ある少女、衝撃を受ける。
緊張と気力を持ち、しっかりとした足取りで道を歩く。今日は遂に学園の入試の日だ。記憶を取り戻し、決意を固めたあの日から約四年が経過していた。現在は十五歳である。勉強や店の手伝いをしたり、時々遊んだりする、そんな日常が続く四年間だった。
私の試験は筆記試験のみだがラテルは筆記試験に加え、魔力値試験もあるらしい。ラテルは魔法特化科の入試を受け、私は学力特化科を受けるから内容が違う。
この学園は普通科、魔法特化科、勉学特化科、武術特化科に別れている。詳しくは知らないがどのかも名前の通りの事に特化した科になっているらしい。普通科と勉学特化科が別れている理由は何やら貴族が関わっているらしい。
昔、存在していたある高位貴族のとある人間が全ての科の入試に落ちたらしい。その結果に怒ったその人間の親が学園側に圧を掛け、普通科というものを作らせたそうだ。
それから入試に落ちた貴族達は高額のお金を積んで普通科に入学するようになったらしい。お陰で今の貴族達は入学出来ない事は殆ど無いらしい。とはいえ地位の低い貧乏な貴族の場合ではまた違うらしい。
だがこれは貴族の話、生憎私は平民である。そんな巫山戯た量のお金は無い。だから絶対に受からなければいけないのだ。
とはいえ受からないと、と考えるほど不安は積もっていく。ふと自分の手を見てみると微妙に震えていた。
「姉ちゃん緊張してるの?」
じっと震えた手を見ていた為に緊張がラテルに伝わってしまったらしい。ラテルが口に出した言葉は問いというよりは確認と言った方が良い口調だった。
「あー、うん。」
ここで見栄を張って嘘をついた所で直ぐに見抜かれて悲しいことになるだけだろうと思い、正直に返事をした。とはいえ気を使わせる事になってしまうのは嫌だなあと思った。
「まぁ、そりゃ緊張するよねぇ⋯」
心配とは裏腹に当然、というような様子でうんうん、と何度か頷きながらそう言うラテル。心配性なラテルにしては珍しく落ち着いている。
「でも多分大丈夫だよー。四年も勉強してるしね。」
その言葉に「どうして?」という疑問を返す。単純な疑問である。勉強しているのは私だけでは無いのだから必ず受かる確証は無い。
「そりゃぁ、貴族が勉強を始める年齢が基本的に十三歳からだからだよ!」
「⋯え?」
自信満々に言うラテルの言葉は予想外のものであった。という事は貴族の人は二年程しか勉強していないという事だろうか。
「人によってはもう少し早くから始める事はあるけどそれはかなり少数だよ。だから姉ちゃんに教えてた内容も試験の範囲の倍はあったしね!多分だけど余裕だと思う!」
「は、はぁ⋯」
衝撃の内容過ぎて何とも気の抜けた返事をしてしまった。というかそこまでの内容を教えられるラテルった何者なのだろうか、




