第22話【 港街の都市・ポートフォリオン 】
荷馬車を押しながら港街の都市・ポートフォリオンに向かって歩みを進めながらドラッグからある程度の世界の国について話を聞いたが、リザーナの判断次第になるだろう。
そもそもの話だ。 リザーナの使い魔になってしまった以上、主であるリザーナの決定事項は覆る事は無いだろう。少なくとも魔王・レッドクリムゾンを復活させそうと魔族が活動をしているのであれば少なくともドラッグクラスの冒険者階級の実力が最低限度無ければ対抗できる【戦力】の頭数には入れないというのだ。
魔王・レッドクリムゾンは【紅き閃光の破壊者】と呼ばれいた竜王である。
【閃光の破壊者】の異名は身体から魔力を凝縮させた圧倒的な破壊力を誇る赤く光る光線を全身から放ち全てを破壊した事から名付けられた名だというのだ。
だが、魔王・レッドクリムゾンは300年も前に現れた【勇者】とその選ばれた仲間達によって封印されている筈であった。
現在知られてる封印魔法の期間はドラッグは少なくとも300年程しか封印できる魔法しか存在しないというのだ。
せいぜい、魔力を封じ込めて魔物としての【生命活動を停止させている状態する事】は可能性である。
ただ、逆にいってしまえば、封じ込めている魔力を解放さえすれば足りなくなった魔力を何らかの形で補えば復活させるのは容易い上に簡単だというのだ。
それが【肉体強化】と【武装強化】の魔力操作による魔核への魔力供給である。 自らを鍛える基本的な技術であるがそれさえできれば魔王レッドクリムゾンの封印を解くのに苦労はしないらしいのだ。
だが、それとは別に魔王・レッドクリムゾンを復活させるのに他の魔物とは違い5つの魔核を揃える必要があるのだ。
その魔王・レッドクリムゾンの魔核は封印されているそれぞれの場所で保管されている為に盗み出されたから騒ぎになる筈であるが、明らかに地上に溢れている魔素量の増加は異常事態であるとドラッグは思っている。
「つまりは魔王・レッドクリムゾンの魔核自体は盗まれていないと言うことか?」
「まぁ、厳密にいえば魔王・レッドクリムゾンは魔核さえ5つ用意できれば復活させるのに苦労はしないからな。
ただ、その魔核を嵌め込めるサイズにする莫大な魔力が必要になってくるし、5つのウチ一つは赤の魔核っていうレアな魔核が必要だからわりと復活させるのは面倒くさいんだよ・・・」
理由を聴けば、割りと魔王レッドクリムゾンを復活させるのに苦労はするが手間が多い上にやる事が面倒くさい事ばかりであるが、これにも理由があるというのだ。
魔族は飽き易い性格な為、面倒な作業だと途中でやめてしまうだろうという事を見込んで、『魔族』が魔王を復活させるのに困難な事を条件にしているそうだ。
故に何故、今になって魔物が突然変異で凶暴化しているのかこの異様な魔素の正体をドラッグは探っているのだ。
まぁ、仮に魔王が復活するならある程度装備は充実させたい為に港街の都市・ポートフォリオン行くついでにミックスを鍛えられたらいいと考えていたそうだ。
「ドラッグよぉ。俺はミノタウロスだが、そんな軽い感じで良いのか?」
「良いんだよ。護りてぇなら護る為に知恵を絞る。 護りたくない国や人は敵でしかないだろ?
なら、別にどうなろうが知ったことじゃない。
護りたいものを護る為にどうするか考えて動く。 それが俺のモットーよ?」
ドラッグは飄々した態度でバッサリとした考え方を持っている。 弱肉強食の世界で情け容赦は無用であり、自分に取って大事で無ければどうなっても良いとハッキリと切り捨てられるドラッグを【恐ろしい】と感じ取る事ができた。
少なくともドラッグのパーティーメンバーや気に入ってる人物を見ても受け入れて貰えない差別をされている人物や自分の考えに近い人物を好んでいると思われる。
実際にミノタウロス、蛇身、サキュバス、ドライアドとアルラウネの混合種の魔物とエルフの面倒を見てくれる人間など普通はいないだろう。
どうでもいいものが多いドラッグからしてみれば面白い存在を護ることのが重要であり、自分の出世や母国の為に尽力するよりも好き勝手に生きて気に入った相手に尽力するという考え方である。
何よりもドラッグは【魔物】だから【エルフ】だから【肌の色】などと【差別】をする国王が死ぬほど嫌いのためにフェンナト王国に愛国心よりも魔王が復活したら母国だけ滅ぼされてくれないかな~と軽い口調で恐ろしい事を口に出来る男であるのだ。
・・・それにしてもドラッグと迷宮に探索に出たときは魔物が襲って来たのに今回はまるで気配を感じないのは不思議だ。
ドラッグは懐から喧嘩煙管の火皿に粉を入れると火を着けずに吸い始めたのだ。
ドラッグの喧嘩煙管には火の魔法が付与されいる【付属魔法印】である。
そこに粉薬を入れて燃やしたものを吸い込み、煙を吹かした。【魔除けの香り】という魔物には匂いがキツいものであり、思わず鼻を抑えしまう程だ。
「・・・やっぱり、ミックスは魔力操作が上手くいってねぇから地上じゃ半分くらいの力しか出せないって所か・・・」
「ど、どういう意味だ・・・?」
「ドラッグ!!臭ェぞ!!! テメェしやがった!!?」
風上にいたエレーナも鼻にきたそうで鼻を摘まみながらドラッグに怒鳴りつけてきたのだ。
ドラッグは魔物避けの薬に火を着けただけだというのだ。つまりは魔物である俺とエレーナには匂いがキツいのは当然な事だろうと納得する。
だが、本来ミノタウロス相手にこんな雑魚専門の魔物避けの薬は効果がない筈だというのだ。
エレーナもリザーナに名付けされた事で魔物としての格が上がっているが魔力を使う【肉体強化】と【武装強化】がちゃんと出来ていない為に今の自分らに効果があるというのだ。
つまりは今のままではドラッグには勝てないし、リザーナを護る使い魔として不十分だと言い切ると顎を差し出して小高い道を上がると広い湖に面したエデンの街よりも巨大な港街の都市・ポートフォリオンが見えてきたのであった。




