第26話【 問題児には冒険者の異端児を 】
ポートフォリオンには冒険者や聖騎士団への入隊を希望している子どもらが通っている実戦訓練学校が存在している。
所謂後継者育成の為の実践訓練学校であるそうだが、そのうちの一クラスが問題児であ手を焼いている為にB階級冒険者のドラッグが教官として依頼を受けたのだ。
仲には帰属などの偉い人もいる為に下手な事が出来ないというのだ。
だが、フェンナト王国の国王の顔に蹴りを入れ、国王の護衛団に選ばれた護衛職達を叩き潰したドラッグには関係のない話であるからだ。
実際に問題児クラスと対面した際にも先に担任の指導者の元・冒険者に対して蹴りを入れてみせたのだ。
「この冒険者の恥晒しが!!!こんなクソガキに舐められやがって・・・。テメェ、足首に鉄球縛り着けて大砲に詰め込んで海に沈めるぞ?ゴラァ!!!」
「イヤイヤイヤ!!あんたなにやってんのよ!?臨時教官として雇われたんでしょ!?」
ドラッグの度を越えた行動に一人の少女が苦言て来たのだ。
「冒険者やる上で『相手に舐めれる』のは屈辱としていえないだろう? そもそも、冒険者は命を掛けて魔物や魔獣と相まみえる存在のわかってるよな?お嬢さん?」
「も、勿論よ・・・。けど、だからって・・・」
「それをこんな毛の生えてないガキに舐めれる失態を起こしたんだぞ?
フォルトがギルドマスターでよかったなぁ~。
俺だったら殺してたからなぁ~」
ドラッグは問題児クラスの元・冒険者に制裁をくわえるとガーベラが魔法陣で大砲を用意して足首に鉄球を嵌めて大砲の中に詰め込んだからだ。
後は海に向かって放つのみであった。
すると、一人の男子生徒がやりすぎだとドラッグに抗議してきたのであった。
だが、冒険者は己の腕っぷしで成り上がる仕事であり、例え元・冒険者であって冒険者ギルドに泥を塗った事に変わりはないと切り捨てたのだ。
そもそも、ドラッグは問題児クラスをどうにかして欲しいと頼まれただけであり、担当の教官の生死に着いては依頼に含まれていない。
「ほ、本当に狂った思考の持ち主なのですね。
リゼお姉様のいう通り・・・」
「あ?もしかしてお前。リズ、リゼ、リゼリーのションベン漏らしの3姉妹の親戚か?
それとも4年前に俺がぶっ倒して護衛職の団長だった『バトラー・ローランド』の血筋か?」
「お、親父を倒した狂った冒険者って・・・」
「・・・多分俺だな!!マジかローランド家に負けたなら余計に恥晒しだな。海に沈めるか・・・」
問題児クラスがドラッグの知り合いであり、評価の低いローランド家であった為に本当に大砲に火を入れて担当の教官を飛ばしたのであった。
だが、フェローラが蔦を伸ばして空中で捉えるとドラッグの側におろしたのだ。元・冒険者の教官は酷く怯えてしまっていた。
ドラッグはお前らが倒してイキっている引退したC~D階級で冒険者を同じ様に倒してしまったのだ。
つまりは冒険者として魔物や魔獣から逃げた負け犬にいくら勝とうが何の価値もないと生徒らに睨みをつけたのだ。
すると、短い金髪の少年がドラッグに尋ねてきたのだ。名前はキーンといい、隣には双子の金髪で気の強そうな顔したリーナという少女がいたのだ。
自分達の憧れの姉らがションベンを漏らした事は事実かと尋ねてきたのだ。
「懐かしい話だ。テメェらの姉貴らとは冒険者になった時期が同じで同期なんだよ。
んで、C~D階級に上がるときにゴブリンが迷宮を作ったって事で昇級試験で一緒になってなぁ。
先に先行したはずのリズ三姉妹がゴブリン・チャンピオンをヤられてな。ゴブリン達に連れ去られてな・・・」
「そ、そんな・・・。な、なんでゴブリン・チャンピオンが・・・」
「迷宮に住み着く魔物や魔獣は地上にいる魔物よりも凶暴化し、突然変異する事があるからな。珍しい話ではないぞ?
そうだ、良い事を思い付いた!!その迷宮に俺が連れててやるよ!
命を掛けられるヤツは着いてこいよ!!」
ドラッグは先手必勝で懐から喧嘩煙管には火の魔法が付与されいる【付属魔法印】に魔力を流し込むと口から火炎の息を吹き出したからだ。
何人かの生徒が火だるまになり地面に転がるがガーベラとフェローラが水を掛けて助けた。
その愚行に激怒したキーンは鞘から剣を抜き、クラスメイト達の指揮をあげたのだ。
キーンの言葉に感化された格闘家の生徒がドラッグに近づいて近接格闘に持ち込んでもドラッグの強烈な膝蹴りが顎を粉砕し、煙管の管部分で腹部を強打し、吹き飛ばしたのだ。
「オラァ!!どした?また20%くらいしか本気出してねぇぞ!? もっと楽しませろよオイ!!折角の喧嘩なんだぞ?もっと楽しませろよ!!もっと殴らせろ!!!」
「くそ!!この狂った薬剤師め・・・ッ!!!」
キーンが剣をドラッグに向けて振り下ろしたがドラッグは喧嘩煙管でそれを防いでみせるだけで良かったが、謝って剣を折ってしまったのだ。
リザーナらに習得させている【肉体強化】と【武装強化】の魔力操作がまるで出来ていない。
ドラッグはキーンの腹に蹴りを入れて飛ばすともう一人の問題児であるリーナの元によったのだ。
リーナは格闘家であり、鉄の鉤爪の付いたナックルダスターの使い手らしいが、クラスメイトや兄であるキーンが簡単に殺られてしまいやけくそ気味突っ込んできたのだ。
そこでドラッグは懐に煙管をしまうとリーナの手首を掴んで握力で握り潰してしまったのだ。
悲鳴を上げて許してと泣き叫ぶリーナに向かってドラッグは耳元で囁いたのだ。
「そういったら許してくれるのが人間だろう。
だが、冒険者の相手は魔物でだぞ?そういってゴブリン達がそれで許して逃がしてくれると思っているのか?
お前らの姉貴らも身ぐるみを剥がされて全裸にされて犯される寸前だったンだぜ?。
お前はどうなるだろうなぁ~。ゴブリン達がお前らをどうするのか。楽しみだなぁ~」
ドラッグはリーナの姉らが身ぐるみを剥がされてゴブリンに強姦されそうになった話を耳元で囁いたのだ。
ドラッグはうんざりした顔をしてリーナを見つめたのだ。
あの時と同じで泣きながら許してという姿が姉らとそっくりだとゴブリンのいる迷宮に連れていったらどんな目に会うのか楽しみだと嘲笑ったのだ。
少なくとも迷宮に行くならば、命を掛けられる生徒しか連れていけない。
他人の命の保証など誰も出来ないからだ。
それが例え【勇者】と呼ばれる者であっても変えることの出来ない現実であると教授してたのだ。
リーナを地面に下ろすと倒れた生徒らに回復薬を掛けて周り冒険者になるという事の残酷さを教える必要があったからだ。
目の前でいきなり話していた仲間が食われたり切り刻まれたりする。
冒険者として戦場から逃げ出した負け犬に集団リンチで勝ったからと有頂天になるのは現場経験がないからだと切り捨てたのだ。
その為に冒険者として命懸けの迷宮攻略に挑み命懸けの挑戦をする者にその機会を与えようとドラッグは悪い笑みを浮かべたのであった。




