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第5話【 人助けと一悶着 】



迷宮から脱出する為に銀髪のエルフの少女・リザーナとともに行動していたが、その攻略の最中に彼女から【ミックス】と名付けられた事でリザーナの使い魔になり、主従関係を作ってしまったのであった。


つまりはこの脳内エロフのリザーナを主と認めて護るのが俺の仕事になるのだ。

狩人から魔物使い(テイマー)に職業が変更したにも関わらずリザーナは楽観的に捉えていた。


「だって、私の弓矢は全然飛ばないし、剣術もダメだもん。寧ろ、強いミックスが護ってくれてお金も稼いでくれるなら踏んだり蹴ったりだよ!」


「願ったり叶ったりじゃねぇのか?いや、至れり尽くせりか?」


エルフのリザーナは借金があるにも関わらず楽観的な性格をしているというか主従関係の成立を喜び、距離を取って歩いてたが今では無許可で背中を登って首に座って馬扱いされているのだ。ミノタウロスは『牛』だぞ?と返すと牛車という乗り物があるらしいのだ。


まぁ、リザーナが魔物使い(テイマー)として職業が変わった事を伝えれば自分も街か都市にも入れるメリットはあるが、リザーナは借金持ちのエルフであるのだ。正直な心情を話してしまえば『リザーナはいったいどれだけの借金を抱えているのか』という問題があるのだ。


流石にあの部屋にあった財宝レベルの借金があるとは思えないが、念には念を入れてきくべきだろうか?


それとも知らぬ存ぜぬで冒険者ギルドの借金を踏み倒すかのどちらになるだろう。


そんな事を考えながら今後のリザーナとの関係を考えていると突然、リザーナが角を掴んで揺らし始めたのだ。顔を上げると視線の先には洞窟内を照らしていた光ではない。急いで向かい空を見上げると、久しぶりに太陽の下に出たのであった。


 ずっと迷宮内にいたので太陽の光に溶けたり、火傷を負ったりはしないようだ。


 実際、そういう自分にとって危険な行動というのは、魔物の本能で理解出来るようになっているとのこと。


『判っていてもやってしまう』よくある事だろう。


 迷宮の入り口は、森の中にあったようだ。


 小高い丘という程度の山の麓に、ぽっかりと口を開けていた。


山の中の大木に囲まれた中、その丘は良く目立つ場所にあった。


なんと言い表せば正解なのだろうか?この迷宮に通じる洞窟のそこだけ太陽が見えている。

一歩でも、森に侵入してしまえばすぐにでも薄暗くなりそうな雰囲気であるのだ。


丘の頂上には、何やら怪しげな紋章が刻まれていたがかなり古いのが所々崩れかけていたが、自分が持っていた戦斧(バトル・アックス)にも同じような紋章が入っていたのであった。


自分が紋章を見比べていると、リザーナは角を掴んで先を急がせるように駄々をこね始めた。

リザーナに尋ねても詳しい事はわからないだろうし、外に出られたのであればここにようはない。


・・・もう戻ってくる事はないだろう。


ただ問題があるとすれば、リザーナの案内で無事に冒険者ギルドまでたどり着く事が出きるのか。


少なくとも、冒険者ギルドのある街までの道のりなど知る筈もない。ダメ元でリザーナに訊ねてた所でおそらくは「知らないよ?」といわれるのが関の山だろう。そう、考えているとリザーナは再び、ミックスの角を掴んで振り回したのだ。


「あっち! あっちの方で水の音がする!!水浴びしたい!!」


リザーナのいう通り、どれだけの間水浴びをしていないのかわからない。確かに女であるリザーナからすれば、迷宮から出れたのであれば、真っ先に水浴びをしたいのは当然の事ではないだろうか。


このまま宛もなく森を彷徨うくらいなら水浴びをしてからでも遅くはないだろうと水の音がする場所に向かって歩みを進めた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


わかっていた筈だろう。リザーナがただのエルフである事はコイツは最初から俺の身体が目当てであったのだ。と言うか、最初から遊ぶ気で水浴びをしたいといいだしたのだろう。森にも魔物はいるだろうし、先にリザーナを水浴びをさせて自分が見張りをすると伝える。


だが、リザーナはそれでは自分が水浴びをしている際に見張りをしても助けにきて貰えないと自分の戦闘力の低さを盾にしてきたのだ。


確かに迷宮内でのリザーナの戦闘をみる限り見張りをしても声を出せなくされたりすれば助ける前に連れ去られてしまう可能性が高いのだ。弱いリザーナに見張りを任せるのはダメな判断だろう。


何よりも見つけた水場が浅い川ではなく、水が激しく流れ落ちる滝壺とその高さから地面が抉られてかなり深い湖になっている。小柄なリザーナの背丈では滑れば、間違いなく危ないだろう。


それをわかっているからこそ、裸の自分を乗せて泳げという無茶振りであろう。


こちらの制止を無視して服を一目散に脱ぐと、当たり前の様に背にしがみつき登り初める。

そして、首に足を跨ぐと角を掴んできた。リザーナは準備万端で後は自分が飛び込むだった。 考えるのも馬鹿馬鹿しくなってきた為にそのまま、湖に飛び込んだ。


そして、浮上し、息を吐くとリザーナは楽しそうに笑っている。こんな性格で良く今まで無事に冒険者をやってこれたなと思ってしまう程単純な性格のエルフの少女であるリザーナの指示で暫くの間、リザーナを乗せたまま湖を泳ぐとリザーナは満足したように笑顔であったのだ。手持ちの小さなバックからタオルを取り出して身体を拭いている間に身体を震い水滴を飛ばして腰布を取り、水を絞った。


「お~、やっぱり棍棒くらいあるね~」


「せめて服ぐらい着ろ。魔物の気配は感じないが警戒心が無さすぎるぞ?」


腰布のベルトを外した音に反応したのか。

腰布を絞って拡げるとその更に下には屈んだリザーナの姿があったのだ。ミノタウロスの股間のあれを武器で例えるな。腰布にベルトを通して首を軽く振り、水滴を飛ばして湖の近くに突き刺しておいた戦斧(バトル・アックス)を手に持ち、リザーナが着替え終わるのを待った。


リザーナが着替えてる最中に鼻に魔物の匂いと血の匂いを感じ取った。リザーナが首を傾げて訊ねてきたのでそれを教えた。


「それって、魔物に襲われてるって事!?助けないと早く急いで~!!!」


慌てた様子で着替えを済ましてすっかりと定位置になってしまった首に乗ると匂いがする場所に向かった。匂いを頼りに現場にたどり着くと、複数台の荷馬車が魔物に襲撃されていた。護衛して雇われた冒険者らしい人間が辺りに横たわっている。リザーナは首から飛び降りると、サーベルを片手に魔物に突っ込んでいくが直ぐ様異変に気付いた。


先ほどまで勢いよく襲っていた魔物達が怯えはじめたのだ。戦斧(バトル・アックス)を持ち構えたミノタウロスが鼻息を荒げて威圧しているからだろう。


その巨躯が一歩、荷馬車に近づくと魔物達は一斉に逃げ出したのであった。


「なんだ。挑んでくる度胸のない魔物ばかりだったな。食ってやろうと思ったが」


「あ~怖かった。ミックスがいて良かったぁ~。私だけなら返り討ちにあってたよ。ありがとうね♪」



リザーナは胸を撫で下ろし、ミックスに礼をいうと荷馬車の持ち主であろう人物に声をかける。当然だが、ミノタウロスである自分に怯えている。


リザーナが敵ではないことを伝え、事情を訊ねてくれた。荷馬車の持ち主である人間は自分に脅えつつも、自分が 商人であり、ちょうどリザーナが戻ろうと思ってた街に向かっている事を教えてくれた。


しかし、魔物に馬を殺られてしまった為、荷馬車を引ける生き物がいない。警護として雇った冒険者も負傷者が多く、一刻も早くこの場から離れなければならない状態であった。すると、リザーナはこちらを見てくる。


「こっち見んな」と、言いたい所ではあるが、リザーナの案内では街にいつたどり着けるかわからない。


馬の変わりに荷馬車を街まで運べば良いだけなら悪い条件ではないだろう。リザーナに自分が荷馬車を引きながら魔物を警戒する事を伝えると商人は唖然としながらもお礼をいってきたのだ。逆にこちらこそ、近くで魔物に襲われてくれてありがとうと不謹慎ながらお礼をいいたいぐらいだ。


リザーナが最初に指を指していっていた方角とは全くの逆であったからだ。これから先、リザーナと冒険者をやっていけるのか不安しかない。


そして、これも当然といえば当然であるだろう。

街にミノタウロスが向かってきた為に鐘の音が鳴り響き、自分達が街の入り口に着くと多くの冒険者達に囲まれてしまったのであった。



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