表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/216

第37話【 フォルトとの約束(4)】



ポートフォリオンとエデンの街の冒険者キルドが管理していた昇級試験の迷宮(ダンジョン)・【ゴブリンの巣穴】が無くなり、大蟻(アント)達の縄張りとなってしまっていたのだ。


本来ならば、大蟻(アント)は森の中には巣を作る事はない。 岩山など硬い岩石を噛み砕く事ができる為に外敵から身を護る為に岩石地帯で巣を作る事は普通なのだ。


だが、弱い上に放置され続けた迷宮(ダンジョン)内と辺りには豊富な魔物や魔獣が棲み着いている為にこの場所に居着いて数を繁殖させているのだろう。


おそらくは迷宮(ダンジョン)には卵を産む女王大蟻クイーン・アント迷宮(ダンジョン)ボスになってしまってるだろう。


だが、火に弱い大蟻(アント)はドラッグの愛用する喧嘩煙管の火の魔法が付属されている【付属魔法印(エンチャント)】を巧みに利用して戦っていた。


ドラッグは魔力を込めて喧嘩煙管の吸口を加えると煙ではなく、炎を吹き出したのだ。


「ったく・・・まさか【ゴブリンの巣穴】が大蟻(アント)に奪われて新たな迷宮(ダンジョン)になるってるとは・・・」


「ドラッグさん!この場合の昇級試験ってどうなるんだよ!?」


「事例が無いからわからん。そもそも地上に溢れてる魔物や魔獣よりも迷宮(ダンジョン)に出る魔物や魔獣は強い筈だ。

いくらゴブリンでもそう簡単には巣を乗っ取られる事ない・・・」


「じ、じゃあ、どうしてこんなことに!!?」


本音を言えば、ドラッグもどうしてこんな予想した最悪の事態に陥っているのか説明が出来ないのが本音ではある。


だが、地上に流れ出て着ている魔素量がここ数年で濃くなり魔物や魔獣に影響を及ぼしているのは間違いないだろう。


【ゴブリンの巣穴】を調査すれば、何らかの異変の原因が突き止められると思った為に今回の昇級試験試験管の依頼を受けたのだ。


出来れば、自分の勘違いであって欲しかったのが本心であるが、おそらくはこの迷宮(ダンジョン)以外の場所でも同様な現象が起こってしまう可能性が高いだろう。


少なくとも岩山など硬い岩石を噛み砕く事ができる為に外敵から身を護る為に岩石地帯で巣を作る大蟻(アント)が餌を求めてこの辺りにやってきたとしても【ゴブリンの巣穴】を中心に強い魔物や魔獣が生息しているのがこの森である。


ブラッドウルフやブラックベアーなど魔素を体内に吸収しすぎた事で毛の色が変わってしまい、凶暴化する魔獣が多いからだ。


ただの大蟻(アント)の群れが大移動してきたとしても強さが違いすぎる上に【ゴブリンの巣穴】にはロック・バードやトライデント・ホーンというドラッグでも苦戦する魔物が多い為に無闇矢鱈にこの森への移動は縄張りへの攻撃だと思い追い返されるか撃退される筈だろう。


戦いながら何故こうなったのか思考しているとキーンとキーナが突如して横の茂みから現れた大蟻(アント)に襲われてしまったのだ。


「あっ!やべぇ!!キーン、キーナ!!横から来るぞ!! って、お?」


「試験官のドラッグ。こっちは我々が引き受けた!!!」


「折角いい武器を先生から貰ったのに使いこなさずに負けたら冒険者の名折れだよ? 貴族の子だろうとね。 アタシら【差別】を無くす為に冒険者やってんだ!! 男も女も根性見せな!!」


E階級ランクパーティーのアマゾネスの女格闘家・ターシャとリザードマンの治癒術師(ヒーラー)のギガルがキーンとキーナの増援に入り、襲っていた大蟻(アント)に向かって鎖を投げて頭を貫通させた。


リザードマンのギガルは治癒術師(ヒーラー)でもあるが、リザードマン特有の硬い身体や大木の様に太い尻尾での格闘を得意としているようだ。


だが、戦力的に数が多すぎる。 いずれは体力も魔力も底を尽きて餌にされるのが関の山だろう。


そう思っていると、目の前にいた大蟻(アント)の群れが岩の弾丸で次々に倒れていったのだ。


振り向くと、リザーナを肩に乗せたミックスとエレーナ達が現れたのだ。その後ろからガーベラが戻ってきてドラッグの元へ飛び掛けていった。


「ダーリン!!転移魔法(テレポート)は設置してきたわ!!」


「流石は俺の嫁のガーベラだ!!ミックス、エレーナ、リザーナ!!予定変更だ!!この新迷宮(ダンジョン)攻略に力を貸してくれ!!」


「よっしゃあ!!!任せて!レミーラちゃんの恋の邪魔をする無粋な事をする蟻を蹴散らせ!!ミックス、エレーナ!!!」


リザーナがガーベラから聴いていたフォルトとレミーラの約束を果たせるように命令を出したのだ。


顔馴染みでないリザーナから突然、名前を呼ばれた女魔法剣士のレミーラは驚いた表情を見せたが、今はそんな余裕はないと大蟻(アント)の群れに集中したのであった。


ミックスとエレーナが戦闘に加わった事により、大蟻(アント)達は戸惑いを隠さない状態に陥ってしまっていた。


好機だと思い、ドラッグは攻め時だと攻撃の手を緩めずに数を減らす様に指示を出したのだ。


それは他の冒険者達も感じており、攻めに応じたのが、途中から大蟻(アント)達の動きが代わり、残って足止めするものと巣に戻る大蟻(アント)に別れていたのだ。


残った大蟻(アント)達を全て倒すとドラッグは巣穴付近に残っているカマキリの鎌のような身体を持った変異個体の大型一匹の大蟻(アント)を見つめていた。


少なくとも自分が知っている大蟻(アント)の群れを指揮を取る中隊長大蟻(ジェネラルアント)とは違うのだ。


本来ならば、群れを率いて女王蟻(クイーンアント)に献上する餌の量や質により気に入らる事で王女に子種を付ける権利が優先される


そして、別の大蟻(アント)の群れを指揮をを取ってい中隊長大蟻(ジェネラルアント)の下に散らばに隊の統率と数を増やしている魔獣であるのだ。


【ゴブリンの巣穴】よりも脅威度や強さや迷宮(ダンジョン)の構造が変わっている事を考えれば撤退するのがベストな判断であるが、彼らは冒険者であるのだ。


当然、新迷宮(ダンジョン)の攻略に乗る気な者もいるだろう。


ドラッグ一人の判断では決断するのは普通なら無理であろう。


だが、ドラッグは普通の冒険者ではない。


迷宮(ダンジョン)攻略にこのメンバーで乗り出すと決断を下したでのあった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ