ある少女の、今と過去。
結局私は学力面で入学する事を目指すことが決まってしまった。あぁ、最悪だ。実は私も魔力が強かったなんて事は無いのだろうか⋯否、現実がそう上手くいかないことはわかっているのだ。
しかし、これで入学も可能、って⋯ん?
「ラテルの年齢じゃ入学出来ないんじゃ⋯?」
あの学園は確か十五歳からが入学年齢だ。それ以下の年齢の子供が入学したなんて前例は無かったはずだ。そして私とラテルの年齢差は五つだから私やお嬢様が十五歳の時ラテルは十歳。
「それは大丈夫だよ。あの学園一応十五歳が基準なだけで十五歳以下でも入れるから。」
「え?そうなの?」
「うん。まぁ全体で言ったら本当に少数だけど。十歳は流石にいないけどね。」
どうやら私の気苦労だったらしい。でもこれなら私の学力が何とかなれば入学は大丈夫そうだ。⋯私が落ちてもラテルだけ入るので良いんじゃ?そう考えているとラテルが笑顔で、
「姉ちゃん?」
と、圧をかけてきた。何故私の考えがわかるのだ。解せぬ。
「まさかとは思うけど、『ラテル一人でも問題がないから私は落ちても何とかなるでしょ』なーんて考えてないよねぇ。ハハッ」
「そ、そんな事考えてないよぉ。それに私がお嬢様を止めるって言い出してるんだから〜ハハハ⋯」
何とも言えぬ笑いと雰囲気が広がる。⋯しかし実際私が言い出したことだしラテルに任せるなんて有り得ないよなぁ。でも勉強は、勉強はなぁ。
「はあ⋯」
「姉ちゃん、本当に勉強嫌いだよねぇ⋯前の時もそうだったけど勉強だけは全然しないんだもんなぁ。それでも頭結構良かったような⋯なんで?」
「いや~⋯まあ、うん。」
前世の義務教育やらのお陰ですよ。やりたくもない勉強や運動をして、本当に私のようなボッチ陰キャには厳しい学生時代だった。はあ⋯社会人になっても特に駄目駄目なままだったし。
単純に私の面倒くさがりで暗い性格だったっていうのも関係してるんだけど⋯困ったものですよ。全く。このことをラテルに言えるわけもなく適当に誤魔化したがまだ納得がいかないような顔をしている。
「⋯まあ取り敢えずこの件は置いといてあげる。」
「⋯ありがとう?」
こういう場合何と返すのが正解なのだ⋯ありがとうは変だった?難しい⋯
「⋯そういえば今って何歳だっけ?私達。」
「また、唐突に言い出したね⋯僕が六歳で姉ちゃんが十一歳だよ。」
なるほど、身体が軽いわけだ。しかしあんまり身体の大きさは変わっていない。多少は変わってはいるが。私は元から小柄な方なのである。もう少し身長が欲しい。
「でも何で年齢なんて⋯?」
「嫌、ちょっと気になっただけ。学園入学までの時間が、さ。」
「⋯あぁ、なるほど。」
「まあ四年もあれば大丈夫だとは思うんだけどねぇ⋯」
前世の受験勉強を思い出す。あの、まるで地獄を。毎日、毎日学校でも勉強。家でも勉強。私の前世は早死だったから学生時代の記憶の方が濃いのだ。
⋯今は今で過去は過去なのだからこういう暗い考えは辞めよう。うん。
「まあとにかく勉強頑張ろうね。姉ちゃん。僕がちゃんと教えてあげるから!」
「うん⋯」
先の事を考えると、はあ⋯ため息がでますよ⋯




