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ある少女の、疑い。

 カルトスはチラリと校舎の方に視線を向けた。つられて見てみると校舎の壁の影から二人の男子生徒が気不味そうにこちらを覗き見ている事に気付いた。


「⋯友達も待ってる事だからもう行くな!猫と遊ぶのも程々にしとけよー、じゃ!!」


 言い終わるよりも先にカルトスは壁の方と駆けて行き、友人達に片手で悪い、というポーズを作った。多分謝っているのだろう。それに対し彼の友人達はブンブンと首を振り、焦ったような対応を取った。


 それを見たカルトスは何かを彼らに言うと、最後にこちらに向かって手を大きく振ってきた。それに対し三人揃って手を振り返すと彼は去っていった。


「友達にしては余所余所しい…?」


「ん?何か言った?どうしたの?」


 どうやら口に出してしまっていたらしい。ルクスちゃん心配そうにこちらを見ている。見るとラテルも心配した顔だ。二人に訂正するために手を振りながら「何でも無いよ。」と何度か言うと二人共安心した様な表情になった。


「それじゃあ、私達も速く行こう!!休憩時間終わっちゃう!」


 そう言ったルクスちゃんは私とラテルの腕を掴み、走り出した。ラテルはぎょっとした表情をしたけれど振り払うことはしなかった。今回の猫事件のおかげで少しだけ仲が深まったのかもしれない。


(⋯そうだったら、嬉しいな。)


 いつもよりも嬉しくなった私の気持ちには、皆走っているおかげで気付かない。頬が緩んでいた事には私自身も気付かなかった。



■■■


(それにしてもカルトスの友達は何であんなによそよそしかったんだろう⋯)


 午後の授業を受けながら私の意識は別の事に傾いていた。そう、あの休憩時間中の彼らのことだ。友達、と言う割には仲が良い様には見えなかった彼ら。その関係はそう、上司と部下の関係の様に見えた。


 私も昔、社会人の時にあんな風に上司が怖くてペコペコしてたっけ⋯って話が脱線した。確かに友人関係にも色んな形があるっていうのは分かる。ただ、彼らには上下関係と似たものを感じるのだ。


 とはいえカルトスが彼らを従えて支配する様な人柄には見えなかった。初対面だから何とも言えないが。⋯まぁ、公爵家の次男と言っていたし、取り巻き的な、そういうものの可能性もあるか。


(⋯まだ、注意する必要はある、かも。)


 

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