ある少女の、お手伝い。
夕食を食べ始め、少ししたその時、母が口火を切った。
「ランペ、明日って何か約束とか予定ってあったかしら?」
「⋯否、いつも通り勉強しようと思ってたんだけど、何かあるの?」
母は少し気不味そうな雰囲気を出している。よく見ると父も心なしか同じ様な雰囲気だ。どうしたのだろうか、と疑問に思いラテルに目配せをしてみたがラテルにも分からないらしい。
「用事が無かったら店の手伝いをしてみて貰おうかと思っていたのよね、ランペも大きくなった事だし。でも勉強があるんじゃ仕方ないわよね⋯」
そう言いながらも母はチラチラと期待を含んだ目でこちらを見ている。そんな目で見られると手伝うしか無いじゃないかと思うことから私も大概頼まれ事には弱いと思った。
「⋯明日は店を手伝うよ、勉強ならまだまだ時間あるし。」
ラテルの方を見ても得に問題は無さそうだ。黙々とシチューを食べていた。しかし店の手伝い、無事に完了できるだろうか⋯前世では酷い有様だったから心配である。
接客の仕事を与えられると、知らない人達と喋る事に緊張し焦り、話せなくなり、終いには料理を転んで落とす始末。更に料理はまだ幼いから出来なかった。
前の時は幼かったから出来なかったのだ!、と言いたいが前の時だって前世の記憶は持っていた。だというのにあの結果だと、あれ?もしかして結構やばいような、
今ならまだ辞めると言えば辞めれるから、手伝い辞めようかな、否でも⋯と悩んでいたその時、
「姉ちゃんだけ良いなー⋯僕も手伝いたい!」
一筋の光が現れた⋯!ラテルは現在、両親の前という事もあり子供ぶっている。これが世に言う猫被りだ。これはいつもの事であり、普段なら(ラテル凄いな〜、私には真似できないな)という感じで流しているのだが、今は違う。
流石です!最高です!と崇め讃えたい。私が幾らか失敗して途中退場したとしても、お手伝い人が一人残るので両親が困る事は無い。更に姉としてのプライドが覚醒し、手伝いも何とかなるかもしれない。
という事で手伝いの件は何とかなりそうだ。




