第81話【飛竜の紅い竜巻】
【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾンは膨大な魔力の赤紫色の閃光が天に向かって放たれると空から大量の飛竜が地上に向かって飛び降りてくるのを見たポートフォリオンの民達はこの世の終わりが近づいているのを覚悟していた。一方でそんな絶望的な状況下でとんでもない事をいうアホの子がいた。うちのリザーナだ。
折角作った城壁の外に出て飛竜を狩りたいというのだ。
「ミックス!!飛竜のお肉でフライドチキンって作れるの!?」
「さっきフライドチキンあんだけ食ったろうが!?
あーちょっと待てろ。確か鑑定スキルがあった筈だから調べてみる」
アステリオスの鑑定スキルは相手のステータス値を見るだけでなく魔物や魔獣の素材として価値を見ることも出来る。空を飛んでいる飛竜を鑑定したがどうにも個体によってバラバラのようだ。
鱗の薄い飛竜は尻尾に毒を持っており肉にも毒があり食用には向いていないらしい。
食う事だけを考えると鱗がしっかりとして毒のない強い個体の肉は鶏肉や牛肉に近いらしい。また鱗も盾の素材としては一級品であるそうだ。
「まぁ、強いやつは肉としても防具としても価値はあるそうだ。ただ飛竜だからな。少しこっちのが不利じゃないか?向こうは飛行能力があるし・・・」
「ほほぅ。鑑定スキルはええなぁ~ミックスはん。取りあえずは美味い飛竜教えてくれんか?」
「それは良いが、どうする気だ?結構デカいし、倒すとなると結構厄介だろう?」
「そうでもあらへんよ? ウチとミックスはんなら撃ち落とせばエエだけの話やで? 【アイス・レイン】ッ!!!」
メルディア曰く飛んでいる鳥系の魔獣や飛行能力のある魔物などを倒す際には頭や翼を狙うのが効率的だというのだ。
だが、実際は飛竜の上から氷柱を落として突き刺す無慈悲な行為であった。
そういえば、メルディアのステータス値見てないな。
名:メルディア
種族【 水妖魔】 レベル910
筋力+50
敏捷+13000
体力+1200
魔力+ 19778
器用+1000
知能+3000
幸運+ 1315
【獲得スキル一覧】
【大魔導士の極み】【大海魔法】・【暴風魔法】・【氷結魔法】・【回復魔法】【物理攻撃無効】・【魔法攻撃耐性】【魔力消費軽減】・【魔法の極意】
魔力特化型だな。筋力はないのか。
そういえば、2属性魔法の習得が稀有ってフォルトやドラックもいってたな。
つまりメルディアの【大海魔法】と【暴風魔法】それに【氷結魔法】の威力は桁違いだろう。少なくとも【魔法の極意】って【魔法の極み】より上のスキルだろう?
それに物理攻撃無効って 水妖魔の水の身体の影響もあるのか。
「メルディア!!スゲェ!!てか、他の飛竜に気づかれたぞ!!?」
「み、ミックス!!どうにかしてぇ~!!!」
「大丈夫やろ?ミックスはんも【暴風魔法】使えるンやろ?」
「ん、おう?一応は使えるが実際に使うのは始めてだぞ?」
そう伝えるとメルディアは魔法も実戦あるのみということで暴風魔法の一つ【 暴風】をメルディアともに唱えると巨大な竜巻が起こり向かってきた飛竜達を引き裂いてしまった。
確かにこれなら大多数の敵を葬るには効率は良いのは認めよう。しかし、これはなぁ。
「・・・なぁ、これってよぉ。大半の飛竜の肉は引き裂かれて無くなったんじゃねぇのか?氷柱で撃ち落とした飛竜の姿ないぞ?」
「ん?・・・あ!?そ、そうやんか!!?リザーナはん、エレーナはんスマン!!やり過ぎたわ!!」
「やり過ぎだよ!!折角のお肉が~!!!」
「まぁ、良いんじゃね?まだいるから美味いヤツをこっちに呼び寄せりゃ良いんじゃねぇ?」
あれだけ倒したのにまだ空には無数の飛竜がいた為にエレーナは気楽に答えた。
少なくともエレーナのサーベルでは飛竜の首を切り落とすにしても鱗を切り飛ばすだけの力もない。体内の魔力を利用した【肉体強化】と【武装強化】を習得すれば話は違ってくるがまだその感覚を掴めていないとボヤいていた。
当然、その話を訊いてメルディアが興味を持たない筈はない。メルディアは次々に飛竜を撃ち落としてエレーナにスパルタ特訓の課題を出したのだ。
エレーナは逃げられないと覚悟を決めてメルディアの指示に従っていた。
普通にメルディアは鬼だ。
少なくともリザーナは飛竜の肉をどう食べられるのかそっちのが興味津々であった。
取りあえずはこっちに向かってきた巨人と飛竜をどうにかしてからじゃないと料理することはできないと説明する。
すると、リザーナの指示は至って単純であった。早く食べたいからさっさと倒しちゃってといつもの調子で言ってくれた。
相手は仮にも魔王レッドクリムゾンだぞ。こっちの負担考えろと叱るがリザーナは自信を持って負ける筈はないと根拠のない期待をこちらに向けてきたのだ。




