あるメモからの、発見。
勿論給料が上がるなんてことは無くお嬢様が学園へと登校していった。香水の匂いが充満していた為、今は換気をしている。お嬢様の部屋の近くの廊下の窓を全て開けているため少し肌寒い。とはいえ私は寒さには強い方なのっでショールはいらない。
お嬢様の部屋は2階にあり、ここからの景色はそこそこ良い。時々入ってくるそよ風が心地良い。自分でもなかなかの穴場を見つけたと思う。その時、ベルの音と声が屋敷中に響いた。
「昼休憩の時間です!」
もうそんな時間らしい。ドタバタと足跡が響く。休憩の時間は短いから皆必死だ。私もそろそろ移動しようと思う。誰もいない廊下をコツコツと足跡が響く。
⋯数分前、私はあるものを発見していた。後輩ちゃんと別れて直ぐ侍女の1人に呼び止められたのだ。
「ちょっとそこの子今良いかしら?」
と話しを振られ、「お嬢様の部屋の清掃に入ってくれないかしら。」と言われたのだ、⋯私が箒を持っている事に気付かなかったのだろうか。それはさておき上司に命令されたら断れないのがここの常識である。勿論OKを出した。
そうして香水のくさ⋯匂いが濃いお嬢様の部屋へとやってきた。まずは窓を開けた。換気である。その後にベッドシーツを変え、棚や机を拭いていた。その時だ、小さく折りたたまれたメモを見つけたのは。
その時に私はこう思った「⋯これ絶対前世の記憶まとめてる奴やん!?」と。わかるだろうか、転生系でまず主人公がまとめてるあれだ。本当に優しい善人ならここでこのメモ帳を「人のものだしな。」と読まずに元の位置に戻すだろうが私は違う。
読みたいという欲に勝てないただの人間なのだ。という事で読ませていただいた。そうして開いた中身はなんと、ローマ字で書かれいた。⋯もう一度言おうローマ字だ。何故か英語では無くローマ字だ。確かにこの世界にアルファベットという存在は無いのだが。
頭の悪い人でも転生者なら解読できてしまうだろう。因みに私の前世の学生時代の英語の成績は2だ。英語などよくわからん。ということでまあ助かりはした。そして何とか読みづらい文字を読んでみると、そこには少し驚く内容が記されていた。簡単に要約するとこうだ。
〝『死亡直前の悪役令嬢に転生した』というコミックの主人公に転生した。折角だし原作のように逆ハーにしたい。ヒロインを陥れるのもいいけどそれじゃあ断罪ルートになりそうだから、ヒロインには原作と同じように優しくする方針で行こうとおもう。〟
このメモを読んだ時、私は1つの違和感があった。「何でこの人はこの物語の題名を知っているんだろう」ということだ。確かに私が読んだ話も『死亡直前の悪役令嬢に転生した』というものだった。しかし、彼女がこの本を読んだというのはおかしいのだ。
原作で彼女が見ていた本は『魔法学園の聖女』という小説と表されていた。だから彼女が見た本が私と同じというのがおかしいのだ。
⋯これは何ともまぁややこしいなぁ。




