#024 セレーナは魔王復活を知る
今日も無事に魔物をいっぱい狩ってきましたね!
「ずいぶん軌道に乗りましたねカイル」
「ああ! これなら俺たちもBランク昇格も近いかもな!」
「わーい!」
そう上機嫌で冒険者ギルドへと帰還した時でした。
「⋯⋯! あれは!?」
そう叫び私は物陰に隠れます。
「どうしたのセレーナ?」
「ママ、スパイごっこ?」
そうカイルとルナも私と一緒に物陰に隠れてギルドハウスの玄関を見つめます。
そこには⋯⋯。
「し⋯⋯カイル。 あれは帝国の馬車です」
そう私は小声で伝えます。
「敵?」
「そうだよルナ」
「いやちょっと待ってよセレーナ!」
そうあわてるカイルでしたが。
「まあ敵とまで言う気はありませんが⋯⋯会いたくない見つかりたくないのは間違いないです」
「そっか⋯⋯セレーナは帝国を逃げ出してきたから」
まあ追放はあのバカ皇子だけが言い出したことで⋯⋯アグネス様や大聖堂は今でも私を連れ戻したがっているはずです。
「⋯⋯よっ」
「シェリルさん!?」
「うわっびっくりした!」
「シェリルおねーちゃん、こんにちは」
「こんにちは、今日も可愛いねルナちゃんは」
どうやら気配に敏感なルナにはこのシェリルさんの接近に気づいていたようです。
そしてルナが楽しそうという事は敵意も無いのでしょう、このシェリルさんには。
「シェリルさん⋯⋯こんなところで急に話しかけて来るだなんて⋯⋯」
そう私が聞くと。
「ギルマスに頼まれてね⋯⋯セレーナに知らせようと探してたんだ」
「私を?」
「あいつら⋯⋯セレーナを探しに来たんだぜ」
それは私が一番聞きたくない事でした。
「そうですか⋯⋯それでなぜそれをシェリルさんが?」
「⋯⋯今ギルマスのところにアグネスって女が来てて、セレーナを待っている」
「アグネス様が!?」
これはビックリです!
「やっぱ知り合いなのかセレーナの⋯⋯帝国の宰相様らしいけど?」
「はい⋯⋯。 実質的な帝国政治のトップです。 こんなところに出向く暇なんて無いと思うのですが⋯⋯影武者?」
私は別人のなりすましの可能性を考える。
「そのアグネス様は緑の髪の毛の⋯⋯胸の大きい女ですか?」
そうバイーンと私は手のひらで説明するが⋯⋯実際の私の胸との差を感じる。
「そうだ。 あとリゼとかいう金髪のエルフも来ている」
「リゼ様まで!?」
「誰なのセレーナ?」
「リゼ⋯⋯いえ、リーゼロッテ様はエルフの国のハイ・エンシェントを操る大魔法使いです。 でもなんでこんな都会に? 山奥の大自然を愛するお方なのに?」
私は自分の手帳にいつも思いついた呪文詠唱を書き込んでメモしていたリゼ様を思い出す。
「ママの知り合い?」
「うん。 ⋯⋯友達かな、リゼ様は」
といってもアドミス皇子への愚痴を言い合って意気投合しただけの関係かもしれないけど⋯⋯。
「まあその2人が今ギルマスにセレーナを連れてこいと詰めかけている」
⋯⋯困ったなあ。
「理由は?」
「チラッと聞こえた話だと『このままだと世界が滅ぶ』とか言ってたぜ?」
「世界が⋯⋯滅ぶ?」
「ママ⋯⋯破滅の予感!」
あーその内容に心当たりがありすぎる⋯⋯。
というかアグネス様とリゼ様が一緒の時点でもうそれは魔王対策の事くらいしかありえない。
私はチラッとカイルを見つめる。
「⋯⋯?」
なんにもわかってないカイル。
だがしかし、このカイルが勇者なのは事実。
そして勇者あるところに魔王あり。
私はカイルを見つめる。
⋯⋯もっと勇者としての力を身に着けてから行きたかったなあ⋯⋯と。
「はあ⋯⋯しかたない。 カイル⋯⋯一緒に来てくれませんか?」
「俺も一緒にその偉い人のところへ?」
「おそらくカイルにも無関係というわけではないと思います。 ⋯⋯勇者として」
そう私が言ったとたんに引き締まった表情になるカイルだった。
「わかった。 俺もセレーナと一緒に行く」
「ルナも!」
カイルの聖女になると決めたのは私です、だからこの運命から逃げるわけにはいかない。
「行きましょう! シェリルさん案内を!」
「⋯⋯いいんだな? じゃあ付いてきな」
こうして私達とシェリルさんは一緒にギルドハウスに入るのでした。
そこに居たのは⋯⋯うん知った人達でした。
「セレーナ! やっぱり生きていたのね!」
「お久しぶりセレーナ」
「お久しぶりですリゼ様に⋯⋯宰相様も」
そう私は温度差を付けて挨拶する。
「本当に申し訳ない!」
そうガバっとその場で土下座するアグネス様だった!?
「ちょっとアグネス様!?」
「我が息子の不始末⋯⋯重ね重ね申し訳ない! 謝って済む問題ではないが母として謝罪します!」
そう土下座をキープしたままこっちを見ないで言い切るアグネス様だった。
「ねえママ? このおばさん悪い事したの?」
おば⋯⋯ぷぷぷっ。
思わず吹き出しそうになる私だったが⋯⋯。
⋯⋯なんか白髪が増えた気がするアグネス様だった。
「⋯⋯そうよ、おばさん悪い事したからこうやって謝っているのよ、あなたのママに」
私とアグネス様を交互に見つめるルナ。
⋯⋯うわ~汚ったねえ~。
手段を選ばず私と交渉する気のようだ。
これは間違いなく母としてじゃない、政治家のアグネス宰相様にちがいない。
ぜ~たい今のおばさんの顔はニヤッと笑っているに違いない。
⋯⋯くーやられた!
ここで許さないと私のママとしての立場が危うい!
「⋯⋯お顔を上げてくださいアグネス様。 私と貴方様の仲じゃありませんか!」
そう白々しく言う私だった。
あ⋯⋯? 私たちの仲だと? んなもん険悪に決まってるだろ! ちくしょうめっ!
「うう⋯⋯ありがとうセレーナ。 お嬢ちゃん、あなたのママは優しいわね⋯⋯ううっ」
その時、涙を拭いながらわずかに笑った口元を私は見逃さなかったよ!
は・ら・た・つ・!
⋯⋯しかしながらこうまでなりふり構わないアグネス様はいったい?
「セレーナ力を貸して。 ⋯⋯⋯⋯魔王が蘇ったわ」
「なんですってリゼ様! それは本当なの!?」
なんか疲れ切ったリゼ様が。
「ええ⋯⋯私の目の前でアドミスが復活させたから間違いないわ⋯⋯」
「⋯⋯はあ~!? あのバカが何やってんのよ! ⋯⋯⋯⋯あ゙っ」
思いっきり母親の前でバカ呼ばわりしてしまったアドミスを⋯⋯。
「さすがに擁護する気は無いわ⋯⋯母親でもね」
そう深刻そうに話すアグネス様だった。
「⋯⋯でもなんで? たしか魔王の封印はあと200年くらい持つんじゃなかったんですか? それなのに
⋯⋯なぜ?」
「アドミス皇子がいきなりやって来て聖剣を寄こせと⋯⋯あの封印の剣を壊したのよ」
「バカですか? ⋯⋯それで死んだんですか皇子は?」
まあたしかにムカつく人だったけど長い付き合いでもある。
死んでほしかったわけではない、ただ私と無関係で居て欲しかっただけで⋯⋯。
「⋯⋯生きてるわアドミスは」
「生きてる!? なんで!?」
これは驚いた!
あのクソ弱いアドミスが魔王の復活の場に居合わせて生き残れるなんて⋯⋯。
「アドミスは死なないのよ。 その⋯⋯不死の加護があるから」
「不死の加護? ⋯⋯そうか! あれから成人して加護を授かったんですね。 でも皇子はてっきり未来予知だと思ってたんですが?」
たしか代々の皇帝は未来予知の加護を授かるのが帝国の伝統だったはず。
「不死の加護はロザンナが授かったのよ。 それで刻印で繋がっているアドミスにもその恩恵が⋯⋯ね」
「⋯⋯はあ」
あーなるほど。
私とカイルが魔力を共有しているみたいなのがあるのか2人にも。
しかしロザンナさんは不死の加護なんか貰ったんだ⋯⋯素直にすごいな。
不死の加護はSSR級の加護だからね。
まあ私は欲しいとは思わないけど⋯⋯。
「それで魔王は?」
そのまま大暴れとかならこの2人がここに来る余裕はないと思うのだが?
「復活した魔王はそのまま何もせずに天空山へと向かったわ」
そう説明したのはリゼ様だった。
「天空山に? そうか⋯⋯セレマーサ様の神殿がそこにあるからか?」
復活した魔王がまずするのが女神セレマーサとの対決という事なら⋯⋯。
「なら行かないといけませんねこの私⋯⋯女神セレマーサの巫女の私が」
そう私はため息をつきながら言うしかないのだった。
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