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第4【 名付けからの主従の契約成立 】



迷宮から脱出する為に銀髪のエルフの少女・リザーナとともに行動している。だが、このエルフはどうにも要領が悪い上に好奇心旺盛である為かやたらと魔物との遭遇率が何故か目茶苦茶高い。何度も魔物とは戦って来た方であるが、リザーナと行動をともにしている方が魔物との高確率で遭遇している。


そして、リザーナは良く冒険者をやっていられるなと言えるくらい弱いのだ。リザーナの職業は『狩人』であり弓矢を得意とする職業だと自信満々で腕前を披露して貰ったが巨大な蛙という当てやすいとメリットあるにも関わらず矢が命中する気配がない。リザーナは手持ちの矢が無くなれば、後の武器は細いサーベルでの剣技のみであるがまるで効いていない。


下手をすれば、あの巨大な蛙ジャイアント・フロックに食べられてしまう所を何度も助けているのだ。(※魔物の名前はリザーナから教えて貰った)


「お前本当に冒険者なのか? まったくといって戦えてないぞ?」


「それ!だから、何回もパーティークビになっちゃってその都度借金作っちゃってさ。 だから、このダンジョンに入ったワケなの!!

まぁ、仲間に見捨てられたのにミノタウロスに会えて助けて貰えるなんて思わなかったもん。

てっきり○○○されて○○○~最終的にウヘヘ~」


そして、口を開けばこれだ。下品な妄想の下ネタ話をする為に口を塞いだ。今の状況下でわかっている事はリザーナは戦闘は弱い上に外の情報を聞き出しても録な事はわからないし、こっちの心労が増えるという事は理解はできた。取りあえずは迷宮から出るまではリザーナを魔物から護ればいいだけの事なのでたいしたことではない。問題なのは外に出たその後の事を考えるとなると悩ましいだろう。


すると、リザーナがふっと訊ねてきた。名前はないのかというのだ。実際に『人間だったと思っているミノタウロス』と思っている。が、種族的に【ミノタウロス】であるのであれば、名前は必要ではなかろうかと提案してきたのだ。確かに名前があれば街についた時に色々と便利だろう。リザーナにしては名案であった。


「じゃー私がつけてもいい!?んー・・・ギュードン!!それかステーキ!!」


「本能的にお前が喧嘩を売ってると思うのは何故だろうなぁ~?」


リザーナの頭を鷲掴みに力を込める。悲鳴を挙げながら謝罪を繰り返し、ひたすら腕を叩き許しを求めた。アホらしくなり、溜め息をつくとその場に降ろし、迷宮脱出を進め始めたのであった。


しかし、リザーナは頬を両手で擦り、涙目でこちらに何か言いたそうな視線を向けてきたのだ。


気にせずに迷宮の外に出る脚を進めるとミノタウロスの背をリザーナは慌てて追い掛けた。暫く進んだが迷宮の出口まではまだ掛かりそうでありちょうどいいタイミングで壁から湧き水が出ているのを見つけ、休憩を挟むとリザーナは再び、名前を考え始めたのであった。


マジマジと自分の身体を見ていたが一定の場所で視線が止まっていおり、視線の先に目を向けると胡座を掻いた股間であったのだ。


「お前の頭ン中は下ネタしか詰まってねぇのか?」


リザーナの顔を見て溜め息を着いた。なんでこんな変なエルフと一緒にいるのだろうか?


だが、詳しく訊けば、エルフの里ではミノタウロス、オーク、ゴブリンに『クッ殺せ!貴様の○○○には屈服しないぞ!!』というシリーズモノの官能小説が女エルフ界では大人気らしいのだ。


外の世界に出ても大丈夫なのか不安になってきた。少なくともリザーナみたいなムッツリな女エルフが多いのは確かだろうし、ミノタウロスを含めたオークやゴブリンも風評被害に合っていそうだ。

頭がおかしくなりそうだ。「名前の件はどうした?」と訊ね、話題を無理矢理切り替えると、リザーナは閃いた様に声をあげたのだ。


「ミックスは!!?ミックスってどう!!?」


「まぁ、ギュードンやステーキよりましだな 」


唐突に名前が決まったが、戦斧(バトルアックス)のアックスの様でミノタウロス自身も気に入った為、ミックスと名乗るようリザーナに命令されそれを了承した。


すると、不思議な事が起こったのであった。


《個体名【ミノタウロス】をミックスと命名し、ミノタウロス本人が承諾しました。これにより、ミックスはリザーナとの主従関係の契約が成立しました▼》


ミックスとリザーナはお互いに顔を見合わせた。 最初こそ理解できなかったがつまりはあれだろう。

リザーナに名付けされた事によって俺とリザーナとの主従関係の契約が成立をという事でいいのだろうか? すると、リザーナは慌ててポケットに手を入れて何を取り出して確認し始めたのだ。


「あー!!!やっぱり職業が狩人から魔物使い(テイマー)に変わってる!!! やったぁ!!!

これでミックスは私と運命共同体だぁ!!!」


「待った!!色々待て!! さっきの声はなんだ!?それとそのカードはなんだ!!?」


リザーナが言うには何か特別な事が起きたら聞こえてくる『天からの声』と呼ばれているもので魔物が何らかの影響で突然変異になったり、一定の職業を極めた者が上級職になる際に起きる現象であるという。


そして、リザーナが持っているのは【冒険者カード】といい身分を証明する際に使ったり、レベルアップした際にステータスや現在のレベルまで記載されている冒険者の証であるというのだ。


そして、リザーナの職業は狩人であったが、ミックスと主従関係を成立させた事により魔物使い(テイマー)に職業変更されたというのだ。


「つまりは簡単にいえば、リザーナに決めて貰った名前を俺が承認したから職業が変わったって事か?」


「 まぁ、簡単に言ったらそう言うことになるかな? だから、ミックスは私を養う為に頑張らないとダメになりました!これからよろしくね!ミックス!」


安易に他人に名付けを承諾してしまった事でこのような事態に陥るとは予想外であった。自分に【ミックス】と名付けをしたリザーナはミノタウロスとの主従関係の条件を満たした事により狩人であった職業が魔物使い(テイマー)に職業変更されるのは【冒険者カード】がいいのがれの出来ない表示がされていたからだ。


『名・リザーナ 種族【エルフ】 女性 職業【魔物使い(テイマー)

・使い魔リスト 名

種族・ミノタウロス→【ミックス】』

と、決定的な確証だといっていいだろう。


俺はこのドエロフの使い魔として主従関係を知らないうちに契約してしまったらしいのだ。リザーナの様子をみる限り意図的に企んでやったとは到底思えないほどはしゃいでいるからだ。


もしも、最初から契約をする為に魔物に【名付け】が必要ならば助けた時にその時にお礼だからつけるといえば済んだ話だろう。だが、リザーナと出会ってからの数日間は普通に「ミノタウロスさん」と呼ばれていたし、ただ単に名付けをする切っ掛けも話し掛けてくるリザーナに合わせていただけであり、外に出る上で名乗る名があれば便利だと楽観視していた。


俺はこのドエロフの使い魔(ミノタウロス)のミックスとして主従関係を作ってしまったのであった。


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