第79話【破壊の邪竜・レッドクリムゾン】
【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾンは膨大な魔力をも合わせる怪物が復活を遂げてしまった。巨体な身体を持ち、全身を漆黒の鱗で覆われ至るところに紅く輝く魔石が赤い線で繋がり胸元の巨大な紅い魔鉱石から禍々しい魔力を全身に流していた。竜種独特の長い首と角、そして鋭い牙や爪を地面にめり込ませて全身を震いに身体に残った土と岩を落とす。首を伸ばして嗅覚を頼りに巨人達の方に向き直った。
『アー・・・ンァ? オォ!!?復活したのか!?
グワッハハハハハッ!!!ようやくか!!お主らが我を目覚めてくれたのだな? 感謝するぞ!! 』
『我らは巨人族。俺は巨人の首領・ボルカだ。俺達は神々に復讐をしたい。その為にアンタの力を借りたいのだ・・・』
『なるほどなるほど。神々に復讐か!!確かにそれは面白いな提案だな!!良かろう!!【破壊の蛇竜】レッドクリムゾンの名の元に主ら巨人族を我の眷属とする!! これでお主らの呪いは解けるだろう!!』
『有り難く!!我ら巨人族は魔王レッドクリムゾン様の忠実な配下として下ります・・・』
巨人の首領・ボルカはレッドクリムゾンに大して跪くと他の巨人達も膝を付き忠誠の意思を見せたのだ。
レッドクリムゾンは破壊されたフェンナト王国に視線を送り、その先にある深い森を見つめると不敵に微笑んだ。
巨人達に戦に向けて狩りを楽しんでこいと指示を出すと巨人の首領・ボルカを初めとする巨人達は雄叫びを上げ、武器を手に取り狩りに出ていった。
魔王レッドクリムゾンは巨大な翼を羽ばたかせると身体が鈍っているか上手く飛べなかった。
『フム。永い年月を大地の中で過ごしていた為からだが鈍ってしまっているようだ。ん?貴様は誰だ?』
『お久し振りです。【破壊の邪竜】の異名を持つ魔王・レッドクリムゾン様。私は昔、魔族ならが同胞を裏切り貴方についた悪魔です。今はこのフラムから『ケミカル』の名を貰いました』
『あぁ、悪魔の癖に邪竜の我に従っていた者か? 知らぬ間に人間の小娘と契約をしたの・・ん?その小娘から聖女・マリアンヌの匂いがするが?』
『そのマリアンヌの娘のフラムです。女神に復讐をしたくて魔王レッドクリムゾンの復活に協力するのにしました・・・ 』
レッドクリムゾンはフラムの話に耳を傾けると怪訝な顔をして見せた。少なくとも『神』という存在はいつもそうだというように天に向かって口を開くと胸元の魔鉱石が光輝き、禍々しい魔力を蓄える。
そして、1度口を閉じると赤紫色の閃光が雲を書き消してしまったのだ。
厚い雲に覆われていた空には大小無数の浮島があった。 レッドクリムゾンは咆哮を上げると浮島に封じ込められていた眷属の飛竜達を呼び寄せたのだ。
空には咆哮を上げながら地上に向かってくる巨大な飛竜達で埋め尽くされていた。
元々、レッドクリムゾンを含めた竜種は天界に棲む聖獣であった。
だが、余りにも強すぎた為に神々でも手に負えず天界から追放された肉食魔獣が祖であると話し始めたのだ。
そこから地上で様々な竜種が誕生し、レッドクリムゾンのそうして誕生した。 何よりも巨大な力を持ち天界から追放されたという点では巨人族と接点が多いという。
そして、神々もそれに対抗する為に天界の力や武具を扱える別世界の人間である異世界人を呼び出す事で対抗する術を作り出した。
【勇者】・【賢者】・【聖女】という役職を作り、神が選別し別世界から連れてくるという禁忌でもあるのだ。
つまりはフラムの母であるマリアンヌは別世界の住人であったというのだ。
「お母様は別世界の住人だったのですか?初耳です・・・」
『まぁ、神々も自分で我らと戦うのも嫌でこの世界の住人の強さにも限度がある。故に別世界の人間に特別な力を授ける事で世界の調和を取って取っている。
聖女という力もその一つである。この世界出身の聖女ならマリアンヌよりも劣る能力しか受け継いではおらんみたいだな?』
『・・・ですが、このフェンナト王国はかつての勇者とその仲間達が建国した国だった筈です。ですが、かなり落ちぶれてしまったようでかつて勇者が現れたポートフォリオンとは比べ物になりません』
『ポートフォリオンか。あそこには海竜神レヴィアタンの加護があるからなぁ。何やら強そうな気配は感じるが、まぁ、良いだろう!! 先に飢えた同胞達に食わせることが先だ!!!グワッハハハハハッ!!!」
「この辺りから魔物や魔獣がいなくなりそう・・・」
『構わん。放っておけば、地中から沸く魔素からまた産まれるだろうしな。それに魔物や魔獣は成長が人間よりも早いからな 』
豪快に笑うレッドクリムゾンは眷属の飛竜達が捕らえた貢ぎ物を食らい始めた。 魔物や魔獣の肉にも微量ではあるが魔素が含まれている為にレッドクリムゾンの飛行能力の回復を早める意味合いもあった。
飛竜と巨人に襲われた魔物や魔獣の雄叫びと崩壊したフェンナト王国の生き延びた民衆達の悲鳴が草原に響き渡ったのであった。




