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ある家の、おかしな事。

 家に入ると慣れしたんだ米の香りがする。この世界には米が存在している。何がおかしいってこの世界は中世ヨーロッパのような異世界をテーマにして作られた物語なのに米が出回っていることだ。他の異世界系物語だったら主食はだいたいパンだ。転生した主人公が米を探すという物語もあるし。


 まあとにかくこんな例外が起きた理由を私は知っている。作者だ。元の世界でこの物語はそこそこ人気があった。賛否両論だったが。そのため一度インタビューがあったのだ。そのインタビューでは作者がどのキャラが一番好きか、どのシーンが一番好きか、など様々な質問をしていた。その中にあった質問の1つなのが『作中で何度も米が出ているのは何故ですか』である。


 この質問に対し作者は『何でって、単純ですよー。私がこの世界に転生した時に米が無いと嫌だからです。』と、答えた。その瞬間スタジオは静寂に包まれたらしい。正直に言ってこの人ヤベー、と思った。いや、転生したいという思いを否定している訳では無いのだ。私だって思ったことはあるし。ただこのインタビューはテレビの生放送で行われていたのだ。


 収録ならまだしも生放送だ。しかもこのインタビューは真面目な雰囲気で行われていたのだ。テレビでは『ご冗談がお上手ですね~!』と訂正を入れていたが、ネットで炎上した。その時作品の知名度が上がった。決していい意味では無いが。こういう作者の意思によって米が作られたのだが、私からしたら有り難い。米は好きだし、なかったら悲しい。




 家の中に米の匂いが充満しているということは直ぐに夕食ということだ。間に合って良かった。私と弟が帰ってきた事に気付いたらしい母と父がこちらを見た。直ぐに話しかけてくれたのは母だ。


「あら、お帰り〜!もうご飯出来てるわよ〜。手洗っちゃいなさいね。」


「ただいま。手はもう洗ったから大丈夫。」


 あらそう。という返ってきた。手を洗う用の水は魔法で補う。こういう時はとても便利だ。ご飯が出来ている机の前の椅子に座る。皆で「いただきます。」と言ってから夕飯を食べ始めた。


「そういえば屋敷に皇太子が来た。」


「え?」


 父と母が驚いた様子でこちらを見る。⋯そんなにおかしなことを言っただろうか。





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