追求しないと収まらない性格のクリス、もう彼は止まらないだろう。


 そして私も、全力で付き合わなければならない。


「ではまず!」


 ではまず……?


「なにをすれば?」

「は?」


 この男……!はっ!

 わからないのであれば、まだ止められるかもしれない!


「セクシーいこぉる色気……余の見た目だけ見れば顔も体も申し分ないはず、そうだろう?だとすれば内面のセクシーを鍛えるべきだとは思うのだが、それを魅せるには仕草や振る舞いもそうであらねばならない……文献を探し学びつつ、実技を交え体に教え込む時間を取り……あぁ!余の見た目の維持も大事であるな?そう考えると1日のスケジュールの管理が――」

「ぁあいゃ饒舌っ!!」


 すっとぼけた顔で「なにをすれば?」と言いましたか?


 怖い、もう。


 セクシー文献とか私知らないですよ……。


「新しいことにチャレンジする……実に楽しみだな!サニー!」

「左様でございますね……」


 その情熱を、2度の離縁に至る前に発揮して欲しかった……辺境送りになる前に。


「では!頼んだ!」


 書類の山に追加されるクリスのスケジュール。


 執事として、友人として……サニー・ウォーロード、やってやろうじゃありませんか。

執事視点です

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