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ある少女の、晴天と。

 箒で掃き集めた埃や砂を塵取りで集め、店の裏にあるゴミ箱に捨てに行く。普通に外に掃き捨てた方が楽ではあるが店の外観が良くないという理由からゴミ箱に捨てているらしい。


 これで頼まれていた仕事は完了した。何となく空を見上げると本日も曇りなき晴天であった。太陽が真上にあり眩しい、なんて事は無く空の端っこでポツンと光り輝いている。


 それもその筈、今は太陽が登って数時間経った頃、人通りも少ない時間である。朝の特徴的な空気が肺に入り、出ていく。こういう朝の空気感はそこそこ好きだ。


 うちの食堂は働きに出る人達が朝食を食べに来ることも少なく無いため朝早くから営業しているらしい。何度も思うが家の両親は凄いと思う。


「姉ちゃーん!そろそろ店始めるって!」


 ラテルの声に今が手伝いの途中だった事を思い出した。⋯私、物忘れが激しく無いだろうか。まだ花の十代だというのになぁ。


「今行くー!」


 私にしては大きい声を出せたように思う。そんな風に返事をして、店の入口まで駆け出した。店の中に入ると箒はラテルが片付けてくれたようで既に掃除箱の中に入っていた。私も急いで塵取りを片付け、掃除箱の扉を締めた。その時、後ろから母に声をかけられた。


「そろそろ店開けるから手洗っておいてね〜。」


 厨房の端にある流し台の上で石鹸と魔法で出した水で手を洗う。飲食店だからこそ衛生面はしっかり綺麗にして置かなければならない。


 私とラテルがどちらも手を洗い終わった頃、母は〝営業中〟と記された看板を外に運んでいた。つまり開店時間ということだ。外から戻ってきた母は私達の方に顔を向けた。


「これからお客様がいらっしゃるけれど接客の方法は昨日説明したとおりよ〜。」


 そう言うと右手で拳の形をつくり上へと突き上げた。


「それじゃあ、頑張りましょうか〜!」


 その姿を見た私も母のように握りこぶしを作り、上へと突き上げた。


「「おー!」」


 隣からも同じ声が聞こえ、横を見るとラテルも同じ様にこちらを見てきょとんと顔をし、拳を突き上げていた。また被ってしまったらしい。


 その場にいた全員が笑ってしまった。




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