第7話【 エデンの街の伯爵・ダリル 】
この街の名は【エデン】という名前らしい。
そこのギルドマスター・ゴリガンに案内され、街に無事に入る事ができたのであった。
やはり、ミノタウロスが珍しいのか。
街の民達は距離を起きながらも自分に注目が集まっている事にいやでも気付いてしまう。
そうして冒険者ギルドに案内されると思ってたが、エデンの街を収める領主の屋敷に案内されてしまったのだ。
何か変だ・・・
リザーナに理由を尋ねて見たが、はじめて入ったと唖然としながらも目を輝かせていた。
すると、ゴリガンが跪くと周りにいた人間も跪き初めるのを見ていると目の前に綺麗な服装をし、無精髭を綺麗に整えたエデンの街の領主であるダリル・アルフォルゴ伯爵が姿を表したからであった。
だが、人間社会の【規律】など知らないミノタウロスとリザーナは立ったままであり、伯爵家に使える騎士の一人が跪くように怒鳴り付けてきた。
・・・次の瞬間にはその騎士は空を舞っていたのだ。
流石に殺すのはリザーナの立場もあるために身体を掴み、空に投げ飛ばしたからだ。
少なくとも自分よりも格下の奴らの言葉に従う通りはない。
空から帰ってきた騎士を掴み、顔を近付けて威圧を掛けるように咆哮を浴びせるとその騎士は気絶してしまったために他の騎士の側に投げ捨てると騎士は怯みながら剣や槍を構えて来た。
やはり、ここで仕留める気だったのか?
ならば、殺られる前に殺るだけの事だと戦斧を構える。
だが、そんな騎士達に対してダリルは武器を下げるように命令したのだ。
そして、ダリルは自分等に対して謝罪をしてきたのだ。
「最初から俺がミノタウロスだからここでリザーナ共々仕留める気だったのか?
それなら喜んでその喧嘩を買うが・・・?」
「そんな事をしても結果は見えているだろ?
この街にいるギルドマスターのゴリガンが率いる冒険者達を集めても勝てる見込みがないだろうな 」
少なくともダリルは自分達に危害を加える気は無いようだ。 だが、周りの騎士達は先ほどの威嚇が効いたらしく武器を納めるのに躊躇している。
ダリルはそんな騎士の様子を見て首を横に振り溜め息をついた。
そして、ゴリガン同様に事情を話した。
すると、今度はダリルはリザーナに視線を向けた。リザーナは自分の足にしがみついて隠れてしまった。
流石に不味いと思ったゴリガンがリザーナに問い掛けるが、ダリルはゴリガンに手を向けてよいと一言掛けた。
「リザーナくんだったね? 君はミックスと何処で出会ったか覚えているかい?」
「・・・薬草最中にブラッドベアに追い掛けられてBランク以上の冒険者しか入れない迷宮に迷い込んでそこで出会った冒険者と行動してました。
けど、ジャイアント・マンティスに襲われた時に壁を破ってミックスが現れて・・・」
ダリルはリザーナの話を聞くとおそらくは別の街か王国の冒険者が迷宮攻略をしていた所にたまたま出会ってしまったと推測した。
すると、ダリルは懐から巻物を取り出して地面に置くと巨大化したのだ。
ダリルの話ではこれは地図というものであり、それぞれの場所を示す物だと教えられた。
そして、自分が本来いる筈の大迷宮ラビュリンティスの場所と現在いる場所とはかなり離れている事がわかった。
少なくともただ迷宮内の通れる場所を選んでたまたま着いただけであるのだ。何故、この場に現れたのか尋ねられてもたまたま出てきた場所がここだったとしか答える事は出来ないのだ。
そして、何よりも気になっていたのはその出た場所に戦斧の柄の部分に刻まれた紋章が洞窟にもあった事を伝えるとダリルは渋い顔を見せたのだ。
「・・・元々迷宮とは神々は人間同士の争いを無くす為に造ったものとも言われている。
財宝や不治の病を治す薬の材料など人間が欲する者を揃えているのだ・・・」
「つまりは人間だけだと同族同士で争い奪い合いを初め、他種族も殺めるからそれを防ぐために迷宮を創造したって事か?」
「・・・つまりは俺は魔物であるが神から使命されて守護者になったみたいな感じか・・・?」
「南の孤島にある大迷宮ラビュリンティスは神々が人々の不毛な争いを無くす為に迷宮を創造する前から存在しているのだ。
少なくとも何百年も前から語り継がれている・・・」
つまりは人間が不毛な争いをするのを神々が迷宮という救済と制裁を混ぜたような理不尽を人間らに与えたという事だろうか?
まぁ、もう迷宮の守護者なんてやる必要もないから関係ない。
少なくともリザーナと主従関係を成立させてしまった以上リザーナを護る事が今の使命になるだろう。
すると、リザーナが腰布を引っ張ってきたのだ。
「大迷宮ラビュリンティスに眠る財宝ってそう言えばどうしたの?
まさか、放置してきたの!!?」
「あぁ、あの財宝か。俺の魔核収納に全部入ってる。少なくとも借金は自力で返したなら良いだろ?」
実際に体内にある魔核収納から金貨や王冠をリザーナに出して見せるとダリルもゴリガンも唖然としていた。
そして、リザーナがダリルに金貨や王冠を見せるとダリルは驚きを隠せなかったのだ。
ミノア帝国時代に造られた歴史的な希少価値のある金貨であり、普通の金貨や王冠も価値があるというのだ。
この伯爵意外に使えそうだな。あれはどうだろうか? ブレスレットやネックレス、剣に兜、迷宮で拾った硝子のように透き通っており七色の色に輝いている結晶石を取り出して見せた。
「ミックス、こんなにも体内にお宝隠してたの・・・?」
「魔核収納にしまってただけだ。魔核を鍛えるのにかなりの魔物を食べて拡げたからな。
少なくともまだ金貨や銀貨はあるぞ?」
「こ、これは貴重な文化的な遺産ばかりではないか!!それにこの結晶石も貴重な魔鉱石の塊だ!!!」
・・・なるほど。結構価値があるみたいだな。
少なくとも金持ちの貴族相手に売れば、金になるだろうな。これだけの価値があるのだ。金がなれば冒険者をやらずにするだろう。
だが、リザーナはあくまでも冒険者を続けたいと言うのだ。
理由は単純であり、エルフの里に帰ってもつまらない事と冒険という何が起こるのかわからないスリルが好きだというのだ。
まともに魔物と戦えない癖に何をいっているかと思ったが、地上に出れたが特にこれといってやりたい事もない。
「ダリル伯爵よ。これを献上するから俺をこの街に置いてくれねぇの?
少なくともリザーナが冒険者を続けるなら俺もここに残る必要があるからな」
「良いのか!?こんな貴重なモノを・・・」
ダリルは驚いていたが、少なくとも地上に出た所でやりたい事もないし、リザーナと冒険者をやるのも悪くない。
迷宮でかなり迷惑掛けられたけどコイツといるのは別にいやじゃねぇしな・・・。
後は俺はゴリガンというギルドマスターはあんた同様に信頼できる男だと思っているからだ。
ここに来る前に門で一悶着あったが結果的に怪我人も助けられたし、商人も無事にこの街に入る事が出来たし、ミノタウロス相手にも怯まずにしっかりと仕事をこなしていたとダリルにそう伝えた。
この街の伯爵にそれなりの媚びと献上品を渡せば、多分なんとかなるだろう。
実際に出したのは魔核収納の1割程の財宝で人の街に棲めるならば安い方だろう。
ダリルはこれを承諾してくれたのであった。
ダリルはミックスとリザーナに自分の屋敷に暮らしてよいと許可を出してくれたのだ。
ただでさえ、俺は身体がデカい方だから伯爵家のような場所が必要だろうと配慮してくれたのだ。
これはエデンの冒険者ギルドの手柄にもなる為にゴリガンにもいい印象を与える為でもあるのだ。
実際にゴリガンが警報の鐘に気付いて街の門にきてくれたお陰で荷馬車で大怪我をした冒険者を助け、エデンの街に訪れる商人を救い、結果的に功績に繋がっているからだ。
少なくともダリルはゴリガンがギルドマスターとしての働きを高く評価して褒めているからだ。
こうして、エデンの街でリザーナとの冒険者として暮らしが始まったのであった。