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ある姉弟の、お手伝い。

 ラテルに感謝を伝え、暖かい雰囲気が漂っていた。しかし今はお手伝いをする事が最重要任務だという事を思い出し、顔を引き締め直した。


 その雰囲気が伝わったのかラテルもキリッとした表情へと切り替わった。ただ元の顔が可愛いで構成されているが為に可愛いに近いかっこいいになっている。見ていると癒やされる。


 また緩みそうになった頬を引き締め、ラテル同様、キリッとした目線を母の方へ向けた。するとこちらに話しかけようとしたのか振り返った母の顔が破顔した。


「ど、どうしたの?二人共、その顔、ふふっ」


「「気合を入れています。」」 


 何と返事がハモった。その事に驚きながらラテルと顔を見合わせた。それにしても話しながらも笑っている。この顔はそんなに面白いのだろうか。


 少々解せぬ、と思った為、元の表情に戻した。そのタイミングと同時にラテルもニコニコとした表情へと戻った。その様子を笑いながらも見ていた母が一つ、こほんと咳払いをした後に口を開いた。


「⋯まあとにかく、早速始めましょうか〜。最初は清掃よ!二人には机と窓を拭いてもらおうかしら。」


 そう言われ、一人二枚ずつ雑巾を手渡された。一枚は濡れ雑巾、もう一枚は乾拭き用の物らしい。母はそれを渡した後、「父さんと食材の仕込みをしてるから何かあったら厨房に来てね〜」と言言い残し、厨房へと入っていった。


「⋯よし、始めよっか。」


「うん!」


 ラテルは何処かソワソワした様子だ。何だかんだ言って手伝いを楽しみにしていたのだろう。⋯私も少しワクワクしているが。


「じゃあ、私が窓拭いとくから机の方お願いしても良い?」


「わかった!」


 ラテルはそう言った後、直ぐに机を拭き始めた。この指示を出した理由は私が窓を拭きたいから、といった個人的なものではない。身長である。今のラテルの身長では窓の上の方までは届かないのだ。


 とはいえ私も背伸びをしたりジャンプをしたりでやっと届くのだが。



 そうして何とか窓と机の両方を拭き終わった。何度も背伸びをしていたせいで足が疲れた。二人で雑巾を洗い、干した後やる事が無くなったので母の元へ向かった。


「母さん、拭き掃除終わったよー。」


 厨房の方に顔を除くと父と母はそれぞれ野菜を切っていた。トントン、という規則正しい音が響いている。私の声に気付いた母が包丁を置き、こちらに顔を向けた。


「あら、もう終わったの?雑巾も洗ったかしら?」


 「うん。」と返事を返すと、少し悩んだ表情をした後、言葉を続けた。


「それじゃあ、玄関掃除をお願いしようかしら。箒の場所はわかる?」


「んー⋯、あっ、掃除箱の中?」


 母の言葉から厨房の近くの角の方にある縦長な四角い箱を思い出していた。 多分あれが掃除箱なのだろう。


「それなら、大丈夫そうね。頼んだわよ〜。」


 そう言い、母はニコッとこちらに笑顔を見せた後、中断していた作業を行い始めた。その顔を見て、やっぱり母とラテルの雰囲気というか、笑顔は似ていると思った。


 

 考えていた掃除箱らしき物に近付き、ラテルと一緒に中を除くと案の定、中には箒や塵取りが入ってた。そこから箒二本と塵取りを取り出し、一本をラテルに渡す。「はい、どうぞ」と言うと「ありがとう。」という返事が返ってきた。


 

 玄関では砂や小石、埃などが出てきた。お客さんが出入りするから必然的に溜まってしまうのだろう。隅の方からも綺麗に掃き出し、玄関掃除が終わった頃には少々疲労が溜まっていた。



 こんな仕事をいつも二人でこなしている父と母はやっぱり凄いな、と感じた。

 


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