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ある少女の、制服。

 支給された学園専用の鞄に教材や筆記用具を詰め込む。ご覧の通り今日は始めての登校日だ。あの手紙には合格発表の紙が記されていたが、後日もう一枚書類が届き、平民からの特待制度についての説明が記されていた。


 その内容は、支給品や制服についての説明や、入学に至っての注意事項等だった。ご丁寧に学力点が急激に下がったりした場合には特待制度の取り消しになる事まで記されていた。つまり、平民なのだから退学にならない為にもしっかり励め、ということだろう。


 因みに学力試験では三位という結果だったらしい。これも手紙に記されていた内容の一つだ。ついでにラテルは何位なんだろうと思い、聞いてみると一位だったらしい。


 一体、二位の人物は誰だったのだろうか、と思ったが今考えても分かる事でも無いので考えるのをやめた。⋯とにかく、そんなこんなで入学準備をせっせと終わらせ、遂に今日が当日、というわけだ。



 また緊張するのでは、とも思ったが試験の結果の時に比べれば全くもって大した事無かった。あの時の緊張に比べれば気にするまでも無い程なのだ。


「教科書も入れたし、これで忘れ物は無いかな⋯?」


 確認様に作っておいたチェック用紙を見ながら鞄の中を確認する。見た感じは入れ忘れも無さそうだし大丈夫そうだ。


 確認を終えた事に一息付きながらチラリと近くに置いてあった全身鏡へと視線を移す。その中には鞄の前に座り込み、真新しい制服に身を包む私の姿が写っていた。


 学園の制服は平民なら一生袖を通さないような肌触りの良い生地のものだった。女子は膝丈程のスカートで男子はズボンと決まっている。前世の現代社会ではジェンダーレスもあり、女子もズボンを着る様になってきていたが、此方の世界ではこう決まっていた。


 男女の差別も一定数あり、女性の自由が少し縛られている所がある。とはいえ私は絶対にスカートを着たくなかったり、ズボンを着たいわけでも無いのでファッションに関してはそう困っていない。


 この制服だって貴族も着るものなので、可愛くおしゃれにデザインされている。私は服に詳しくない為、断定して言う事は出来ないがこれはこれで良いデザインだと思う。


 立ち上がり、履き慣れていないショートブーツにチラリと視線を向け、目立った汚れが無いかを確認する。全身確認したが問題は無さそうなので、これで準備は完了だ。


「姉ちゃんー!そろそろ出ないと馬車来ちゃうよ!」


 部屋の開いた扉の前から姿を見せたラテルも同じ様に学園の制服を身に纏っていた。史上最年少らしく制服の採寸の時には店の人間に驚かれていた。


 とはいえ着こなされた新品の制服はよく似合っている。制服を身に纏うラテルに成長を感じ、嬉しい気持ちと切ない様な感情が入り混じった。


「⋯わかった。直ぐ行く。」


 返事を返し、何とか気を取り直した後、置いていた鞄に手を掛け、背負った。





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