ある少女に、お友達。
その疑問とはラテルが私に勉学特化科を進めた事に対してだ。ラテルなら魔法特化科の合格基準なら絶対に頭に入っている筈だ。それなのに私には合格の可能性がある魔法特化科では無く勉学特化科を進めた。
魔法の特訓だってラテルに隠れて行う、なんて事は無く目の前で行っていた。この事からラテルが私の魔法について理解している事がわかる。本当に何故魔法特化科を進めなかったんだろうか。単純に忘れていたという場合もあるかもしれないが何となくそれは腑に落ちない。
「ランペちゃん?」
そのルクスちゃんの問い掛ける声が耳に入り、現実に引き戻された。声の元の方に顔を向けるとそこには不思議そうで心配そうな表情をしたルクスちゃんがいる。考え過ぎると自分の世界に浸る所は私の悪い所だ。
「あ、ごめん。つい考え事しちゃってた。」
私がそう言うと頭を振り、否定するような仕草をした。
「大丈夫だよ!!ただ急に黙りこくっちゃったからどうしたのかな?って!⋯考え事だったら良いんだ!!」
そう言葉を紡ぎ、こちらを安心させる様な明るい笑顔を向けてくれた。出会ってから数分ほどしか経っていないけれど彼女が良い人だと言う事が伝わってきて、何だかとても安心できる。
「うん。ありがとう。」
とても暖かい気持ちになり、自然と口角が上がる感覚がした。最近はよく表情筋が動くようになったように思う。するとこちらに顔を向けていたルクスちゃんの顔が何故か面食らったようなものになっていた。私はどうしたのだろうかと思い首を傾けた。
「⋯ランペちゃんが笑った顔、可愛い!!」
その言葉に今度は私の顔が面食らったようなものになってしまった。可愛いだなんて家族以外に言われた事が無い。というか自分でもそんなに可愛い顔とは思っていない。
「そっ、そんな事無いっ!し、ルクスちゃんの方が絶対可愛い、と思う⋯」
頬が熱くなる感覚があり、俯きながら放った言葉は段々と語尾が小さくなっていってしまった。当然だ。私は自分が可愛いと言われる事が殆ど無かったのと同じくらいに人に可愛いと伝えた事が無い。ラテルには何度か言っているがそれぐらいだ。
「⋯やっぱりランペちゃんは可愛いよ!あと可愛いって言ってくれてありがと!!」
そう言い、勢いよく抱きついてくるルクスちゃんに対して私は何とか身体が倒れないように力を込めながら火照った顔を必死に隠す事しか出来なかった。




