平々凡々。これが普通の人生。
正直に言うと私はあまり悪役令嬢転生ネタがあまり好きではない。理由は今まで散々悪行を働き好き勝手に生きてきたくせに、前世の記憶を思い出しただけで今までの行いが許されるというところだ。
勿論そのキャラクターだって記憶を思い出す前のことを反省して謝罪をしたり罪を滅ぼそうと活動しているのもわかっている。とはいえ今までの行いが消えるわけではない。本来なら周りの人間にトラウマができていたりと謝罪では済まないことが必ずある。人間とは、現実とは、そういうものだ。それなのにその悪役令嬢の改心した姿を見た周りの人間と仲が縮まる。
こういったストーリーが あまり好きではないのだ。ただ生まれたときから前世の記憶を持っていて元の悪役令嬢と全く違う動きをするような物語などなら話は別だ。
とはいえ『物語と現実は違うんだから。』と言われてしまったら、それはそれで言い返しようがないのだが。とはいえ私はこの考えを誰かに話すつもりは元からない。その理由を語るにはまず私について語ろう。
私の名は鈴木普。日本でも数の多い〝鈴木〟に〝普通〟の普と書いて〝あまね〟だ。なんとも、平凡な名だ。全国の鈴木さんや普さんにはまず申し訳ないが自分の名だとつい悲観的になってしまう。きっと近くに鈴木さんや普さんが「私って普通の名前だよね⋯」といっていたら、すぐに首を横に振るだろう。
こういうふうに私は何とも中途半端で面倒な性格をしている。
普通の一般企業についており、学力は平均ぐらいで体力も殆どない。喋るのもあまり得意な方でもなく、現在の私の友人は0だ。誇れることといえば、少し家事や料理が得意なくらい。
まあ話は戻るが私が考えを人に話さないのはそもそも話す相手がいないのと、話し出す度胸がないと言う理由だ。
そんな私だがある日交通事故で死んだ。