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月光の聖女幻想記~追放聖女セレーナと未来の勇者たち~  作者: 鮎咲亜沙


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#013 セレーナとカイルの冒険者試験

 一晩経って朝になった。


「⋯⋯まああの屋根裏部屋よりはマシですね」


 私が住んでいた大聖堂の屋根裏に比べればここははるかにマシな宿だった。


「はあ⋯⋯あれだけ荒稼ぎしてたのに大聖堂ってなんで雨漏りを修理しないのかな?」


 まあいいや、もう昔の愚痴は。

 ⋯⋯それよりも!


「起きてカイル! 朝だよ!」

「あ⋯⋯ああっ! 起きる! 起きるからセレーナ!」


 そう抵抗するカイルだった。


「じゃあ私は先に下に降りて待ってるよ」

「ああ、後で行くから」


 そして私は朝ご飯を食べに宿の1階の食堂へと向かうのだった。


「⋯⋯女の子と同じ部屋で寝るとか慣れないと」


 カイルが降りてきたのは5分後くらいしてからだった。




 そして宿での朝食が終わりギルドへと向かう。


「よし! 行くかセレーナ!」

「うん、カイル!」


 とは言っても徒歩1分もかからない場所にギルドはあるのだけれど。


「おはようございますノインさん!」

「おはようノインさん」


 そう私とカイルは元気に挨拶する。


「おはよう2人とも。 昨日はよく眠れた?」


「はい、もちろん!」

「うん⋯⋯まあ」


 ⋯⋯? カイルはなかなか寝つけなかったのだろうか?

 私なんてお布団に入って10秒で寝ちゃったからなあ⋯⋯。


「しっかり寝る、これも冒険者には大事な事よ」


「はい」

「う⋯⋯はい」


 ノインさんって面倒見がいい人だよな。

 昨日も銭湯でいろいろ教わっちゃった。

 こう髪の洗い方とか⋯⋯。


 ノインさんが使ってる整髪料を借りたおかげで今日の私の銀髪の光沢がヤバいくらい綺麗だった。


「2人は少し待っててね。 もうすぐ来ると思うから」

「はい」


 そう言って私とカイルはこのギルドの休憩所で待つ。

 ⋯⋯⋯⋯待つ。


「いつまで待つんだ?」

「さあ?」


 30分くらい待った頃だった。


「すまねえ! 遅刻遅刻!」


 そう桃色の髪を乱して走りこんできた女戦士が来た。


「セーフかなノインの姉御!?」

「アウトです、シェリルさん」


 ⋯⋯あ、怒ってるノインさんが。


「いやー、昨夜は一杯だけのつもりだったんだけどさあ。 マスターのお勧めだからってもう一杯もう一杯で気づいたら⋯⋯」


「はあ⋯⋯まったく。 ほら早く、あの子たちよ」


 そうノインさんが私達を紹介した。


「お⋯⋯この子らか、今日の相手は」


 その瞬間さっきまでのおちゃらけた表情から獲物を見る目に変わった。


「俺はカイル」

「セレーナです。 あなたは?」


「私はシェリル、ギルドハンターだ。 こう言った方がいいかな? 今日のあんたらの試験官だ。 よろしく」


 そう私達に握手してくるシェリルさんだった。


 力強く温かい手だと思った。

 それに⋯⋯胸でっか!

 昨日いっしょにお風呂入ったノインさんも思ったより大きかったけど、このシュエリルさんのはそれ以上だ!


 ⋯⋯私?

 私はほら⋯⋯無限の可能性があるから!


「なんか子供っぽい人だなシェリルさんって?」


「カイルにはわからないの? このシェリルさんのオトナの魅力が! まだまだお子様はカイルの方じゃない?」


「え~?」


 そんな事をコソコソ言い合う私とカイルだった。

 まったく女の胸ばっかり言うアドミス殿下よりはマシだけど⋯⋯カイルはまだまだ子供、私がしっかりしないと!


「準備はできてるかい?」


「はい」

「うん」


 そう答えるとすぐに。


「じゃあ行くぜ!」


 そう出かけるシェリルさんだった。


「ちょっと待ってくださいよ!」

「いーや待たない。 もう試験は始まってるんだからな2人とも」


 そう言われると仕方ない、私とカイルはおとなしくついていくのだった。


「⋯⋯大丈夫かしら?」


 そう心配そうなノインさんに見送られて⋯⋯。




 そしてそのまま私達3人は街の外に出る。


「今日は2人にゴブリンを狩ってもらう」

「ゴブリンを?」


 ゴブリンは帝国にも居た、一般的な害獣だった。


「ゴブリン退治が試験なんですか?」


 そう質問するカイル。


「いいか2人とも、冒険者には2つある。 ゴブリンを倒せる奴と倒せない奴に」


 そんなに強いのかなゴブリンって?

 私は城の中の警備しかしない騎士団だけじゃなく外で魔物討伐なんかもする兵士の皆さんとも仕事したことがある。


 その兵士の人達とゴブリンの戦いも見たが⋯⋯まあザコだった。

 私もなんどか倒したことあるし。


「俺、ゴブリンなら倒せますけど?」

「口では何とでも言える。 それを私に見せてくれればいい、それで合格さ」


 まあたしかに。


「ゴブリンってそんなに強かったんですか?」


「まあ強さで言えば下の上くらいだな。 だけど武器を使う悪知恵もある⋯⋯油断するとやられるんだよ経験者でもさ」


「なるほど⋯⋯たしかに」


「それにさ⋯⋯人型の魔物を斬れないって奴はけっこう居るんだよなあ」

「そうなんだ」


 うーんたしかに、人間を殺せないからと言って騎士団を辞めていく人は多かったなあ。

 まあ貴族の上級騎士はむしろ魔物よりも人間相手の方が戦いやすいみたいだけど⋯⋯出世する人はそういうものなんだろうか?


「まあ要するにこのゴブリン退治をできたら2人は最低でもDランク確実だ」

「そんなに!?」


「2人はそれだけの実力はあると聞いてるけど?」


 どうやらこのシェリルさんはレオンさんから私達の事を聞いているらしい。

 そうだ、この人はこう見えてもギルドハンターなんだった。


「よし! 俺たちの実力を見せようぜセレーナ!」

「はい! カイル!」


 こうして私とカイルのゴブリン退治が始まったのでした。




 街から出て2時間⋯⋯ようやく森に着いた。


「さあここからいつゴブリンが出てきてもおかしくないから油断するなよ」

「はい」


「それと私は基本戦わない、あんた達の試験官だからね」

「わかった」


「もしも私が手を出した時点で試験は終了だと思ってくれ」


 なるほど、そういう試験か?

 これは護衛試験と考えてもいいのかもしれない。


「じゃあカイル、私が基本的にシェリルさんを魔法で守るから」

「わかったセレーナ」


「ふむ、セレーナは魔法でカイルは剣か」


 そう私達を観察するシェリルさんだった。

 そして緊張する私達だったが⋯⋯。


「なんか今はゴブリンどころかなんの気配もしないな」


 そうカイルが言う。

 これまでの経験でカイルの気配察知は信頼できると私は知ってる。


「それっていい事だけど今の私達には困るね」


 なにせ試験だからなあ⋯⋯。

 索敵魔法とかが私に使えたら良かったんだけど⋯⋯私は使えないからなあ。


「とりあえずゴブリンの出てきそうな場所を探して見るか」

「そうね」


 こうして方針を相談する私達を黙って見つめるシェリルさんだった。




 そしてゴブリンを探す事⋯⋯10分後くらいだった。


「あれ何かしら?」

「馬車みたいだけど⋯⋯壊れている?」


「お? なんだなんだ?」


 そう私達はその破壊された馬車に近づくと⋯⋯。


「あ⋯⋯うう⋯⋯」


 頭から血を流す人がいた!


「大丈夫ですか!?」


 私はその男の人に治癒魔法をかける。


「あ⋯⋯ああ? 助かった、ありがとう」


 そうその男は私に礼を言った。


 その間カイルはこっちを見ながらも周囲の警戒をしていた。

 だから私が訊ねる事にした。


「いったいどうしたんですか?」


 周囲を見る限り事故の原因は見当たらない。


「ゴブリンだ⋯⋯ゴブリンに襲われた」

「なんですって?」


 やはりこの近くにゴブリンが居るらしい。


「あんた達冒険者だろ? 早くゴブリンを倒して積み荷を取り返してくれ!」


 そう喚く怪我人だった。


「落ち着いてください! 他の生存者は? それに積み荷ってなんですか?」


 そう私が聞くと⋯⋯。


「あ⋯⋯いや積み荷は⋯⋯その」


 なんとも歯切れが悪い?


「積み荷は何なんですか? わからないと取り返せないんですけど?」


 そう私が問い詰めるが答えは無い。

 ⋯⋯すると。


「お前さあ⋯⋯奴隷商のところのやつだよな? てことは積み荷は奴隷か?」

「なんでそれを!? は! お前はシェリルじゃないか!」


 どうやらこの人はシェリルさんを知っていたらしい、まあギルドハンターだし有名人なんだろう。

 それよりも!


「あなた奴隷商人なんですか?」


 帝国では奴隷は合法だったけど⋯⋯このセグレイト共和国ではどうなんだろう?


「ふーん。 あっちから来たという事は⋯⋯帝国からの奴隷の運搬中だったってところかな?」

「⋯⋯」


 そうシェリルさんが言うと黙る男だった。


「なんだ悪人かよ?」


 そうカイルも言う。


「つまりこれは見捨てていい人間?」

「まあそうだな」


「おいてめえら、ふざけんな!」


 そう私とシェリルさんに大声でまくしたてる男だった。


「奴隷商人なんてやってるから自業自得だろおっさん」

「やかましい! ガキが知った気になってんじゃねえよ!」


 まあそうかもしれない。

 まだ子供の私達がこの人の人生を理解はできないだろう。

 ⋯⋯でも。


「その攫われたという奴隷は何人だ?」


 そうカイルが訊ねた。


「⋯⋯1人だ。 まだ子供の銀狼族で高く売れるんだよ」

「そんな話は聞きたくありません。 ⋯⋯でも」


 その子に罪は無い⋯⋯助けないと!


「どっちに連れ去られた?」

「カイル!」


「⋯⋯あっちだ」


 カイルの質問に答える男だった。


「あっちの方はゴブリンの巣穴がよくある岩場だね」


 そう教えてくれるシェリルさんだった。

 試験中なのにあんがい甘い人だと思った。


「巣穴か⋯⋯」


 カイルは少し考えてから。


「⋯⋯シェリルさん! 試験は中断でいいですか?」

「いいけど、どうすんのさ?」


「これより俺たちはその子の救出に向かいます! で⋯⋯その援護をシェリルさんに指名依頼したいです!」

「⋯⋯ふーん。 まあいい判断だな、だけど私は高いぜ?」


 そうイジワルそうに笑うシェリルさんだった。


「じゃあ終わったら高そうなお酒を1本で!」


「⋯⋯2本だ」

「じゃあ交渉成立ですね」


 そう私の提案に乗ったシェリルさんだった。


「じゃあ行くぞみんな!」


「この人どうします?」

「ほっとけ。 自分の身くらい守れるさ」


「おい待てよ!? こんなとこに置いてくなよな!」


 こうして私達による奴隷の子救出作戦が始まった。

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