4話 宿での出来事
急いで書き上げたものなので、誤字や変な箇所が多いかも知れないです申し訳ありません、もし変な箇所や誤字があれば報告して下さい、よろしくお願いします。
「バーチャがいる」ポーラはドアを開けると、慌ててヴォースの部屋に入ってきてそう言った。
「あ?バーチャってなんだよ?」
「バーチャって…簡単に言えば…幽霊みたいな?」
ポーラにくわしく聞いてみると、バーチャはロウスタリア地方で伝わる悪霊とされているらしい。
「…で、そんな伝承を信じてるのか?」
「だって…見たんだから…」
「見間違いだろ…もう眠い黙れ」
そう思って怖がるポーラの対応をしていると
突然大きな音とうめき声が聞こえだす。
「!何だ?この音」
「ほら!言ったでしょ!?やっぱりそうだって」
マジか…凶暴なモンスター、馬鹿強いおっさんなどなどは怖くないがこの世のものではない幽霊は流石に俺でも怖い。物音とうめき声で俺も少しポーラの言う事を本気に思えてきたじゃねぇか
「で…お前はどこで見たんだ?その…バーチャって奴を」
「さっき私お風呂に行ってくるって言ったでしょ?そこで見たわ」
「一回見に行くぞ、誰かいないか」
「というかここに泊まっているの私達だけよ」
そう言われてみれば俺達だけが泊まっているし、まず宿泊代も異様に安い…本当なのか…?
俺とポーラは恐る恐る風呂場へ向かう。その途中宿の主であるロットというおっさんが後ろから向かってきた。
「お二人さん。やはり気づいたようですな…そのバーチャが取り憑いているんです…ですのでこの宿は安くしているんですが…まぁ泊まるものはいません…」
おっさんは悲しげにいった
「…バーチャってんなに強いのか?」
「あっ当たり前でしょ?!というかバーチャは悪霊だけど上位魔法も普通に使ってくるから並の冒険者じゃ到底太刀打ちできないわ…」
「悪霊…ってことはやっぱり物理攻撃は効かねぇのか?」
「えぇ…ヴォースの使う拳や脚の攻撃じゃ…通らないわ。」
「で、でも魔力とか波動みたいなものは通るわ」
「波動って今言ったか?」
「えぇ…?」
それなら俺には熱波砲がある。熱波砲は魔法では無いが、俺の身体のエネルギーを熱球に変換して放出する技だ。これはノーフ星のプロメリアという武術を達人になるまで極めると習得できるものなので、極めれば誰でも習得できる。
「なら、ソイツを熱波砲でぶっ飛ばすか」
「熱波砲って何だったっけ?」
「昨日ウプスネル火山を吹っ飛ばしただろ?あん時の技だ。」
「は…?でもあんなの使ったらこの宿ごと吹き飛ぶでしょう?」
そうだな…でも何とか放出エネルギーをコントロールして小さくする事はできなくはない。
「この前よりも小さい規模の熱波砲を打つことはできが、やっぱり半壊は免れないな…」
ポーラと話し合っているとさっきまで黙っていたロットが急に神妙な顔で話し出す。
「半壊程度で済むんでしたらぜひともお願いしたい。もう三十年以上もバーチャに悩まされ続けて来たんですよ…」
よく経営が成り立ったなおっさん…
「ホントに良いのか?それだったらやってやる。」
「ええ、ぜひともお願いします。私はこのグレカンタの冒険者組合の組合長もしておって建て直す金はなんとかしようと思えばできる…ですからお願いします。」
そう言うと、ポーラは目が点になりすごく焦りだした。
「は?え?え?え?組合長なんですか?!」
「ええ…まぁ」
「それだったら早く行ってくださいよ〜もうこのうちのヴォースがすぐに倒しますから組合長ご安心下さい。」
こいつ急に媚びだしたな…
「で?バーチャってどうやって呼び出すんだ?姿がないと何もできないぞ?」
そう言うとロットは、
「あの風呂場でな夜中の2時にじっと居ると奴は現れるはず…今は十一時。あと3時間ですな」
そこから、俺とポーラはいったん部屋に戻り2時を待つことにした。にしても…2時に真っ暗な風呂場へ行くって気味が悪いな…
「なに?ヴォース?あんたも怖いの?」
俺が考え込んでいるとポーラが馬鹿にしたように言ってきた。
そして2時俺は風呂場で待機をし、ポーラとロットは風呂場のドアの前にいてもらっている。
にしても怖ぇな…なんだ?この部屋は
風呂場と言っていたがシャワーとかは当然なく、垢すりするための桶と石でできた台に鏡だけだった。台に腰を掛けてじっと鏡の方を見ていると…
「グッ…」
急に鏡から真っ黒な手が伸びてきて俺の首を締め始めた。
俺も抵抗して殴ろうとするが、ポーラがいった通り全くダメージがない。
「グッ…グァァ…チックソが!!」
「ヒョッヒョッヒョッ」
俺が苦しんでいると歪んだ全身真っ黒な姿でケタケタ笑っている。真っ黒な顔につり上がった赤い目…この世のものではない。俺はこの世界に来て初めて死を覚悟した。
「グッ…ポーラか!?」
そうするとドアを荒々しく開けてポーラとロットが近づいてくる
「ヴォース!熱波砲!早くっ」
そうか…!忘れていた
「ねっ…」
腕に力を蓄えてバーチャの頭に手をかざす
「熱波砲ぉぉぉ!!!!!!!」
大きな光と轟音とともにバーチャは消え去り、
宿も俺を境にして向こう半分が焼失した。
「はぁ…はぁ…消えたのか?」
首が痛てぇな
「ヴォース!!」
心配そうにポーラが駆け寄ってくる。
そしてロットは
「宿のことは気にしないで下さい。なにより無事で良かったですあなたはヴォースという者ですななんとも強い…今まであった者の中でダントツだ…冒険者してるんですよね?なら私がが公認冒険者に推薦してやろう!」
「やった!ありがとうございます!」
俺よりも先にポーラが喜んだ。
「でも…試験通るのか?」
俺が聞くとポーラは
「推薦してもらえれば免除なのよ!」
と言う。俺達はどうやらもう公認冒険者になれるらしい。
そのあと俺達は組合長のロットの紹介で知り合いのしっかりとした宿へ向かった。
明日、フランとデントと合流し、ロットのいる冒険者組合所で公認冒険者の手続きをするとか。
「なんか…あっという間に公認冒険者だな…」
「ヴォースここで喜んでいてはだめよここからが本番なんだから」
あんだけ喜んでたくせに…
翌朝、泊まっていた宿を離れて、ポーラがフランとデントにノーザングレカンタの中央広場を集合するようメール?みたいな機能のある魔法製の紙で伝えていたのでそこへ向かった。