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第32話【 破格の昇級試験(3)】



そもそも迷宮(ダンジョン)には様々な諸説や見解がある為に誰がどう思ってそう感じたのかが意見であり、そこに何も価値は存在しないのだ。神々が地上の人間への試練といい迷宮(ダンジョン)を産み出したならば神は魔物を産み出した1人になるからだ。冒険者に取っては迷宮(ダンジョン)がどうやって産まれたのかなどはさほど意味はない事であるからだ。 そもそも、魔物や魔獣を倒してその素材をギルドに売り付ける生業だ。 色々考えても時間の無駄だろう。それならば、好きに自分のやりたい事に時間を削いだ方が絶対に後悔がない。それが冒険者として正しいだろう。


冒険者は強ければ、種族や肌色など問わずに何処にでも行ける職業だからだ。


だが、ポートフォリオン付近で行われている昇級試験は至難であった。 4年も冒険者がどうにも出来ずに放置している場所を昇級試験に参加したキーンとリーナ、そして冒険者達は判断を間違えたと後悔の念を感じていたのだ。


魔物や魔獣のレベルが違い過ぎるのだ。


階級(ランク)パーティーダークエルフの槍使い・ゼギラはフェンナト王国の魔物や魔獣を舐めていたが、ガーベラやフェローラがフォローをしてくれて死なずにすんでいた。


他の冒険者もガーベラやフェローラがフォローをしていたのだ。 ドラッグはキーンとキーナの指導で忙しいからだ。現にキーンはブラッドウルフに悪戦苦闘しているのを見ている為に他の冒険者パーティーのフォローするのが難しかったからだ。


「下手くそだな。んな、剣の使い方で魔物や魔獣が切れるかよ? フェンナト王国周辺の魔物や魔獣舐めてたろ?」


「舐めてたよ!! てか、なんだよ!? この狼と熊は!!?」


「ブラッドウルフとブラッドベアーこの辺りじゃ良く出る魔獣で冒険者や商人を襲ってる」


「いやいや!!!ポートフォリオンの直ぐ側じゃん!!?何で街には来ないよ!!?」


ブラッドウルフに襲われ、剣で何とか喰われない様に必死で用意された胸当ての鎧も爪で簡単に傷痕がついてしまう。リーナはブラッドウルフに何も出来ずにいると、横から鎖が飛んできてブラッドウルフの頭を貫通させたのだ。


仕留めたのはアマゾネスの女格闘家・ターシャであった。


キーンは返り血を浴びたが、リザードマンのギガルがブラッドウルフの死体を軽々持ち上げたのだ。


少なくとも、ブラッドウルフの毛皮や爪はギルドで引き取りでも高価である為に綺麗に仕留めるのが冒険者であると笑みを見せた。


他の冒険者達も連携をしながら高ランク魔物や魔獣を相手に善戦している方だろう。


だが、E階級(ランク)のゼギラはタメ息をついたのだ。


魔法の鞄(マジック・ポーチ)を持っていない為にせっかくの素材も置いていく仕方ないからだ。

何かを思い出したようにドラッグは指を鳴らした。


「あ、そうだった!!忘れた忘れた!!魔法の鞄(マジック・ポーチ)余分あるからお前らに渡すの忘れたわ~」


「ブッ!?ま、マジでいってるのかよ!?」


「んや、B階級(ランク)必須アイテムだし、今回の試験官が冒険者の問題児・ドラッグだぜ? ちなみにキーンとキーナはどっちが持つか決めろよ?」


「マジで魔法の鞄(マジック・ポーチ)じゃないっすか!?これ貴重なアイテムっすよ!?」


実際にB階級ランクになるには迷宮(ダンジョン)魔法の鞄(マジック・ポーチ)の入手が条件であるが手に入るのは別に迷宮内(ダンジョン)だけではないからだ。収納魔法の上位魔法の異次元収納(ストレージ)さえ覚えてしまえば魔術師(マジシャン)魔法の鞄(マジック・ポーチ)を製造するのは可能であるからだ。


さっさと魔法の鞄(マジック・ポーチ)を渡すついでに休憩を取る為にフェローラに蔦で壁を作って貰い、魔物や魔獣が襲ってこれないようにしてしまった。


受験冒険者達に魔法の鞄(マジック・ポーチ)を取り出すとドラッグは全員の現段階の評価は普通であると話したのだ。


少なくとも本能的に【肉体強化】と【武装強化】の魔力操作がまだまだ未熟な者が多いと答えたのだ。


勿論だが、キーンとキーナはその2つを知らない為にドラッグに尋ねたが、既に装備がボロボロであった。


「ここ2年は薬作りでまともな冒険者として活動してなかったが、これでもまだまだ現役だからな~」


「なぁ、ドラッグ先生よ!その【肉体強化】と【武装強化】って何だよ?」


「まぁ、簡単にいえば、体内の魔力で肉体を強化する事と専属の武器に魔力を流して強化する技術の一種だな。 魔力の性質とかによっては魔法が付与された【付属魔法印(エンチャント)】の武器が使えるぞ?」


実際にドラッグの魔法の鞄(マジック・ポーチ)の中には貴重なアイテムが入っている。


金に困ったら売れば良いと思っていたが並に武器屋や防具屋に買い取りを頼んでも買い取って貰えない代物でばかりであるから店を買い取れるレベルの武器や防具が入っているのだ。


そして、自らが作った毒の薬品に回復薬(ポーション)魔力回復薬(マナ・ポーション)が入っているのだ。


すると、ドラッグはある槍をゼギラに投げ渡してキーンとキーナの武器も取り替えたのだ。


売れない・使用予定が無いために使える奴が使った方が良いと渡したのだ。


ガーベラは魔法の鞄(マジック・ポーチ)に入っていた要らない物を渡しただけであるとわかっていた。


そんな姿をC階級(ランク)冒険者・レミーラは不思議そうに見ていたのだ。


想像していた人物像よりも極悪人ではないからだ。


勿論だが、これから先のゴブリンの巣穴に異変が起こっている可能性を示唆しての判断だろうと考察していたが、ドラッグはキーンに渡した剣とリーナに渡したナックルダスターには魔法が付与された【付属魔法印(エンチャント)】であり、ゴブリンの巣穴に到着する前に使いこなすよう無茶振りを指示し始めたのであった。


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