第31話【 破格の昇級試験(2)】
破格の昇級試験を務めることになったドラッグはキーンとリーナに【ゴブリンの巣穴】とは何か教えなが目的地に向かっていたが、昇級試験を受ける冒険者達のパーティー行動や同じ職種の人の立場などを見て勉強するように指示をだしたのだ。
今回受ける冒険者パーティーは4パーティーである。
E階級パーティーのゼギラという槍使いのダークエルフがリーダーを務め魔導師のメリー、剣士のグンタ、治癒術師のリンダのバランス型パーティー。
同じE階級パーティーのアマゾネスの女格闘家・ターシャとリザードマンの治癒術師のギガル。
一つの上のD階級パーティー剣士のフィリップがリーダー務め、盗賊のゲブレ、女魔導師のカラーの3人パーティー。
そして単独のC階級まで登り上がったフォルト期待の冒険者女魔法剣士のレミーラである。
少なくともレミーラ初めとする他の冒険者らはドラッグを危険視していたのだ。
冒険者界では悪名が高く、決して戦闘力が高くない薬剤師という職業で暴れまわっている異端児であるからだ。
「コラコラ。俺がカッコいいB階級冒険者様だからって背中がら空きにしてんなよ?」
「えっ? け、けど魔力関知や匂いなどは・・・」
「索敵もやってますぜ?」
「ったく・・・ほら。そこにいるだろッ!!!」
ドラッグは魔法の鞄からナイフを取り出すと岩肌にナイフを投擲した。
すると、岩肌に刺さらず、何か別の物体の身体に突き刺さったのだ。
ゴブリンの巣穴は他の魔物や魔獣にとっても格好の餌場でもある為に驚異度の高い魔物や魔獣がゴブリンの次に弱い人間、つまりは冒険者を狙っているからだ。
ロック・フロッグという身体が岩に似ている為に岩場に通る魔物や魔獣、人を食べる魔獣である。
魔力関知や種族特有の特性や職業スキルを使っても自然相手には通用しない事があるのだ。
「ロック・フロッグは身体こそでかいが魔力がねぇし、擬態スキルで索敵にも掛からねぇよ。
敵意を持っていない相手には反応しねぇからな。 ロック・フロッグは補職する時に敵意を向けてくる魔獣だからな。いい勉強になるだろう?」
「んな事いってる場合かよ!? 早く倒さないと・・・?」
「な、何で動かないの?」
「さっきのナイフには薬剤師のスキルで作った特殊な毒を塗ってあるものだからな。 ロック・フロッグは身体を固くした分、毒体勢が無いんだよ・・・」
ドラッグは近づいてナイフを抜き、蹴りを入れるとロック・フロッグは簡単に倒れてしまった。
ドラッグはガーベラにロック・フロッグ手を切断させると空に向かって投げたのだ。
空では鳥の魔獣が我先に集まって来ていたのだ。
実際にロック・フロッグに気遣いないで当時の試験の時に2人食われたが、消化に時間が掛かる為に早く倒せば胃液まみれになって臭くなるだけで済むと笑ったのだ。
この辺りは生存競争が高いから常に進化して生きるために魔物や魔獣も変異種になりやすい危険区域であるが、ゴブリンの巣穴はこの森の奥にあるのだ。
まぁ、魔物や魔獣が強くなっているのは仕方ない事だとドラッグはキーンとリーナの元に戻り話始めたのだ。
ここの魔物や魔獣の討伐はドラッグが昇級試験を受けて以降に魔物や魔獣が凶暴化してしまいポートフォリオンの冒険者ギルドではどうにも出来なくなり立ち入り禁止区域になっている為に魔物や魔獣にとっては楽園である。
少なくとも5年近くは放置されている為に魔物や魔獣の驚異度も当時は高くてもD程であったが、ロック・フロッグがこんな川岸の壁に擬態しているのを見るとかなり不味い状態かもしれないというのだ。
当然、キーンとリーナは聞いていた話と違うと激怒したが、これから冒険者になるのであればこれくらいの魔物や魔獣と戦えないのでアレば商人や嫁にでも嫁いだ方が安全だと伝えたのだ。
元からポートフォリオンの冒険者ギルドの冒険者が匙を投げてフォルトが度々調査に来ているがゴブリンの巣穴の確認まで行けない為に破格の昇級基準であるのだ。
「な、何で姉貴らは・・・フェンナト王国は動かないんだよ!!!」
「フェンナト王国の護衛職になると魔物や魔獣との戦闘する回数が減るからな。領地の貴族や王様が許可ださないと討伐は出来ないからな・・・」
「つまりはなるべきしてなった環境って事かよ!?」
「だから蹴りを入れたくなるだろ? ポートフォリオンの事や民の事を考えてねぇブタの言いなりなる位なら冒険者らしく自由に暴れるのが俺は好きだからな・・・」
唖然とするメンバーの中、C階級冒険者のレミーラが何故今回の昇級試験をやる気になったのか尋ねてきたのでその辺も含めて理由を説明した。
既に魔族と巨人族が手を組んでいる事やフェンナト王国の真後ろにある山脈に魔王・レッドクリムゾンが眠っている事やこの辺りの魔素量が急激に上がっている事を話したのだ。
普通にこう言った機密事項は黙秘案件だからこう言うのはペラペラ喋らないよう一応、ガーベラが釘を差しておいた。
だが、ドラッグは喋りたかったら喋ってもいいというのだ。遅かれ早かれ弱いやつから順番に死んでいくだけで冒険者じゃ珍しいことではないからだ。
いってしまえば今回の昇級試験官をやろうと思ったのは冒険者でも問題行動多いドラッグが試験官を務めても逃げ出さずに挑戦する意志がある冒険者を見つけておく必要があるからだ。
少なくともここにいるメンバーはそれを満たした。 後は冒険者としての実力を計るだけであると愛用の喧嘩煙管を取り出して一服するのであった。




