表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/56

ある忙しい身支度の、下っ端より

 屋敷中をドタバタと歩き回る足音。大きな声たち。そう、今日からお嬢様の学園生活が始まるのだ。侍女達がお嬢様の様子が豹変したという話をしていたあの日から数週間たった。使用人はお嬢様の身支度や準備やらで大忙しだ。お嬢様が学園で粗相を犯したりでもしたらこの屋敷の人間全ての失態になる。それは使用人達も関わること。だからこそ皆失態を犯さないよう必死だ。特に侍女達は学園まで付き添いをするため心労も多いであろう。


 とはいえ私はいつもの掃除、洗濯当番だ。下っ端のしかも未成年の使用人はそんなもんだ。ただ掃除も洗濯も人員が減るから普段の倍は忙しい。侍女や元が貴族の地位の者やベテランは全員が身支度、準備にまわされる。そのためわからないことがあったら聞くこともできない。(私は何年かここにいるから殆ど困らないが。)私よりも新人な最近入って来た者が一番困っている。



 先程も私がタライの中の冷たい水に手を突っ込んで洗濯をしている時に、


「先輩〜!!この汚れ擦っても擦っても落ちないんです!!どうしましょう!!」


⋯という後輩からのhelpが来た。彼女は唯一年下の後輩。1つ下の子だ。この屋敷で働く人の中の癒やし枠だと私が勝手に思っている。「まだ若いのに大変だねー」と前に伝えたら「何言ってんですか⋯1つしか変わらないのに。」と不機嫌そうに言われた。後に聞いたけど子供扱いが嫌だったらしい。うむ、年頃の子への言葉は気をつけて使おう。と再確認した。



 後輩ちゃんの持ってきた布には何かのタレがかかっていた。というわけでその仕事は私が引き受けた。後輩ちゃんには大変だろうということで。最初は凄い勢いで断ってたけど何度も根気強く「私がやる!」といえば渋々渡してくれた。



 取り敢えず貰った布をお湯で擦ってみた。が、全く落ちなかった。そこでしばーらく悩んだ。本当に。そこであることを思い出したのだ。『食器用洗剤と歯ブラシを使えば落とせる!!頑固な汚れ!』というような広告を。早速試してみたのだった。結果は、





 微妙に薄くなった。微妙に。ということでそれを2,3時間続けた。もう一生やりたくないとは思ったがなんとか汚れが落ちたのであった。




⋯というエピソードがあった。このように私は新人、未成年組の中ではベテランなほうなので本物のベテランの方々がいないと他の子とは違った意味で困るのだ。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ