第36話【 フォルトとの約束(3)】
港都市・ポートフォリオンから少し離れた森深くある【ゴブリンの巣穴】はまだゴリガンやフォルトが冒険者として駆け出しであった所にはギルドの昇級試験の迷宮として使われていたというのだ。
だが、フォルトが昇級試験官を最後に昇級試験を行えるギルド体制では無くなってしまい最終的に迷宮の管理もままならない様になってしまったのだ。
実際にドラッグも【ゴブリンの巣穴】に訪れるのは7年も前の事であった。
魔物や魔獣は巣穴に地下か付けば、自然に沸いて出てきたものであったが様子がおかしいのだ。
既に目的の迷宮名・【ゴブリンの巣穴】が目と鼻の先にあるが見張りをしているゴブリンの姿が見当たらないのだ。
通常化ならば、ゴブリンは知性が低いがホブゴブリンやゴブリン・マジシャンなど指揮を取れる個体が産まれるとゴブリンは連携をして見張りを立てる様になるが普通である。
だが、4年近くもギルドが放置していたにはゴブリンの気配が感じないのだ。
少なくとも、4年も月日があれば変異個体が産まれゴブリン・キングやゴブリン・クイーンやゴブリン・マドンナというメス個体が産まれて数を増殖させて外に獲物を収める弱いゴブリンが集落を作って猪や野うさぎを狩りで仕留めてキングに献上すると調査でわかっている生態だ。
その集落も巣穴近くにはいないのだ。
・・・一番最悪なケースは既にゴブリンの巣穴が魔獣にやられて魔獣が迷宮の支配者になり内部が変化している可能性が高くなってきたのだ。
そうなった場合は一度引き返す必要があるが、ドラッグのパーティーにはフェローラいるために土と水があればフォルトに連絡を取ることが出きるのだ。
フェローラは普段は浮遊魔法で浮いて移動している。実際にドライアドとアルラウネの混合種であるが移動型では無いためにドラッグとガーベラが考えた移動手段を習得したのだ。
フェローラは地面に脚を着けると木の根の様になり、地面なら蔦がはえて花が咲いたのだ。
ドラッグが声を掛けると反対側ではフォルトの声が聞こえてきたのだ。
『フォルトだ。どうした・・・?もう攻略したのか?』
「違ェよ。面倒な事になってやがる。後略した【ゴブリンの巣穴】が他の魔獣の棲みかになって迷宮に変化してやがるんだよ・・・」
『なっ!?早すぎないか!?たったの4年だぞ!?ギルドが放置していたせいで魔獣の棲みかから迷宮にだと!!?』
「当たって欲しくない予想になった。どうするんだ?ギルドマスターの判断によるぞ?」
ドラッグはこの昇級試験官の話をした際に最悪の場合【ゴブリンの巣穴】が他の魔物や魔獣に乗っ取られてすみかになり、迷宮になるっている可能性をゴリガンとフォルトに話していたのだ。
勿論、事例の無いことではある為に二人も「まさか・・・」と信じてはいなかった。
だが、新たに迷宮が生まれ変わったとなると色々と話しは変わってくるのだ。
少なくとも昇級試験の冒険者に任せられる案件では無いからだ。 少なくとも【ゴブリンの巣穴】はエデンの街とポートフォリオンのギルド管轄になっているためにどちらかのギルドマスターに報告すれば問題は無いのだ。
ただその場合にはポートフォリオンの騎士団と話し合いをしなくてはならないのだ。
ポートフォリオンの騎士団はキーンとリーナの父親であるバトラー・ローランドとの話し合いをしなければならないのだ。
だが、悠長な話し合いをしている暇はないとドラッグはいうのだ。
「チッ!!状況が変わった!!!ガーベラの転移魔法でこいつらを帰らせるぞ!!!昇級試験は中止だ!!!」
『なっ!?どうした!!ドラッグ!!』
「新しい迷宮の魔獣がお迎えに来てくれたぜ。 大蟻の巣になってやがった!!!中がどうなってるのかわから・・・チッ!!!」
『オイ!!!ドラッグどうなった!!?』
フォルトとの通信を切るしかなかった。向かっていた【ゴブリンの巣穴】は巣の入り口の一つでしかなかったのだから既にドラッグ達は大蟻達の狩り場の中まで侵入してしまったからだ。
既にドラッグは戦闘体勢入り、他の冒険者も武器を手に取っていたのだ。
大蟻は大型の蟻の魔獣であり、嗅覚と視覚が発達しており、他の外敵から身を守る為に全身が硬い殻で覆われている。
一番の武器は顎の力と統率力がある為にバラバラに戦ってしまうと餌になってしまう。
ドラッグはキーンとリーナの側で懐から喧嘩煙管を取り出すと近付いてきた1匹の頭を叩き潰した。虫独特の液体が飛び散るが数が多い過ぎるのだ。
「大蟻は火の魔法に弱い!!火魔法を使えるならどんどん使ってけ!!他の連中はなるべく関節狙え!!
顎には気を付けろ!!? コイツらは人間の胴体なら簡単に食い千切られるからよ!!
ガーベラ!!離れた場所で転移魔法の陣を張れ!!」
「け、けど・・・この数はダーリンでも!!!」
「ミックスらを呼びに行け!!フォルトはギルドマスターでポートフォリオンから移動するにも時間が掛かる!!頼んだぞ!! 」
「くそ!!何て力だ!!!」
D階級パーティー剣士のフィリップが大蟻に捕まると数が増えていき囲まれてしまったのだ。
ドラッグが何とかする前にフォルト期待の冒険者女魔法剣士のレミーラが大蟻に向かって炎の斬撃を飛ばしたのだ。
彼女の目には目的の為に勝つという執念に燃えていた。




