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ある転生少女と、原因少年。

 一体どうなっているのだろうか。私は一度転生している人間だ。所望転生者である。そんな私が今度はループもしている。もし今の私がステータスバーを出せたら〝転生者〟と〝ループ者〟の2つの称号が出てくることだろう。


 ちなみに目を覚ました時に知らない天井だった、なんてことはなく自分の部屋だった。きっと誰かが運んでくれたんだろ。弟は身長的に無理だろうし。父か母あたりだろうか。誰にせよお礼は言わなければ。


 その後少しの間ぼーっとしていると規則性のある小さな足音が聞こえてきた。そして開かれたドアの前に現れたのは弟だった。


「⋯姉ちゃん起きてたの!?」


「あ、うん。さっき起きた。」


 目を見開いて喋る弟。今回のラテルはいつもオーバーリアクションだなあ。⋯今回、前の記憶を思い出して気づいたこと、確信している事がある。私はゆっくりと口を開いた。


「⋯単刀直入に聞くけどラテルってさ、二周目だよね。人生。」


「⋯え?」


 ラテルは見開いていた目を更に開いた。瞳が零れ落ちそうだ。問いかけるように話したがこれは質問ではなく確認のようなものだ。今までのおかしな行動といい、1度目の時とは明らかに言動が違う。ここまで落ち着いた子ではなかった。元の性格が明るいおかげで周りから怪しまれるほどでは無いのだが。


「さっき、転んだ時に思い出したんだ。前の記憶。」


「ま、前って⋯思い出したの?⋯何で?」


 前の記憶を思い出したことを伝えるとまたぶブツブツと喋りだした。早口で小声の為、何を言っているかまでは聞き取れないがこの反応だと確実に一周目の記憶があるんだろう。少しした後、ラテルがこちら側を見て目があった。


「⋯本当に覚えてるの?、姉ちゃん。」


「うん。」


「あの時の事も?首、斬られた事、とか⋯全部?」


「⋯うん。」


 ラテルの瞳が段々と潤んでくる。どうしてこの子が泣くのだろうか。あぁ、やっぱりまだ小さかったのにあんなグロテクスなことを見せられたのが嫌だったのだろうか。


「⋯ごめんね、あんなショッキングなところ見せて。やっぱり見たくなかったで、」


 言い切る前に弟が抱きついてきた。ふわふわした髪の毛が視界いっぱいに映る。


「何でっ、何で姉ちゃんが謝んだよ!!」


「⋯え?」


「悪いのは全部、あの皇太子殺そうとした令嬢だろ!姉ちゃん達全員を殺した皇族だろ!?⋯見てるだけで何も出来なかった僕でしょ⋯」


 大声で怒鳴った後、今度は大声で泣き出した。⋯私はどうすれば良いのだろう。取り敢えずふわふわした頭を撫でている。この子はどこまで覚えているんだろうか。私が死んだ後でどんな人生を歩んだのか聞きたいことがあるのに、このままでは何も聞けないではないか。


「ラ、ラテルは何も悪くないでしょ?⋯だから泣き止みなよぉ⋯」


 ⋯どうしよう本当に困った。聞き分けの良い子だったからこんなに泣くことは殆どなかったから泣き止ませ方がわからない。


「⋯違うんだよ、姉ちゃんが死んだ時の痛み、思い出す原因、作ったの、僕なんだよ⋯」


「⋯ん?」


 今この人重要なことを言った気が、原因・作った・僕⋯?つまり?一度ラテルを離して目を合わせて会話することになった。


「え?この二周目ってラテルが原因なの?」


「⋯うん。」


 ⋯え?どういうこと?






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