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ある姉弟の、勉強。

 太陽が燦々と輝き、空は綺麗な薄い青色に染まった今日この頃。私はいつも通り弟と部屋の中で勉強をしていた。外から子供達が楽しげに遊ぶ笑い声が部屋の中へと入ってきた。


 前世や一周目の記憶が無かったら私もラテルも普通の子供達と一緒に無邪気に遊んでいたのだろう。私自身はインドア派なので外で遊びたいとは思わないけどラテルには申し訳ないと思った。


 そんな関係の無い事を考えていたせいでペンを動かす手が止まってしまっていた。その事がラテルに見られていたのだろう。


「姉ちゃん、手が止まってるよ。」


 少し睨むような目つきでこちらを見ながら言葉を発した。とはいえ私の方が身長が高いせいで上目遣いのようになってしまっている。怖さよりも可愛さが勝ってしまっている。


 だがここで「可愛いねぇ〜。」なんて言ってしまったら今度こそ確実に怒られるので言葉にはしない。


「ごめん、ちょっとよそ見してました。」


 と素直に謝り手元のペンや書類、書物に目線を落とした。この教材に使用している物は両親に勉強がしたいとお願いし勝って貰った物だ。


 最初はラテルに口頭で説明してもらっていたのだが、それだけでは解らない部分も出てくる事、それと単純にラテルにかかる手間が多くなる事から教材が必要、という結論に至ったのだ。


 実際に教材が手に入ってからは一人でも勉強出来るようになった。元の目的通りにラテルも前ほど忙しく無さそうになったと思う。



 その後は真面目に集中してペンを動かし、解らない所があったらラテルに聞く、という形で勉強を続けた。途中で昼ご飯を食べたりと休憩を挟みながらも集中し続けた結果、夕食の時間までに達していた。


 「夕食の時間よ〜。」という母の声によって時間がそんなに経っていた事に気付いた。前世の自分なら有り得ない程の集中力と勉強量だ。その事に驚いているとラテルからも驚きと称賛の言葉を掛けられた。


 褒められる事には前世も含め、慣れていないから少し動揺したせいでラテルへの返しが「あ、ありがと。」という少しぶっきらぼうな物になってしまった。


 というのにラテルは微笑ましいものを見るような表情をしている。そういう態度は照れるから辞めてほしい。仕返しとして頭をワシャワシャと撫でた。


 すると案の定少し照れた様子で「辞めてよー!」という抗議の声が返ってきた。私に勝つなど百年早いのだ!と思った。


 

 既に幾つかの料理が机の上に並べられていた。部屋中に美味しそうな匂いが漂っている。置かれていたのはシチューとパンだった。今日の夕飯はシチューらしい。父と母を見ると台所の方から水を持ってきている様子だった為、手伝えることはもう無いのだろうと思い。ラテルと横並びにイスに座った。


 私の前の席が母で斜め前が父、隣がラテル、この席がうちの定位置だ。すると丁度コップに入った水を持った二人が到着した。


「お待たせ〜、それじゃあ食べましょうか。」


 両親が座った直後、シチューの香りが漂う暖かい空間に「いただきます。」という声が響いた。

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