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第3話【 助けたエルフの頭がヤバかった 】




迷宮攻略をして地上を目指して何日間たったが、一向に階段らしきものが見当たらなかった。 頼りにしていたのは魔物達が降りてきた痕跡と臭いであった。だが、蛇や蛙はどうやら土の中に潜った際にたまたまこの迷宮内に迷い込んでしまったようで実際に行ってみるとミノタウロスの身体ではギリギリ通れない穴が出来ていた。


一つ言える事はこの迷宮自体がかなり複雑な構造で設計されているのは間違いなく、恐らくは一定多数の人間にしか正しい道順はわからないようにされているのだろう。 財宝があるなら地上に人はいる可能性が高いだろう。 こんなあからさまな迷宮にミノタウロスに宝を守護させているくらいだ。


今思えば何故、人がいる事に拘っているのだろうかと疑問に感じてしまった。 今の自分はミノタウロスである為に人がいようといなかろうと関係ないだろう。地上に出ればこちらの話に聞く耳を持たずに討伐されるのが関の山だろう。

万が一、迷宮からミノタウロスが逃げ出したとわかっても多少の人数なら倒せる力はこの迷宮内で身につけた。


少なくともレベル70以上ある為に余程の強者か軍隊でなければ自分を討伐する事は困難だろう。めんどくさい。これくらいの土壁なら突進すりゃぶっ壊せるか? だが、突進の衝撃で落盤したら生き埋めになる可能性が高い。無難に手探りで進んでいくしかない。


少なくとも迷宮攻略に時間が掛かるのは当たり前の事だ。慌てる必要はない。ただ外に出て日の光を見たいだけだ。もう何年、何十年と日の光を見ていないからそのせいもあるだろう。取りあえずは自分が通れそうな道を地道に探して進んでいくしかないか方法はない。


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地味に歩き続け、迷宮攻略の手がかりを探している最中に土壁の一番高いところに設置されている光る原石とは別な鉱石を発見した。


硝子様に透き通っており七色の色に輝いている結晶石であった。これも自分の魔核収納(コア・ガレージ)に収納しておけば金に替えられるだろう。


まぁ、ミノタウロス相手に売買をしてくれる変わり者が入ればの話である。


だが、この辺りは同じような結晶石が幾つもある。これを辿って行けば何か手がかりを掴めるのではないのでないかと思ったのだ。


自分が目覚めた宝玉の部屋にはこのような結晶石はなかったからだ。つまりは自分が目覚めた場所から離れて環境が変化しているのではないかと思ったからだ。結晶石を目印に進んで行くと、微かに『人の声』『金属がぶつかる音』『魔物の咆哮』が耳に響き渡っていた。おそらくは魔物と交戦中だろう。


声はこの壁の向こう側から聞こえてきた。ならば、位置的に人には石は当たらないだろう。

だが、ミノタウロスを見れば逃げ出す恐れはあるが最悪はその人間の後を匂いで辿って行けば地上に出られるのではないかと思い付いたのだ。


一応は人助けになるし、魔物も食べられて迷宮からも出られる一石三鳥であろう。


そうと決まれば行動はただ一つだ。助走を着けて全身を【硬筋肉(こうきんにく)】と【怪力】のスキルを使って壁に向かって突進して突き破ったのであった。


土壁を突き破った先には魔物が人間と交戦中であった。だが、突然現れたミノタウロスに魔物も人間らもこちらに気を取られていた。


魔物は今まで戦って食べてきた大蛇や大蛙とは違って巨大なカマキリであった。

すると、人の男が声を挙げて逃げたしてしまったのだ。


「な、何でこんな所にあのミノタウロスがいるんだよ!?に、逃げるぞ!! 」


おそらくはリーダーなのだろう。全員がその指示に従って逃げたしたが、銀色の髪の長い少女を巨大なカマキリの前に突き飛ばしたのだ。

自分達が逃げるために魔物の気を引くために仲間を生け贄にしたのだ。


カマキリの魔物は自分ではなく、地面に腰を抜かした銀髪の少女に狙いを定めたのか鎌を振り下ろした。


流石に仲間に置き去りにされて殺されるのは不憫だと思ったのだろうか? 気がつけば、その銀髪の少女を護っていた。


銀髪の少女は唖然とした表情で巨大なカマキリのとの戦闘を見守っていた。巨大なカマキリは獲物を横取りされたと思い、飛びかかってきたが左手に持っていた戦斧(バトル・アックス)で首を撥ね飛ばすと青い液体を吹き出して倒れた。


銀髪の少女を見るとビクッと身体を震わせているのがわかった。

こちらとしては怖がらせるつもりはなくても目の前で魔物の首を切り飛ばしてる為に仕方無い事だろう。

声を掛けても大丈夫だろうか?言葉が通じるだろうか? 不安要素はあるがここでこの少女を殺す気などはないからだ。目の前に突然ミノタウロスが現れてまともに会話できるか? 少なくとも普通の神経してたら泣き喚くか逃げ出すか諦めるだろう。


「ミノタウロスさん、金貨貸して下さい!!」


すると、銀髪の少女から声を掛けてきたのだ。

まさかの土下座つきで…はっ?今、この子何て言った? 金貨貸して下さい!!って言ったよね?


「お願いします!!何ならここで身体で返しますから!!!エルフなんて○○○されてナンボの種族ですよ!? それともやっぱり高貴なエルフが『クッ…殺せ!!』みたいなムッツリ戦士か騎士がタイプ何ですか!? 何なら脱いで・・・」


明らかにパニックなって錯乱しているのだろうが、内容が酷すぎる。まず、第一にミノタウロスから金貨貸し借りするもの変だろう。以前に【エルフ】という種族が他種族からエロい目でしか見ていないような発言をし、本当に身体で払おうと脱ごうとしてる。


「変な偏見やめろ!!! というか、他のエルフに謝れ!!!そんな趣向は持っとらんわ!!」


・・・思わず声に出してしまった。


すると、銀髪の少女は既に上半身を脱ぎ掛けていたが、声を掛けられた事で動きが止まった。そして、ゆっくりと視線を上に上げて顔を合わせたのであった。


「えっ!?しゃ、喋るの!?なら、金貨貸して下さい!!!! ギルドに借金あって今回の依頼こなせないとヤバイんだよ~!! 助けてくれたお礼に2、3発ならOKだから!!!」


「取りあえずはそういう売春をミノタウロスにするな!!頼むから人・・・いや、オレの話を聞いてくれ!?」


銀髪の少女はエルフ族の『リザーナ』といい、先ほど見捨てられた男らとパーティーを組んでダンジョンに潜り込んでいたそうだ。先ほど倒した巨大なカマキリはジャイアント・マンティスという魔物らしいのだ。リザーナはある冒険者ギルドに所属しているとらしい。そして、ギルドへの借金の理由については依頼の失敗が多いからだと言うのだ。


少なくとも金貨10枚はいるとリザーナは話すのだ。とりあえずは外の世界には冒険者いて人間が生活しているのはわかった。なら、このリザーナに外まで案内させれば、出られるのでないか?


「あー、リザーナだったな? 俺はこの迷宮から出たい。 出口まで案内してくれるなら金貨をやろう…」


「えっ!?いいの!?け、けど、外にはミノタウロスが外に出たら間違いなく討伐依頼出ちゃうから危ないよ?」


・・・やはりそうだろうな。


危害をくわえるつもりはなくても怪物がいれば討伐依頼を出すのは当たり前だろう。まぁ、ミノタウロスだから当然というば当然の事だろう。


取りあえずは外に出てから安全な場所を探すかと悩んでいるとリザーナは閃いた様に声を掛けてきた。


「・・・んじゃ、ついでに仲間になって養ってよ!ミノタウロスさんかなり強いでしょ!?なら、私とパーティー組んで冒険者やろ!!」


確かに悪くないかもしれないが、ミノタウロスを受け入れてくれる冒険者ギルドなどあるのだろうか。

少なくともこのリザーナというエルフは頭がブッ飛んでいるのは少ない会話でも理解できる。 パーティーを組んでくれたらとまた服を脱ごうとしているからだ。このヤバいエルフのリザーナとパーティーを組むのはマズいとは思うが、少なくともコイツに着いて行けば人里には行けるだろう。


万が一、ダメでも逃げて他の所に行けばいいだけの話だ。リザーナに了承すると明るい表情になり飛び付いてきたのだ。 魔物相手に危機感が無さすぎるし、貞操概念が低いが久しぶりに誰かと話せたのはどこか懐かしい気持ちになっていた。

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