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ある癖の、疑問より

 色取り取りの花々が咲き乱れる庭園の一角にあるガゼボでは現在お茶会が開かれていた。庭園に向かった奥様達と使用人達ではあったが。皇太子殿下とお嬢様以外はお邪魔にならないよう退出したらしい。そのため今庭に出ているのはお二人だけだ。どちらも笑顔を絶やさずに会話をしている。とはいえ緊張の色も感じさせる。主にお嬢様からだが。



 何故今、庭にいるのは二人だけなのに私が現場の様子を知っているかって?⋯こっそり草葉の陰から見ているからだ。⋯というのは冗談である。この屋敷の庭はお茶会やお客様が来た時に使われるのだが紅茶やお菓子、料理を運ぶ際に距離があると面倒という理由で厨房と隣りにあるのだ。つまり、会話が筒抜けなのだ。そのうえ換気の為に窓も開けているのだ。


 そこから現場を見ようとする野次馬もいるのだ。私もその中の一人である。奥様もいるのだし、問題はない、はずだ。⋯うん、問題はない。無いことにしよう。


 


 会話の内容は世間話。友人通しがする他愛のない会話である。それを約30分ほど続けているのだ。最初は溢れるほどいた野次馬も少なくなっていた。さすがに私もそろそろ帰ろうとも思っている。


⋯そう考えていた時に唐突に始まったのだ。


「そういえばペカタム嬢、今日のカラナ嬢の件では流石だったね。」


「⋯カラナ嬢の件というのは、朝、他のご令嬢達からカラナ様を助けた事でしょうか?」


 どうやら学園で起きた内容らしい。この話は多分物語のエピソードの一つだろう。カラナ、という名は物語のヒロインだった人のはずだ。悪役令嬢がヒロインをいじめなくても他の令嬢がいじめるという展開らしい。


 お嬢様の問に皇太子は笑顔で答えた。


「そうだよ。彼女が平民だからという理由で周りの者達は誰一人助けに出ようとしなかったからね。」


そう話す皇太子に微笑みながらお嬢様はすぐに言葉を返した。


「いえ、困っている人がいたら平民であろうと助けるのは当然の事です。殿下にお褒めいただくほどのことではありませんわ。」



 その時、お嬢様は頬に手を添えながら話していた。これはお嬢様のとある癖だ。幼い頃から嘘をつく時に微笑みながら頬に手を添えるのだ。本人は全く気づいていないらしい。


  


⋯この会話の中に嘘をつく要素はあっただろうか。 




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