第82話【破壊の邪竜より強いメルディアさん】
その頃天界ではミックスとメルディアの一方的な虐殺行為を見ていた。飛竜の群れは神々でも相手にするのは厄介な魔獣であった。
しかも【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾンの眷属である飛竜は普通の武器攻撃や魔法攻撃や【付属魔法印】が付与された武器でも傷付ける事は出来なかったのだ。
騒ぎに気づいた他の飛竜や巨人達がミックス達に向かっていた。
「ガウディーン様。あの軍勢相手に戦える自信ありますか?」
「う~む、戦えるには戦えると思うがのぉ。
流石に無傷では無理じゃのぉ。というか、レッドクリムゾンがいる限り飛竜は何度でも復活するからのぉ・・・」
「けど、大迷宮・ラビュリンティスのダンジョンモンスターになったらそれって意味なくなるんじゃねぇ?ダンジョンモンスターって時間立てば復活するんだろ? たいして変わらないんじゃね?」
「ディオスよ。儂も邪竜・レッドクリムゾンとは何度か戦ったがそんな柔なヤツではないぞ?」
若い薬神ディオスは天界での戦いに参加した事はないが少なくとも上司として頼りにしているのは豊穣の女神・デメテルだけであった。
どうにも創造神・ガウディーンは優柔不断で創造主としては頼りにならないと感じていた。
ハッキリいってしまえば、アステリオスと魂が混ざってしまった異世界人のミックスと話してみたいという気持ちはある。
少なくとも今後の動きや考えなどを訊いておくのも一つの手段だと考えていた。
「確かに【破壊の邪竜】っていうくらいだから強いんだろうけどさ?
正直こんな状況下なのに信者からの祈りが少ない俺らって神としての存在意義ってある?」
「まぁ、ディオスさんは薬神。私は豊穣、ティアは癒し、ガルスさんは鍛冶ですし、そこは・・・」
確かに破壊の邪竜が復活して神頼みをするのが人間の性ではあるが、祈っている人間は数えるほどしかいなかった。
ここ数百年の間、神らしい働きをしてこなかった分、信者が減っているのは事実であるからだ。
(レッドクリムゾンを封印したらミックスに神託でもしてみるか?どうせ、暇だし・・・)
薬神・ディオスはドラッグ同様神らしさはなく自身が面白いと思った者に力を貸す変わり者の神である。ドラッグに見込まれた様にミックスらは気に入られてしまっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一方でミックス達は巨人達にもバレてしまい、勝手に戦争を始めてしまっていた。飛竜の素材を集めたかったが巨人が来てしまってはそれどころではない。
「取りあえずは数を減らす必要があるな。エレーナ!リザーナ連れて下がってろ!!【大地の大爆砕斧】ッ!!!」
「食えん巨人にはようはないなぁ~【大津波】ッ!!!」
一緒に来ていたドラッグの元にエレーナがリザーナを連れて戻ってきたがドラッグは飛竜と巨人の軍勢相手に2人で制圧する2人を見て苦笑いするしかなかった。
フェンナト王国の護衛団や騎士団が束になってもどうにもならなかった巨人の戦士達を圧倒的な力でねじ伏せていった。
「あれ、もうあの二人だけでいいんじゃないか?」
「リザーナ、もう少し魔物使いとしてしっかりしないと申し訳ない次元よ?あれ・・・」
「だ、大丈夫大丈夫!!ミックスが養ってくれるし、メルディア優しいから!!」
「いつかアタシもアレくらい強くなりたいぜ!」
余りの桁違いの強さにドラッグは二人だけでも十分やりあえている事にどうして良いのか困った顔をしてガーベラ達を見ていた。
それとは真逆の反応を見せたエレーナは子どものように純粋に強くなりたいと目を輝かせていた。
だが、突如として禍々しい魔力を放つ存在が近づいてきたのだ。【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾン自らやってきたのだ。
『グワッハハハハハッ!!!我が名はレッドクリムゾン!!!【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王であるぞ!!』
「もう来たんか? 早すぎるで?」
『ぬっ!?お、お主あの時の若作り魔女か!?』
「・・・よし、ミックスはん。ちょっと封印する前に痛め付けるわ~!!このくそトカゲ!!!」
「お、落ち着けって俺もアステリオスの年齢的に考えたらかなり歳いってるからな?メルディアは若いってな?」
『・・・いや、メルディアは俺と戦った時には既に魔女の領域に達していたからな? 下手したら、タメぐらいだろうが、人間の年齢的に考えたら『若作り』と言われても仕方ないだろうが・・・うむ』
まぁ、アステリオスが追い詰めた時は人間の姿だった事を考えると自身の魔力素質にあった 水妖魔になったメルディアは間違えなく、最恐だろう。
少なくとも破壊の邪竜相手に圧倒的水攻め拷問してるし、これ下手したら大迷宮・ラビュリンティスのダンジョンボスにしなくても倒せるんじゃないかと思ってしまうほどメルディアの力は圧倒的だった。
だが、仮にも天界の神々をも恐れさせた破壊の邪竜がこのままで終わるとは考えにくい。
戦斧を握り締め警戒心を強めていた。
やはりと言うべきだろうかレッドクリムゾンはメルディアに追い詰められて全身から赤紫色の閃光を無差別に放出し始めたのであった。




