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月光の聖女幻想記~追放聖女セレーナと未来の勇者たち~  作者: 鮎咲亜沙


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#017 セレーナとピンクなお店

「いいか? 変なことは考えるなよ」

「そうよ。 ルナちゃんを目立たないようにしていればいいんだから」


 そうレオンさんとノインさんが言いますが。


「はい、気をつけます。 な? セレーナ」

「はい」


 こうして私達は無事に冒険者試験をクリアしたのでした。


「それであなた達のパーティー名はどうするの?」


 そうノインさんが聞いてくる。


 ⋯⋯ふむ? 私達のパーティー名か。

 いずれ伝説の勇者カイルとその仲間たちとなるパーティー名だ。

 なにかカッコいいのを付けたいが⋯⋯。


「そうだな⋯⋯『アルテミス』なんてどうだセレーナ?」

「『アルテミス』ですか?」


「うん⋯⋯セレーナもルナも月の女神の名前だし」


 そう照れくさそうに言うカイルでした。


「めっ女神!? 私が?」

「あたし女神だ!」


 どうやらルナちゃんには好評なもよう⋯⋯ならばいたしかたありません。


「じゃあ私達のパーティー名は『アルテミス』でお願いしますねノインさん」

「わかったわ。 そう登録しておくから」


 こうして私達は冒険者ギルドを後にするのでした。




 そして宿に戻る途中の道で⋯⋯。


「しかしルナをあの宿屋に泊めるのは安全なんだろうか?」


 そう考えるカイルだった。


「そうですね⋯⋯」


 とは言っても私達にあの宿以外の選択肢もあるわけもなく⋯⋯結局はその宿に着いたのでした。


「あのーすみません。 俺たち以外にもう1人一緒に泊まりたいんですが⋯⋯」


 そうカイルが宿の店主と交渉しています。

 それを私は黙って見ていた⋯⋯その時でした!


「⋯⋯あいつは」


 ちょうど宿の前の道をさっき出会った奴隷商人が通っていました!

 ⋯⋯ちょうどいい。


「ちょっとカイル! 私! 買い忘れた物があるから! 先に休んでて!」

「あ! 待ってセレーナ?」


 しかし私はカイルの制止を振り切って1人であの男を追いかけたのです。

 ⋯⋯そしてわりとすぐに追いつきました。


「やあ奴隷商人さん? さっきぶりですねぇ」

「あ! お前はさっきの銀髪女じゃねえか!」


 どうやら私の事を覚えていたようです⋯⋯嬉しくないですが。


「おや? 怪我したんですか?」

「ああそうだよ! お前らに置いてかれて1人で街まで来る途中に魔物に襲われて散々だぜ!」


 そう怒ってますねえ⋯⋯知らんけど。

 でもまあ⋯⋯都合がいい。


「治してあげましょうか、その怪我?」

「なんだよ? 金取る気かよ銭ゲバ女め!」


「いやお金はいいですタダで。 ⋯⋯ただし聞きたいことに答えてくれたらですが」

「なんだよ?」


 男からは期待のこもった目を感じます⋯⋯これなら交渉できるかな?


「⋯⋯あの子を連れて行こうとした奴隷商人のところに案内してくれませんか?」


 そう聞いて驚く男でした。


「⋯⋯なんでだよ?」

「ルナちゃんの安全を確保するためです」


 そう聞いてなぜか恐怖の表情を浮かべる男⋯⋯おかしいな?

 私⋯⋯笑っているハズなんだけどなあ⋯⋯?


「あ⋯⋯ああ。 わかった言う。 でも俺が言ったことは⋯⋯」

「言いませんよ。 そのくらい当然ですよ」


 こうして男は私に怪我の治療までしてもらって快く情報の提供をしてくれたのでした。




 そしてやって来たのは⋯⋯ここリベルタの街の歓楽街です。

 なんかピンクの照明のまぶしいイヤラシイお店の立ち並ぶ一角でした。


「⋯⋯ここが奴隷商人のお店ですか」


 そう見つめる私に話しかけて来るのは⋯⋯!?


「いらっしゃいお客さん! わくわくケモ耳ランドへようこそっ! にゃっ!」

「⋯⋯」


 そうなかなかキワドイ衣装の猫耳獣人のお姉さんが私を誘います。


「あなたはこの店で働いているのですか?」

「そうだよお姉さん! ウチをご指名かにゃ~ん♡」


 ⋯⋯?

 あれ⋯⋯?

 なんでしょう?

 なんか無理やり働かされているとは思えない獣人の女の人です?


「あの私⋯⋯ここの主人というか店長に話があって」

「わっかりました! 1名様ごあんな~い!」


「え!? いや私はお客じゃなくて! その!」


 しかし私の周りをその猫耳獣人だけでなく他の複数の女獣人が取り囲みます!?


 ⋯⋯しかし色んな種類のケモ耳ですね?

 猫、犬、兎、狐、狸、⋯⋯いろいろ!


 そして抵抗もできずに私は店内に案内されるのでした。


「はいお客様、しばらく待ってにゃん♡」

「あ、ハイ」


 そう言って飲み物を渡されました。

 ⋯⋯お酒かな? アルコールの匂いがする。

 とりあえず口は付けないでおきましょう。


「じゃあ店長を呼んでくるのでお待ちくださいね!」

「⋯⋯お願いします」


 なんだろう?

 少なくともあの猫耳さんからは店長さんとやらに嫌悪感を抱いている様子はうかがえません。


「⋯⋯この店は一体何なんだろう?」


 私にはわけがわかりません。

 てっきり非合法な闇奴隷市場かと思ってやって来たのですが⋯⋯。


 ⋯⋯その時でした!


「あら今日も来てくれたのね⋯⋯嬉しいシェリル様♡」

「ふふ⋯⋯今日もラビちゃんに会いに来ちゃったよ♡」


 そうだらしなく鼻の下を伸ばして入店してきたのは⋯⋯さっきまで私達の試験官をしていたシェリルさんでした。


「⋯⋯シェリルさん?」

「セレーナ!? 何でここに!?」


 それはこっちのセリフです。


「なぜシェリルさんがこの奴隷商に?」

「え? いやいやちょっと待ってセレーナ! この店はその⋯⋯」


 こうして私は店長が来るまでの間⋯⋯このシェリルさんに話を聞くことになりました。


「この店は見ての通り⋯⋯かわいい獣人の女の子たちにお酒を飲ませてもらう憩いの場さ」

「非合法奴隷に?」


 そう聞いてなんかキョトンとするシェリルさんとウサミミさんです。


「あーお客さん勘違いしている? 私たち獣人はここの店で働いてるけど普通に給料もらっているし待遇はいいのよ」


「あなた洗脳されてませんか?」


 私⋯⋯あやしい宗教の洗脳はよく見ていたので。

 人の弱みに付け込んで都合のいい事ばっかり言い聞かせる手口は珍しくないです。


「洗脳ってセレーナさあ⋯⋯」


 そうシェリルさんが呟いた時にこの店の店長がやってきました。


「はい、私がこの店の店長です。 お客様、なにか?」


 ⋯⋯私はてっきり太って脂ぎって「ぐへへ」と笑う奴隷商人を想像していたのですが⋯⋯なんか普通の男の人でした。


「あの、この店が獣人の奴隷を無理やり集めて働かせる店だと思ってきたのですが?」


 そう聞くと店長は大慌てで。


「ちょ!? ちょっと待ってくださいよ! 私の店はちゃんと正規の手順で獣人の奴隷を購入して働いてもらっている健全な店ですよ!」


「ホントですか?」


 その私の質問に周りの獣人の女の子達がウンウンと頷きます。


「いったいどうしてそんな話になっているのですか?」

「じつはその」


 私は今までの経緯を話しつつ時々シェリルさんにルナの事を事実確認補足してもらいながら話しました。


「──というわけで私はルナの身の安全を守るためにここへ来たんですが」


 そう一気に私が言うと店長はむしろ嬉しそうに。


「そうですか! 入荷予定だったその子は無事だったんですね、良かった」


 そう本気で心配していた様子でした。


「⋯⋯あの貴方⋯⋯⋯⋯奴隷商人ですよね?」

「はい、そうですが」


 ⋯⋯とてもそうは見えない善良そうな店長でした。


「なんなんですかこのお店は?」

「見てのとおりですよ」


 いやわからん⋯⋯。


「私はね、これまで多くの奴隷を扱う商人でした。 しかし男の獣人と違って女の獣人はあまり戦闘向きではなかった。 それなのに買われて使いつぶされていく」


「⋯⋯はあ」

「おかしいでしょ! こんなにも愛らしい彼女たちを! だから間違っている!」


 そう興奮してきた店長でした。


「そこで私は考えました。 ⋯⋯そうだ、この街の人々にケモ耳の良さを理解させるお店を作ろうと⋯⋯」

「それがこのお店?」


「そうなんです! 努力のかいあってようやく最近ではケモ耳の良さを理解していただける顧客にも愛される店になってきたと自負しております!」


 そう⋯⋯うんうんと頷くシェリルさん。


「ここだと毎日お風呂にも入れるし美味しいもの食べほうだいだし」

「戦闘奴隷とかになるよりいいよね~」

「もう故郷の土まみれの生活には戻れないよね~」


 そう嬉しそうなケモ耳さん達⋯⋯。

 そっか⋯⋯一歩間違えればこの店でルナちゃんが働いていた、なんてことに⋯⋯。


「というわけでルナちゃんは私が育てますので⋯⋯手を出さないでください! いいですね!」


 そう強く宣言する私でした。


「仕方ありませんね⋯⋯まあまだ購入していない奴隷でしたしその子は諦めましょう。 あなたもまた私と同じケモ耳を愛する同士のようですから」


 なかなか物分かりの良い店長でした。

 とはいえこれでルナちゃんはこの奴隷商に狙われることは無いはず⋯⋯よかったよかった。


 ⋯⋯でも私を同類扱いするのはやめてくれませんかねえ?


「じゃ⋯⋯私はこれで」


「お待ちくださいお客様」

「なんでしょうか?」


「そのルナちゃんを私は狙いませんが⋯⋯闇ギルドには警戒しておいてくださいね」

「闇ギルド!」


 そう言えばそうだった!


「⋯⋯ここは闇ギルドじゃなかったんですね?」

「あんな連中と一緒にされてはこまります、私も迷惑してるんですから⋯⋯」


 これで元々の目的に戻った。


「その闇ギルドってどこに?」

「港地区にあります。 もし関わるなら⋯⋯危険も覚悟してくださいね」


「私、平和主義者ですから!」


 だから悪はプチっと⋯⋯くくく。

 そう笑顔で帰ろうと思ったら。


「同じケモ耳を愛する同士⋯⋯ごゆっくりしていっては?」

「そうだぜセレーナ。 金貨1枚分は楽しんで帰らないともったいないぜ」


 そんな事を言うシェリルさんだった。


「金貨1枚!?」


「入店した時点でなにも注文しなくても席代で金貨1枚なんだよ、この店は」

「ぼ⋯⋯ボッタくりだ~!」


 こうして私は金貨1枚という高い代償を支払わされることになったのでした。

 でもこれでルナの為と思えば安いものです!


 シュエリルさん?

 あの人はなんか追加料金支払ってお泊りしたみたいです。


 ⋯⋯オトナだ!

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