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ある少女の、椅子。

「えーっと…二人とも仲良くね。」


 手を握ったと思った瞬間すぐにラテルは手をほどき、そっぽを向いてしまった。


 何とか仲良くしてくれないかと考え、言ってみたがラテルはそっぽを向いたまま。返事をしてくれたのはルクスちゃんだけだった。


 その様子にどうすれば良いのか分からず、三人の間に静寂が走った。…とても気まずい。


 確かに仲良くなれない人やきらいな人ぐらい誰にでも出来るだろう。とはいえ今はまだお互い殆ど喋っていないわけだから、一旦会話をすべき、と私はおもったのだが…


 右隣を見ると未だにそっぽを向いているラテルがいて、左隣を見てみると、ぽけっとしているルクスちゃん。


(…どうしよう)


 もう一度話してみるように言うべきか、それとも放っておくべきか。このままラテルが話さないのはルクスちゃんに対して失礼だし…


 でも初対面でも「この人合わないなー」と思う人ぐらいいるものだから、ラテルに無理強いするのも…


 そう悩んでいる時、辺り一面に光が溢れた。眩しくて咄嗟に目を瞑ってしまう。これは一体何なんだ、と考える前にその光は消えた。


 そうして目を開けると、講堂の至る所に椅子が散りばめられるように置かれていた。その椅子の殆どが生徒達が立っている後ろに置いてある。


 その事に気付きはっ、と自分の後ろに振り返ると椅子が三つ並べられていた。これは言わずもがな魔法だろう。移動系の魔法か、出現系、収納系の魔法のどれかだろうか。


 このどれもが高位魔術。使った術者はそうとうな手練れなのだろう。とはいえ椅子を出しただけなので敵襲などでは無いとわかり安心した。


 元を辿ればここは小説の世界。何がいつ起きてもおかしくは無い。いつでも警戒しておかなければ。


 そう意識を高めていた時、前方の演説台に人が突然現れた。年配の方のようで、杖で身体を支えており、その身体は少し震えている。


 その様子だけ見るとただのご老人のように見えるが違う。あの人は魔力量がすごく多い。


 周りの生徒達より魔力量が多いのは言わずもがな、教師達よりも圧倒的に魔力量が多く、威圧感がある。…とはいえラテルの半分かそれ以下ぐらいだろうか。


 普段ラテルは魔力量が多すぎて危険なために、魔力量の制御をしている。


 一度だけ見せてくれと頼んだ時があった。その時ラテルは断ろうとしていたが私が無理を言い、見せてくれたのだ。

 

 その瞬間、私は失神した。ラテルの魔力量に当てられたのだ。その事から後悔し、二度と頼まないと心に誓った。

 



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