第73話【スキル・迷宮の王】
メルディアが2人のギルドマスターを脅して調味料や香辛料と調理器具の調達に向かわされた。ドラッグは大迷宮・ラビュリンティスの魔道具が使えないガラクタだと知ると興味を失くし、オルティガンとセルマに伝えると苦笑いしていた。
ドラッグはオルティガンにジャイアント・トードの解体をお願いすると快く引き受けてくれた。
オルティガンと入れ替わる様に孤島に浮かぶ大迷宮・ラビュリンティスの出入り口を確認してきたガーベラが戻ってくると孤島全体にブラッティ・ブルとジャイアント・トードが孤島に蔓延るっているために並大抵の冒険者じゃ出入り口に行くのは無理だという。
明らかにポートフォリオンの冒険者ギルドの管理責任があるがそこは三幻神の一人であるレヴィアタンの加護のお陰で海の魔物や魔獣が守ってくれている事はしていた。
だが、大迷宮・ラビュリンティスがある孤島に既に#迷宮から魔物が溢れ出てしまい生態系を作っている事は大問題であるというのだ。
「なるほどな。理由は分かった。そりゃ、メルディアの姉御がキレるのもわかるな。
自分が育てたギルドマスターが10年も違和感に気付かないっていうのはヤバいし何よりもポートフォリオンの冒険者としての危機管理能力が問われることになるからな・・・」
「あんたが噂のドラックはんやね? フェンナト王国で暴れまわってらしいやん?」
メルディアはフェンナト王国でのドラックの噂を聞いていたらしいが、直接会うのは初めてであり、冒険者として品定めするような目にドラックは視線を合わせようとしない。
取りあえずはポートフォリオンとエデンの街の中間地点に来たがここまで魔物や魔獣が襲ってくる事はなかった。
メルディア曰くフェンナト王国から禍々しい気配に恐れをなした魔物や魔獣は森の奥深くに身を隠している。
魔王レッドクリムゾンの眷属でも配下でもない魔物や魔獣は食料扱いされて蹂躙される。それは人間も例外ではない。
フェンナト王国の防衛戦ももう長くは持たないだろう。
呑気に飯の為に防壁作って飯作りに時間を割いていいのか疑問ではあるが、キングミノタウロスの力をある程度は実戦で使っていかなればならないだろう。
『取りあえずは【大地魔法】の『グレイト・ウォール』ってヤツをやってみろ。それなら巨人の足止めに使える筈だ。やり方は頭の中で教えてやるから』
「なるほど。グレイト・ウォール・・・か?」
「・・・ミックスさっきから誰と話してるの?」
『あぁ、忘れた。周りには俺の声は聞こえねぇからな。口に出さなくても会話は出来るからな?』
『・・・それ一番最初にいって欲しかったよ 』
周りにはアステリオスの声が聞こえない事は知っていたが受け答えに口に出さなくても良いというのは今初めて聞かされた。
アステリオスは頭の中で豪快に笑うと戦斧に魔力を流して込んで斧の刃を地面に突き刺して見ろと指示を出したのだ。
言われた通りに地面に戦斧の刃を地面に突き刺し魔力を流し込む。
『無詠唱持ちでも技名は必要だぞ?石の弾丸とかそうだったろ?』
「グレイト・ウォール!!!」
アステリオスの指示通りに魔力を流してこんでアース・ウォールの最上位魔法の【大地魔法】グレイト・ウォールはポートフォリオンの城壁程の壁が地面から盛り上がってきたのだ。巨大な壁というなの岩壁だろう。
リザーナとエレーナは「デカッ!!」と大喜びしていた。
『そういえば、相手は魔王レッドクリムゾンと魔族・巨人だったな?なら【迷宮の王】のスキルで強制的に迷宮内に引きずり込ませるか・・・』
『そんな事も出来るのか!? けど、それだと大迷宮・ラビュリンティスのダンジョンボスに・・・』
『ここから近いダンジョンは【蟻の巣】とラビュリンティスだろ?その場合はダンジョンの規模と対象の強さに合う場所に強制的に送られるぞ?このスキルの条件は俺が作ったからな!ガッハッハッハ!!』
『それって無茶苦茶じゃネェかよ!?ほぼ強制的にダンジョン送られるって・・・』
取りあえずはメルディアとドラックにこのスキルの事を教えると驚いた表情を見せたが少なくともこれで魔王レッドクリムゾンと魔族・巨人をラビュリンティスに封じ込める事はできるだろう。
問題は封じ込めた後にラビュリンティスに挑んで踏破する必要が1度はあるという難問があると伝えるとドラックは苦虫を噛み潰したような顔を見せた。
ラビュリンティスの出入り口がある孤島には高ランクの魔物や魔獣が蔓延っている為に踏破するとなると更に難しくなる。
内部構想や出てくる魔物や魔獣の危険度に加え、巨人の戦士・魔族・魔王・レッドクリムゾンを討伐してラビュリンティスの踏破する事を考えるとかなりにも戦力が必要になるだろう。
『まぁ、魔王レッドクリムゾンをダンジョンボスにするならそれ相応な挑戦条件も出てくるだろうなぁ。少なくとも永久に封印したいなら1度はラビュリンティスを踏破するのは確定事項だがな 』
「はぁ!?ラビュリンティスに挑むに条件が発生するのか!? しかも永久封印したならラビュリンティス踏破するの確定なのかよ!?」
『無論そうなるだろ? 少なくとも生半端な雑魚を呼び込んでもダンジョンの成長の役には立たんだろう?
それ相応な挑戦条件をクリアした者のみを挑ませる方がダンジョンにとっては都合が良いのだ。
まぁ、魔王レッドクリムゾンを封じ込めた時に教えてやる。というか、声に出てるぞ? やはり慣れは必要なようだな・・・』
しまった。思わず声にだしちまったよ。
「おい、ミックス。聞きたくねぇけどよ。今、ラビュリンティスに挑む条件が発生するって言ったよな? それどういう事だ?」
「その、アステリオスの言葉通りなら魔王レッドクリムゾンや巨人・魔族をラビュリンティスのダンジョンボスにすると挑戦条件が発生するみたいでこればかりはどうなるのかはわからないらしいんだが・・・」
正直に話すとドラックは一時の平和である事と魔王レッドクリムゾンらを封印した暁には何らかの挑戦条件が発生する事やラビュリンティスに永久に封印したいならダンジョン踏破する必要がある事を聞き頭を悩ませてた。
少なくともゴリガンとフォルトにも相談しなくてならないために1度ポートフォリオン内部に戻る必要がある。アステリオスに【迷宮の王】のスキルの使い方を教えて貰い作り出した岩壁に手を触れて魔力を流して込むだけで発動する為に余り時間は掛からなかった。
念の為にポートフォリオン側にもグレイト・ウォールを発動させて防衛を高めておいた。
リザーナとエレーナはこれで飯が食えると別な事で盛り上がっていたがドラックはフォルトとゴリガンへの説明や今後の事で頭を悩ませていた。
メルディアはそんなドラックをじっと見つめて何かを考えていたがいまはポートフォリオンに戻って報告するのが優先だろう。




