第49話【 フォルトとの約束(16)】
巨体を揺らしながら突っ込んでくる様はまさに怪物と呼ぶに相応しい姿であろう。だが、巨体を活かした突進にしては腹を引き摺って動きも緩慢でとてもじゃないがよほどの間抜けではない限りは避けられる速さであったからだ。
大蟻群れの指揮を取る中隊長大蟻や自分の護衛をさせている軍隊長蟻の方が戦法も厄介な上に素早い攻撃を仕掛けてくる上に強力な酸を放出してくる。
もし、戦うとなればそちらのが戦いづらいだろう。
実際にリザーナを首に乗せながら大蟻を巨大な戦斧を片腕でブン回しながら戦えていた。
数こそ多いが逆にそれが大蟻達には弱点になってしまっていたのだ。狭い場所に密集している分攻撃が当たりやすい上に火魔法を使えば近くの仲間を巻き沿いにして燃え広がって行くからだ。
実際にドラッグも指示を出しやすい為に最終関門をそれぞれの冒険者パーティーがどう乗り越えるのか獲物を見定めるような目をしており緊張が高まった。
だが、ガーベラとフェローラはドラッグが楽しそうな顔をしていると微笑んでいたのだ。
少なくとも今回の冒険者パーティーには外れはおらずちゃんとした冒険者としてやっていけるとドラッグは思っている筈だというのだ。
エレーナも大暴れしてサーベルを振り回して大蟻達をミンチにしていた。
・・・ありゃ、戦闘狂になるだろうな。これからリザーナがどうするか次第で迷宮攻略とかするだろう。
その際にある程度の準備をするのは俺の役割になるのは自然だろう。
2人ともガーベラが匙を投げ出すほど料理が下手くそなのだ。
・・・翌々考えてみたら、高難度の大迷宮・ラビュリンティスの財宝の金貨や銀貨はドラッグが持っているのと違ったような?
取りあえずはこの迷宮を制覇してからドラッグらに確認するのが良いだろう。
当初の目的は【肉体強化】と【武装強化】の魔力操作であるが少なくとも魔法が付与された【付属魔法印】の武器を使いこなせれば何とでもなるだろう。
「ミックス!!またたくさんくるよ!?」
「面倒だな。石の弾丸ッ!!!」
「あーッ!!! ミックス獲物を横取りするなよ!!?」
広範囲に向かって石の弾丸を大蟻の群れに向かって放出してしまった為に殆どの大蟻達の身体や頭を貫通させて倒してしまった為にエレーナに激怒された。
そうは言われてもリザーナを首の後ろに乗せると自然と毛か角を掴まれる為に思い切り暴れると落としそうになるし、かといって一匹ずつ斧で倒して行くのは面倒だからだ。
上位種は残して置いたからそれで勘弁して欲しいと話すが納得しないので帰ったら酒を買ってやるというと機嫌が治ったのだ。
リザーナもだが、エレーナも単純すぎるな。
酒でやる気も上がったのかサーベルに纏っていた炎も激しく燃え上がっているようにも見る。
残った上位種はそれぞれの冒険者パーティーに突撃してきたがそれぞれが連携して対応しているが、軍隊長蟻の一匹がこちらに突っ込んで来たので右腕で戦斧を縦に振り下ろすと真っ二つに切り裂かれた。
流石に状況が悪くなったのを察したのか女王蟻を逃がそうと軍隊長蟻が生き残っている大蟻達にカチカチッと顎を鳴らして女王の元に集まり始めた。
しかし、ダンジョンボスは戦闘が1度その場で行われるとどらかが生き残るまで出ることの出来ない仕組みになっている為に群れの指揮を取る中隊長大蟻も軍隊長蟻も女王蟻の周りを囲う事で守備の陣形を取り始めたが、ドラッグはその前に女王蟻に向かって炎を吹き掛けると一匹の大蟻が飛び出してそれを身を呈して護ったのだ。
数は減ったとはいえ、まだまだ大蟻達の方のが数的に有利であるのは事実でありこの女王蟻は賢い方なのだろう。
『クククッ流石にこれでは主らも手出しはできないだろう? 人間にも魔力切れがある。 ここにくる最中に大量の・・・』
「普通の冒険者なら確かに詰みだろうな。けどな。俺、薬剤師でな。回復薬や魔力回復薬を大量に持ち歩いているんだわ・・・」
ドラッグは自身の魔法の鞄から回復薬や魔力回復薬が入った瓶を指の間に挟んで女王蟻を煽るように見せびらかしていた。
女王蟻は消耗戦に持ち込めばいずれば魔力切れで体力もなくなり勝機があると踏んでいただろうが相手が悪かったというしか無いだろう。
ドラッグは他の冒険者達に回復薬や魔力回復薬を渡して攻撃の手を緩めること無く、大蟻達を次々に倒していったのだ。
そして、レミーラが女王蟻の背後から斬りかかり首を跳ねると残った大蟻達を殲滅すると突如として目の前に巨大な球体が姿を表したのだ。




