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月光の聖女幻想記~追放聖女セレーナと未来の勇者たち~  作者: 鮎咲亜沙


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#027 セレーナが知る帝国の黒歴史

「セレーナよ、これは⋯⋯呪いではないのだな?」

「私の見る限り呪いの気配の欠片も感じません⋯⋯」


 その私の答えに「はあ⋯⋯」とため息をつくアグネス様だった。


「アグネス様⋯⋯? なにか知っているのですか、このアドミス皇子の惨状に?」

「そうだな⋯⋯立ち話もなんだしお茶でも飲みながら話すとしようか」


 そう提案するアグネス様だった。


「お茶会! 僕ケーキが食べたい! ねえお母様! ケーキ! ケーキ!」


「はいはいアドミス。 ⋯⋯お母さんと一緒に食べましょうね」

「わ~い!」


「⋯⋯」


 私は絶句してこの子供に戻ったアドミス皇子を見つめます。

 これは本当にアドミス皇子なのだろうか?


「さあ行くぞセレーナ」

「あ⋯⋯はい」


 こうして真相が語られるお茶会が広げられるのだった。




 そのお茶会のメンバーは私達『アルテミス』のメンバー全員と⋯⋯。


「あらセレーナ様! お久しぶりですわね!」

「⋯⋯そうね。 ロザンナ⋯⋯ちゃん?」


 あっちはアグネス様の膝の上にアドミス皇子とさらに追加されたのがなんとあの聖女ロザンナだったのだ。

 しかし⋯⋯。


「その子が本当にロザンナ⋯⋯なのですか?」


 そのロザンナは私が初めてであった頃の10歳くらいに戻っていたのだった。


 ⋯⋯あのみごとにたわわに実ったおっぱいは今や見る影もなく縮んでいる。

 というかこれから育つのだろうか?


「若返った⋯⋯のでしょうか? アドミス皇子とロザンナさんは?」

「だと⋯⋯いいのだがな」


 そう苦悩するアグネス様だった。


「これはどうしてこうなったのでしょうか?」


 あの憎たらしい2人がこうして純粋無垢な子供に戻るだなんて⋯⋯。

 しかもアドミス皇子はケモ耳化までしてるし。


「あくまでも私の推測だけど⋯⋯聞きたい?」


 そう言うのはリゼ様だ。

 聞きたい。


「うむ聞かせてくれリーゼロッテ殿」


 そうアグネス様が促し、ようやくリゼ様の真相解明が始まった。


「前提として2人は死んだ⋯⋯これは間違いない」

「死んだ?」


「ええ⋯⋯魔王の復活の至近距離に居て、木っ端みじんに塵になって死んだわ」


 ⋯⋯マジか?

 でもこうして2人は生きてるし?


「2人が復活できたのは2人には『不死の加護』があるからだ」

「不死の加護⋯⋯それがアドミス皇子たちが授かった加護なのですか?」


 なるほど⋯⋯それなら納得だ。

 不死の加護はレアスキルだしね⋯⋯でもこの絶対に死なないのは私はちょっと要らないかも。


 やっぱり人として老いて死ぬときには愛する人や孫たちに囲まれて死にたいものだ。


 ⋯⋯えへへ孫かあ。

 そのためには子供をまず⋯⋯。

 1・2・3⋯⋯と指を立てて数える私だった。


「どうしたのセレーナ?」


 そう隣のカイルが聞いてきたので私は。


「未来の事よ」

「⋯⋯?」


 キョトンとしているカイルだった。

 うん⋯⋯カイルはなにも気にしなくていい、全部私が計画的に家族を作るから!

 あーでも新婚時代も楽しみたいし⋯⋯難しいなあ!


「⋯⋯セレーナ続けても?」

「あ、どうぞリゼ様」


 おっといけない⋯⋯イケナイ妄想を⋯⋯。


「⋯⋯その塵になって死んだ2人はやがて、その塵が集まって復活したのよ」

「すごい加護ですね⋯⋯」


 いや呪いだろもうコレ⋯⋯。


「でもしかし⋯⋯その復活した2人は今の姿だったのよ⋯⋯ね。 つまり」


「塵が全部集まらなかった? もしくは無くした部分があるのに復活したという事?」

「おおむねそういう事だと私は思うわ」


「なるほど⋯⋯」


 つまりアドミス皇子100%が分子分解されて、アドミス70%くらいだけで再構築されたのが今のアドミス君だという事か。


 そしてロザンナさんはおっぱいが⋯⋯あの自慢してたおっぱいが回収されなかったのか⋯⋯ざまぁ!

 私は暗い笑顔になってしまう⋯⋯ダメだ笑うな私⋯⋯。


「あ、アドミス様⋯⋯ほっぺに生クリームが」

「ありがとうロザンナ!」


 そこには微笑ましく初々しい若いカップルの姿が⋯⋯。


 ⋯⋯⋯⋯すさんだ大人だなあ私は⋯⋯反省。

 そんなロザンナと私は目が合う。


「なに?」

「いえ⋯⋯私もがんばってセレーナ様のような立派な聖女になりたいな⋯⋯と」


 ⋯⋯誰だコイツ?

 そのくらい私の知ってるロザンナではない完璧な聖女だった。

 そして私は考える⋯⋯。


「問題ないのでは、この2人は?」


「いやいや問題じゃろ!? アドミスは獣人になってしまっておるし!」

「問題ないかと?」


 そう私も切り返す。

 うん⋯⋯あの人格が破綻していたアドミス皇子に比べるまでもなくこのケモ耳アド君なら愛せるまである。

 私⋯⋯こんな弟欲しかったし。


「あの⋯⋯お聞きしたのですが、アドミス皇子様は元々獣人では無かったという事ですか?」


 そう控えめに確信をつくのはカイルだった。

 まあ今までなんの面識もないカイルからすれば皇子様にケモ耳があろうがなかろうがどうでもいいという事なんだろう。


「⋯⋯無かったよ⋯⋯⋯⋯幸運にもな」

「どういう事なんですかアグネス様?」


 なんか心当たりのありそうなアグネス様だった。


「⋯⋯」


「全部話してくれないともう話が進まないんですけど? まあべつに私達からすればアドミス皇子たちが子供だろうがケモ耳だろうが関係ないのでどうでもいいのですが」


 そう私がキッパリという。


「⋯⋯しかたない。 まあ詳しく調べればいずれバレるしのう」


 そう観念したような声のアグネス様っだった。

 ⋯⋯いやめんどくさいしわざわざ調べないけど。


「この帝国を築いた初代皇帝は聖女と共に力を合わせて魔王を封印した者たちだった。」

「帝国建国記ですね。 それが何か?」


「⋯⋯それから500年間は帝国は魔王の封印を見守る使命を全うしつつ国も豊かに発展していた」


 ふむ⋯⋯まあその頃が帝国の全盛期かな? 歴史的には。


「しかし⋯⋯今から約200年前の皇帝が過ちを犯したのじゃ」

「過ち?」


 魔王復活とかじゃないし⋯⋯なんだろ?


「その時の皇帝は⋯⋯ケモ耳を愛するばかりに妻に獣人族を選らんんでしまったのじゃ!」

「いいじゃないですか! 純愛で!」


 そう私は相槌を打つが⋯⋯仲間からは冷ややかに見られる、なんで?


「まあ普通の国だったらそれでも良かったかもしれんが⋯⋯この帝国にとっては致命的なミスだったのだ」

「ミス?」


「この帝国の役目は『女神の代わりに魔王の封印を見守る事』だったからだ」

「それとケモ耳の何か関係が?」


「獣人族の血が混ざり純粋な女神の一族でなくなった皇帝からは女神からのギフトであるスキルの力がだんだんと弱まっていったからだ」


「あーそれで、今の皇帝の予言は年に1回なんですね⋯⋯」


 なんかいろいろ合点がいった私だった。


「獣人など亜人族などこの帝国に入れるべきではなかったのじゃ⋯⋯」


 そう震える声で嘆くアグネス様だった。


「⋯⋯それが理由ですか?」

「リゼ様?」


「それが理由でこの帝国は今まで亜人族を冷遇し奴隷化を推し進めてきたんですか?」


 そう亜人族であるエルフの姫リーゼロッテ様が冷酷に問う。


「貴様らにわかるか!? 愛する夫に「君にはケモ耳が無いから愛せないよ」と言われた女の気持ちが! 今も後宮でケモ耳ハーレムで遊んで政治もほったらかしの夫を持つ私の気持ちが!」


 そうアグネス様の慟哭が響くが⋯⋯。


「羨ましい」

「せやなあ⋯⋯」


 そう私とシェリルさんはそのダメ男が羨ましかった。


「まさか⋯⋯そんな理由であなたは亜人族の奴隷売買を国営化したのですか?」

「そうじゃ! 何が悪い!」


 思いっきり個人的感情だった。


「お気持ちは理解できますが⋯⋯悪い事ですよね~」

「俺の住んでた国ってこんな事になってたのか⋯⋯」


 カイルもドン引きだった。

 そして泣き始めるアグネス様⋯⋯。


「⋯⋯ママ。 悲しいの?」

「⋯⋯⋯⋯アドミス」


 そう心配して手を取るのはアドミス君だった。


「アグネス様⋯⋯ちゃんと見てください、そのアドミス皇子を」

「アドミスを?」


「⋯⋯かわいいでしょ、ケモ耳は正義なんです。 これまでアグネス様は失ったものばかり考えていたのでしょうけど⋯⋯きっと得るものもあるはずです」


 そして愛する息子を見つめるアグネス様⋯⋯。


「ハッキリ言ってアグネス様の子育てや政治は間違っていたと思います。 でも⋯⋯ここからやり直せませんか」


「やり直す? ここから?」


「ちゃんと見てくださいアドミス君を⋯⋯。 この子をあんな愚かな皇子にまたしたいのですか?」


 その時⋯⋯はっとアグネス様の表情が輝いた。


「そうよ! ケモ耳がなんだというのよ! この子は⋯⋯アドミスは私の愛する息子なんだから! 今度こそちゃんと育てるわ! もう甘やかさないで厳しく躾けて。 立派なこの国の皇帝として⋯⋯」


「⋯⋯ママ? 怖いよ」


 そう逃げ出そうとしたアドミス君をぎゅっと抱きしめて離さないアグネス様だった。

 よしこれでこっちの問題は解決ですね⋯⋯あとは。


「あのアグネス様? このさい私とアドミス皇子の婚約は正式に破棄させてください」

「ああ⋯⋯もうよい。 この帝国に初代皇帝の血統などどうでも良いのだからな」


 それは覚悟を決めた母の表情だった。


「初代皇帝の血統? それと私になんの関係が?」

「そうじゃな⋯⋯そなたはその事も忘れておるのに無理やり結婚させようとしてたんじゃな」


 こうしてアドミス君の問題は解決した。

 しかし私の問題はまだ解決してはいなかったようだ⋯⋯。


「ねえママ⋯⋯。 そっちのケーキも食べていい?」

「いいよルナちゃん」


 なおルナはここまでいっさい会話に参加することなく⋯⋯初めて食べるケーキに感動していたのだった。

 あ⋯⋯ほっぺにクリームつけてカワイイ!


「それでセレーナよ、お前の正体はじゃな──」


そして私の秘密がアグネス様からついにあかされるのだった。

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