表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

①『おべんとう事件』

王宮の中庭、昼下がりの陽ざし。

噴水のそばでランチタイムを迎えたアーサー王子は、書類を片手にぼんやりと空を見上げていた。

そこに、弾けるような声が響いた。


「アーサーさまっ!お弁当、作ってきました~♪」


いつものように笑顔満開で駆け寄ってきたのは、婚約者であり、天然系で名を馳せつつある少女――ベルナデッド。

王子は少し警戒した。

なぜなら、彼女は「料理は、気持ちが大事なんです!」と毎回胸を張るタイプだからだ。


「……ふむ。では見せてみるといい」


「はいっ!」


ベルはお弁当箱を開けた。

そこには、まるで魔術師が具現化したかのような未知の料理群が広がっていた。


「これが、ハートのオムレツ、で。こっちは、ええと、アーサーさまの笑顔をイメージしたサラダで……こっちは、えへへ、思いつきで入れてみました♡」


「……これは……なんだ?」


「さつまいもとマシュマロの……ラブ混ぜ?」


「ラブ混ぜ?」


「気持ちを混ぜましたっ!」


王子はお箸を持つ手を一度止めた。

だが、ベルがキラキラと目を輝かせて見つめている以上、逃げ場はない。


「……(これはもはや戦場だな……)」


覚悟を決めて一口。


――予想より甘い。


「……ふむ、これは……なるほど」


「お、お口に合いませんでしたかっ?」


「いや。……お前らしい、味だ」


「わあい♡ もっと食べてくださいね!」


こうして、アーサー王子はこの日、心と味覚の限界に挑戦したのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ