#016 セレーナと闇ギルド
「ノインさん! 私たち無事に戻って来ました!」
そうギルドに戻って依頼終了を宣言する私だった。
「そうですか! それでどうでしたか?」
そう依頼というよりは私達の試験結果をシェリルさんに訊ねるノインさんだったのだが⋯⋯その視線が私の隣にべったりとくっついているルナで止まった。
「⋯⋯その子は?」
「私の娘です」
そうキッパリと答える私。
「ええっ!? そんなセレーナさんがゴブリン討伐に行ったら子供を作って帰って来るなんて!?」
「そうなんです私⋯⋯ママになっちゃいました!」
そう幸せな報告をする私だった。
しかし周りの人達は動揺していた。
「そ⋯⋯そんなセレーナちゃんが!?」
「セレーナちゃんは俺のママになってくれるかもしれない子だったのに⋯⋯」
「俺たち以外の誰がセレーナちゃんをママと呼んでいるんだ、けしからん!」
そう大騒ぎになるのだった。
「ママ⋯⋯人気者?」
「えっへん!」
そうルナに自慢する私だった。
そうするとこのルナが私の娘だと周りの冒険者たちも気づいたようだった。
「か⋯⋯かわいい!」
「天使だ⋯⋯天使がおるぞ!?」
「セレーナさん! いえお義母さん! 娘さんを僕に下さい!」
⋯⋯私はキレた!
「やるかバカタレども! この子は私の娘なんだから絶対に誰にもやらん!」
「落ち着いてセレーナ! あの、この子はゴブリンの巣穴で保護した子で⋯⋯その!」
そう私を押さえつけてノインさんに報告するカイルだった。
「そ⋯⋯そうだったんですか? それであなたはその⋯⋯」
「あたしルナ!」
「そうルナちゃんお名前言えてえらいね! それで大丈夫だったの?」
「うん!」
そう満面の笑顔で答えるルナ⋯⋯⋯⋯可愛すぎやしませんかウチの子は!
「よかった⋯⋯本当に良かった」
「やはりゴブリンは絶滅させねば⋯⋯」
そうギルド内でも魅力を発揮するルナだった。
「それは良かったです。 それでシェリルさん⋯⋯この子たちの審査は?」
「ああ2人とも余裕でCランクで合格!」
そう私とカイルの合格を報告するシェリルさんだった。
「そうですか! それは良かったです」
「え? いいんですか?」
「俺たち途中で試験ほったらかしたのに?」
「試験に合格するためにルナを見殺しにしてたら失格にしてたさ。 それに私に助けを求める機転もよかった⋯⋯まあ出番はなかったけどね」
こうして私達は合格して、この冒険者ギルドでパーティーを組む事になったのだが。
⋯⋯だけどここで問題が起きた。
そう⋯⋯ルナに着せていた私のフード付きのマントが外れてしまったのだ。
当然ルナのケモ耳がノインさんに見つかる。
「⋯⋯え? ⋯⋯⋯⋯セレーナさんちょっと、ギルド長室まで」
そうさりげなくルナの外れたフードを戻して小声で話すノインさんだった。
幸い私とカイルの影になってルナのフードが取れたところは他の冒険者には見えなかったみたいだけど?
「なんなんだろ?」
「とりあえず行こう」
そう私とカイルはルナを連れてギルド長室までまた案内されるのだった。
「ギルド長! 入りますよ!」
「おうノインか? 入れ」
そう気楽なギルド長の声が聞こえます。
「なんだノイン⋯⋯? おや? もう帰ったのか2人とも。 それで試験結果はどうだったのかな?」
そうギルド長であるレオンさんが訊ねます。
「ただいまレオン。 この子たちの試験は合格さ」
「そうか!」
シェリルさんの報告に心なしか嬉しそうなレオンさんでした。
「うんうんそうか。 これはこのギルドの期待の新戦力だな」
そう言ってくれるレオンさんですが⋯⋯。
「あのギルド長、その⋯⋯」
「ん⋯⋯? なんだノイン? なにかまた問題か?」
なんだろうノインさん? さっきから様子が変だけど?
「その、また問題がありまして⋯⋯この子なんですけど」
そうノインさんは私の影に隠れていたルナちゃんをレオンさんに紹介します。
⋯⋯私の娘がなにか?
「これは可愛らしいお嬢さん。 どうしたんだい?」
⋯⋯とりあえずレオンさんからはロリコン的な態度はなさそうなので私も警戒を緩めます。
いやだって大聖堂に来る大貴族の中には私みたいなぺったん子を指名するようなド変態も居たわけで!
もちろん男が女をエッチな目で見るのはまあ普通なんだけど⋯⋯そういうのは普通ぼんっきゅぼんっなロザンナさんみたいなのに向ける目だと思うのです。
しかしながら世の中には一定数未成熟な女の子に劣情をもよおす紳士がいることを私はすでに知っていました。
⋯⋯つまりルナがあぶない!
「この保護されたルナちゃんなんですが⋯⋯銀狼族なんです」
「なんだと⋯⋯」
一気に雰囲気が変わったのを私は感じました。
そしてノインさんがルナちゃんのフードを外してレオンさんに見せます。
「かわ⋯⋯いや。 ふむ⋯⋯さてどうするか?」
私の見たところ⋯⋯とくにレオンさんがらルナちゃんへの悪意のようなものは感じませんでした。
⋯⋯でもロリコンの嫌疑はちょっとだけ感じましたけど。
「あの! ウチのルナちゃんになにか問題でも?」
そう私は強めに問い詰めます。
「それはルナが獣人だから⋯⋯じゃないかな?」
そう今まで黙っていたカイルがポツリと言いました。
「獣人だから⋯⋯なんなのカイル?」
「そうか⋯⋯セレーナはその辺知らないんだな」
そしてレオンさんがため息交じりに答え始めました。
「いいかいセレーナ。 獣人は奴隷として扱われることが多いのだよ」
「なんですって!?」
とんでもないことを言い出しましたよ!
「俺たちの居た帝国じゃ獣人は人間の奴隷だったからなあ⋯⋯」
「そうなの?」
知らなかった⋯⋯。
私の周り⋯⋯大聖堂には獣人なんて居なかったから⋯⋯。
いや⋯⋯それが答えなのかもしれない。
獣人を大聖堂に近づけないというのが。
「⋯⋯この国でも奴隷なんですか獣人は?」
不安そうなルナを抱きしめながら私は聞きます。
「いや、このセグレイト共和国では獣人だからと言って即奴隷という法は無い」
安心⋯⋯はまだ早いですね、なにか含みのある言い方です。
「だがな⋯⋯帝国から奴隷を購入することも禁じてはいないのだ。 つまりこの国でも獣人は奴隷という見方をする者は多いのだ」
「⋯⋯そうなんですか」
この国を出た方がいいかもしれませんね。
「誤解しないでほしい。 このセグレイト共和国では奴隷はべつに獣人に限った話ではない、人間の奴隷だって大勢いる」
「⋯⋯つまり平等?」
「少なくとも獣人だから無条件で奴隷とか言う帝国に比べれば⋯⋯な」
さて⋯⋯どうしよう?
「だからねセレーナちゃん。 そのルナちゃんをそのまま連れ歩くとその⋯⋯よからぬ人に目をつけられる恐れがあるのよね」
そうノインさんが言う。
「普通の宿に泊めるのも危険があるかもな」
「⋯⋯そうですか」
よし出ようこの国を。
「⋯⋯帝国と裏でつながっている闇ギルドさえなくなればな」
そうポツリとレオンさんはこぼした⋯⋯。
「闇ギルド?」
「この国の裏の組織よ、主に帝国からの非合法奴隷や物品を扱っている」
そうノインさんが教えてくれた。
「じゃあその闇ギルドさえ無くなれば⋯⋯ルナは安全に?」
「おい⋯⋯物騒な事を考えるなよ、相手は無法の集まりなんだからな!」
そっか⋯⋯つまりぶっ潰しても問題なし⋯⋯だね!
「ママあ⋯⋯?」
不安そうなルナの声。
この時に私は決心した。
よし潰そうその組織を。
私の可愛いルナちゃんのために!
ふふふ⋯⋯。
ふふふふふ⋯⋯。
私の笑い顔にこの場の全員が凍り付いたのだった。
「ママ楽しそう!」
「うん!」
かわいいルナちゃん以外は⋯⋯。
私は鬼でも悪魔にもなるよ。
愛する娘の為ならば!
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