#011 セレーナとカイルの冒険の始まり!
「ノイン、シェリルを呼んでおいてくれ」
「かしこまりました」
なんだろう誰だ?
「さて、2人はいつから活動するんだ?」
そのレオンさんの言葉に私とカイルは目を合わせて。
「あんまりお金に余裕があるわけじゃないから今日は宿を決めて⋯⋯できれば明日からでも仕事したいかな?」
「そうねカイル」
そういや私のお金ってここで使えるんだろうか?
「あのノインさん? 帝国のお金ってここで両替できるんですか?」
「ええ出来るわ。 あとでしてあげる」
「ありがとう」
「あ、俺のお金もお願いしますねノインさん」
「はいはい、わかりました」
そう優しく応えるノインさんだった。
「じゃあノイン、彼らに手ごろな宿を紹介してやれ。 それで明日シェリルを呼んでおいてくれ」
「はい、わかりました」
なんなんだろうそのシェリルさんって?
「あの⋯⋯その人、なんか俺たちと関係あるんですか?」
そうカイルが私の聞きたかったことを聞いてくれる。
「ああシェリルはこのリベルタの街のギルドのエースハンターでギルドハンターなんだ」
「ギルドハンター?」
聞いたことのない言葉だ。
「ギルドが最も信頼する実力と人柄のハンターの事だ。 ようは君たちの試験官をしてもらう」
「試験官?」
試験なんてあるんだ⋯⋯。
「完全に素人だったら最低のFランクから初めてもらうんだが⋯⋯2人は冒険者以外のところでもう実力者みたいだからな。 だから明日シェリルに同行してもらって2人の冒険者ランクがどのくらいか審査してもらうのだ」
「なるほど⋯⋯」
そうカイルが緊張している。
私も緊張する⋯⋯。
つまりこの審査の結果で私達の冒険者生活のスタートダッシュが変わってくるという事だ。
「いいか君たち、無理はするな。 無理していいところを見せて高ランクになっても後で後悔するからな」
「そうなんですか?」
「考えてもみろ、実力ギリギリの依頼をそのあとしなきゃならないんだぞ。 絶対に命取りになるからな、 ⋯⋯まあ8割くらいの実力を見せるのを推奨している」
なるほど⋯⋯たしかにその通りだ。
「わかりました。 普段通りの実力を心がけようと思います」
「そうだ、焦るな若者よ。 お前たちには未来があるのだからな」
ここまでずっと厳しい目をカイルに向けていたレオンさんの目がやっと優しくカイルを見た気がした。
「はい! よろしくお願いします!」
「これからお世話になります!」
そう私とカイルはそろって感謝を述べるのだった。
「うむ。 君たちの成長を期待する!」
こうして私達のギルドマスターとの面会は終わったのでした。
そして⋯⋯。
「えっと2人の帝国硬貨の両替だったわね?」
「はい、お願いします」
そうカイルは財布を取り出して大事そうに汚い硬貨を何枚も受付カウンターに乗せていく。
きっと今までカイルが頑張って溜めてきた大切なお金なんだろう。
「はい、お預かりします。 えっとギルドで保管しておく?」
「どういうことですか?」
「さっきあなた達に渡したギルドカードにはキャッシュ機能があって⋯⋯まあ要するにこのリベルタの街の中ならほとんどの店で買い物に使えるわ」
凄い仕組みだった!
「そんな機能がこのギルドカードにあるなんて!」
「落としたら大変だな⋯⋯」
「大丈夫よ。 落としたら再発行するし、登録者本人にしか使えないから」
はてなぜだろう?
「どうしてですか?」
「そのギルドカードには持ち主の魔力パターンが登録されるのよ、だから本人以外は使えないし偽造も不可能なのよ」
そうノインさんが説明してくれた。
「すげーな! そんなものがあるなんて!」
「帝国には無いですねコレは!」
そう私達が驚く。
「この街に住んでいる天才科学者ジオックの大発明よ。 いずれは世界中にこのシステムは広まるかもね」
すごいな! でも帝国って遅れてるんだやっぱり⋯⋯。
まあ伝統と格式ばっかりの国だったからなあ。
そしてカイルは全てのお金をカードに移した。
「私もお願いしますね」
そう言って私は⋯⋯。
チャリンチャリンチャリーン♪
と⋯⋯硬貨を積み上げていく。
「けっこう持ってたんだセレーナって⋯⋯」
「そんなに服のあちこちからお金を⋯⋯用心深いのねあなた」
「あとコレも、ふう⋯⋯重かった」
最後に私は靴底に仕込んでいた大金貨をカウンターに乗せた。
「意外とお金持ってたのねセレーナさんって」
そう言いながらノインさんが集計してくれる。
「いちおう大聖堂ではお給金は出ていたので⋯⋯でもまったく使う機会が無かったですけどね」
服に仕込んでおいたのは一度だけ部屋にお金を置いといたら誰かに盗まれたことがあるからだ。
まあ大聖堂ではお金は無価値だったからたんに嫌がらせなんだろうけど⋯⋯。
「はい、カードに移したわよセレーナちゃん」
「ありがとノインさん」
こうして私達は大切にギルドカードをしまうのだった。
「こうやってると仕事中もお金のことを心配しなくていいよな」
「そうね」
「昔は貴重品はギルドの貸金庫に保管が一般的だったんだけどね」
そんな風に昔を懐かしむノインさんだった。
若くて綺麗に見えるけどノインさんって⋯⋯何歳なんだろう?
「それでノインさん。 俺たち今夜から泊る宿を見つけたいんだけど?」
「ああそうね。 今夜だけじゃなくて1月契約で部屋を借りられる宿を紹介するわ」
そう言ってノインさんはカウンターの下から1枚の地図付きの紹介状を出してくれた。
「これを持っていけばいいわ」
なるほど、おそらく冒険者ギルドと契約している宿なんだろう。
「あんまりいい部屋じゃないけどその分安いからソコ」
「ならもっといい部屋に住めるように頑張ります」
「ソコはお風呂無いんですか?」
カイルは男の子だから気にしないんだろうけど⋯⋯私はそろそろ気になってきている。
「その宿にお風呂は無いけど別に銭湯ならあるから⋯⋯あとで一緒に行く? セレーナちゃん」
「はい、ぜひ!」
「俺はべつにいいかな?」
いい人だノインさんは!
まあカイルは男だし⋯⋯べつにいいけどね。
「カイル君。 ⋯⋯不潔だと女の子に嫌われるわよ?」
「⋯⋯やっぱ入ろうかな? うん、この街に来た記念に!」
なんだやっぱりカイルもお風呂好きなんだ、安心安心!
「じゃあ私はあと少しで仕事が終わるから⋯⋯だいたい1時間後にこのギルドの前で集合でいい?」
「はい、わかりました」
「⋯⋯うん」
元気に返事する私とややうつむき恥ずかしそうなカイルだった。
「⋯⋯言っておくけど男女別だからねその銭湯は、カ・イ・ル・君」
「いや別に俺! 混浴とか思ってないし!?」
そう焦るカイルだった。
まあ男の人が女のハダカが大好きなのは知ってるけどね。
大聖堂に時々やってくる大口の寄付金を積む大貴族とかの接待に若い聖女がいっしょにお風呂に入ることがあったからなあ⋯⋯。
まあ私は皇子の婚約者という立場だったから免除されていたけど⋯⋯うん。
数少ないあの皇子と婚約してて良かったことだな。
「じゃあノインさんまた後で!」
「はい、いってらっしゃい」
「あのセレーナ! べつに俺、女のハダカとか興味ねーし!」
「あ⋯⋯うん。 そうなんだ⋯⋯」
⋯⋯あーカイルってそっちなのか?
騎士の中にはお互いに鍛えた筋肉を見比べあう戦友の方々が居るからまあ⋯⋯うん。
私は理解しているよカイル!
「カイル、私は人をそんな事で判断しないから安心して」
そう私は聖女スマイルでカイルを安心させたのだった。
「セレーナ⋯⋯ありがとう」
こうして私達はギルドを出て地図に従ってその宿屋を見つけたのだった。
うんまあ⋯⋯ボロい宿だったここは。
でもここから始まるんだ。
私とカイルの冒険の物語が!
よーし! がんばる⋯⋯ぞ!
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