第43話【 フォルトとの約束(10)】
迷宮攻略で一番の敵は精神的な疲労が一番である。【洞窟型】は産まれたばかりのダンジョンに多くみられるが、罠などがほとんどない代わりに、蟻の巣の様に複雑な造りの物が多いがゴブリンや大蟻は【洞窟型】から【自然型】に変化できるまで強力になるとそれこそ並みの冒険者の集まりで太刀打ちできるレベルになる。
ダンジョンボスを倒して魔力を溜めてダンジョン内の魔物や魔獣の力の源である宝玉を1度ダンジョンボスの部屋に奥にある【攻略の間】と呼ばれる台座に置くと魔力持ちの人間ならば、魔物の魔獣を選び配置する事ができる。
少なくともこんな大多数の大蟻が棲み着いているとなれば、ダンジョンボスが魔力を溜めてより強い蟻の魔獣を産み出している。
その対価として高値で取り引きされている魔石や財宝がある可能性がでてきたからだ。
新迷宮攻略の際に功労者にはダンジョンで得た利益を得る権利があるのだ。
今いるこの場にいる冒険者全員にあるからだ。
だが、精神的な疲労がそれだけでは回復しないのは薬剤師であるドラッグが一番理解している。
「少なくとも冒険者である異常こういった現場に立ち会う可能性がある受け入れるしかねぇだろう?」
「け、けど、ダンジョンボスの部屋がわからないのに・・・・」
リーナが弱気な言葉を吐いたのであった。
だが、ミックスは迷宮を彷徨っていた時に強い臭いを辿って行けば、必ずダンジョンボスであろう女王蟻がおり、当然であるが女王を護衛するより強い大蟻が数匹はいる筈だろう。
キーンもリーナと渡された魔法が付与された【付属魔法印】の武器を使いこなせていない為により一層不安な気持ちで押し潰されそうになっていると顔色々をみるだけでわかる程の冷や汗を流しているからだ。
だが、臨時ではあるがパーティーを組んでいるターシャは2人の尻を叩いて根性を入れ直したのであった。
冒険者なら挑んでこそ誇りをもって魔獣や未知の場所に挑むから憧れるものだと笑みをみせたのだ。
D階級パーティー剣士のフィリップがリーダー盗賊のゲブレ、女魔導師のカラーの3人パーティーもお互いに顔を見合わせた。
すると、盗賊のゲブレが何か物音がすると言うのだ。
全員が武器を手に取り警戒を強めた。
徐々に岩が噛み砕かれる音を近づいてくるが場所が複数であった為に何処から襲撃してくるのか予想が着かない状態であった。
突然、ドラッグの足元が崩壊し始めたが上手く回避した。
だが、大蟻達はそれを狙っていたのだ。 ドラッグが着地した場所が崩れて落ちてしまったのだ。
ガーベラが慌てた様子で蝙蝠の翼を出して手を伸ばしたがドラッグはくるな!!とガーベラを制止したのだ。
その瞬間に土魔法で崩落させた穴を塞いでしまったのだ。
そして、別の穴を開けて大蟻の大群が瞬く間にミックスらに襲い掛かってきたのだ。
「ど、どうなってるんだ!? ゲブラ!!」
「恐らくは先に戦った大蟻が群れを指揮を取っている中隊長大蟻に指揮官の人間を教えたんでしょ。最悪ですぜ? 多分、さっきの奴らよりも上位個体で魔法も使える筈ですぜ?」
フィリップが盗賊のゲブラに尋ねた通りに土魔法の一つである石の弾丸を放ってきたのだ。
フェローラが蔦でミックスが土の壁で攻撃を防いだが防戦であった。
頼りのドラッグが離脱した事により試験冒険者達にも同様が拡がっていたが、レミーラとガーベラは攻撃に突撃したのだ。
だが、ガーベラの鋭い鉤爪とレミーラの剣が通らない程の強度を誇る甲殻を持っている大蟻であり攻撃手段がなくなってしまったのだ。
明らかにこちらの戦力をわかった上で攻めてきている。
少なくともドラッグが一人でいるは危険であるがこの状況を打破する手段がないのだ。
すると、リザーナはミックスから離れてエレーナの胸に飛び込んだのだ。
「こうなったらゴリ押し一択!!ミックス!!怪力で斧振り回して全部倒しちゃえ!!」
「やっぱりかよ!? お前他人任せもいい加減に城よ!?」
「良いから!!早く何とかしてよ!! 使い魔でしょ!?」
「お前後で覚えておけよ!?リザーナ!!」
リザーナはドラッグがいなくなった今だからこそミックスの力に頼ったのだ。 少なくとも自分はエレーナに護って貰い、邪魔をしない戦法を咄嗟に思い付いたのかはわからないが取りあえず言えるのはこんな状況で無茶振りを任せて笑みを浮かべるな。
こっちもそれなりに大群で大変なのに仕方ない魔物使いであると呆れたが、戦斧を両手で握り締め直すと大蟻の大群に向かって突撃したのであった。




