第208話【幻獣神・ジズ(1)】
「セルマ、アンタ本当にオルティガンとの間に子ども出来たのね…」
「ベラドーナはいい男は出来たのかしら?」
「んや、グラディア王国で屋敷構えて独り身だったぞ?」
「ドラッグ!!アンタ余計な事をいうんじゃないの!何でそう口が軽いかねぇ~?」
あの騒動の後、ドラッグに管理して貰っている屋敷に久しぶりに戻ると妊婦であるセルマとレミーラの面倒をフェローラが見ていた。
ドラッグ曰くガーベラは外でプリンなど甘味系の販売などの仕事を任せており、フェローラは大方の治療技術に関する本を呼んで知識を身に付けている為に何かあった時に直ぐに対応出来るようにしているというのだ。
特にレミーラのお腹のが成長が早いのは旦那であるフォルトが獣人族であるせいでもある。
ドラッグはベラドーナに頬を引っ張られていたが、ディオスとマリアンヌはクスクスと笑っていた。
すると、気になったリザーナがディオスに声をかけた。
「ディオス様は何時までこっちに要られるの?」
「元々、ガルーシャ大洞窟の攻略に時間が掛かると思ってたから後1ヶ月は大丈夫だな。最悪俺が見てやるから安心しろ」
「えっ!?ディオス様って赤ちゃん取り出せるの!?」
「俺が生きてた時代はそういうことできるヤツが少無かったからな~これでも出産の立ち会い経験はめちゃくちゃあるぜ?」
ディオスが薬神であり、他の神々と面識がある為にそれに合わせて銅像を立てられる事になっているが実際のところ問題は山積みのままだ。
旧・フェンナト王国領土内は好きにして良いがレッドクリムゾンと巨人族に無茶苦茶にされ、強い魔素を放っている為に強い魔物や魔獣がその地に根付いてしまっている。
討伐してやろうと思ったが地面の中にもいる為に完璧に駆除するのは不可能だとゴリガンとフォルトの見解である。今のところは俺が作った迷宮の壁に阻まれている為に魔物や魔獣がポートフォリオンを襲撃する可能性は低いらしい。
実際に俺とメルディア、エレーナと上位種に君臨する魔物や魔獣がいる事とリザーナが魔族として覚醒しつつある為に魔物や魔獣も近寄りたがらない。
今のうちに強固な城塞都市国家の建設を始めた方が良いが場所の問題があるのだ。ポートフォリオンの東側の山脈はグランディア王国と隣接している為に城を構えるには不安要素がある。
西側はカルディナ山脈と西の森があり、そこに暮らす有翼族やアマゾネスの部族が暮らす山脈と森が隣接しているが、決して有効的な関係ではないらしいのだ。
「んじゃ、西の連中を納得させて国民にすりゃ良いんじゃね?」
「その納得させるのが難しいんだよ。アマゾネスはエルフ族同様に部族の掟に忠実だし、有翼族もプライドが高いヤツが多いから話し合いにならねぇだよな…」
ドラッグも何度か交渉にいったそうだが魔族と婚姻関係であるドラッグを毛嫌いしている感じあるためにフォルトと伺った事もあるがやはり古い習慣を守るべきだという意見が多いそうだ。
アマゾネスや有翼族 以外にもダークエルフの部族が少数いるらしいが話し合いに応じてくれないという問題があるという。
少なくともリザーナや俺では話し合いにならないだろうし、力になれる事はないのが現状だ。
「そういえば、エルフとダークエルフって具体的に何が違うんだよ?」
「えっとね、血筋かな?エルフの男とアマゾネスの混合種がダークエルフなんだ。上の世代はそういうの嫌うからダークエルフやアマゾネスを嫌うエルフもいるの・・・」
「リザーナ知ってるからあれだけどよ?エルフって色々と面倒くせぇな?」
エレーナの言葉にリザーナはでしょ?と頷くが、普通のエルフよりも柔軟な思考や見解ができるのはほぼ稀だとディオスは腕組みをしていった。
リザーナの母であるリーファンのようなエルフは稀だからリザーナのような子が育ったのだろうという。
ドラッグもそこには同意した。
「まぁ、アマゾネスも頑固だし、ダークエルフも堅物なんだよなぁ~ 」
「良くいうわよ。アマゾネスとダークエルフの女からも求婚迫られた癖に・・・」
「ドラッグもモテるんだね!人間の女以外には?」
「まぁな。ガーベラとフェローラと婚姻してから無くなったからな。ダークエルフとアマゾネスは婿養子として部族に入らなきゃなんねぇからな・・・」
ドラッグは何年か前にアマゾネスとダークエルフから求婚されたが、当時は女よりも金と薬集めに没頭しており断り、その後魔界からガーベラを呼び出して婚姻関係を結んでいる。当然その事を話すとめちゃくちゃ怒られて話し合いにならないらしいのだ。
「それだと有翼族と話し合いなるのか?」
「所が有翼族も姉妹同士で男の取り合いする女社会だからなぁ・・・」
「んー、あ、ならミックス、穏便に暴力で解決しよう!そっちのが手っ取り早くすむよ!?」
「ミノタウロスの俺がいうのもあれだけどな?そんなやり方で差別ねぇ国が作れるわけネェだろ?取りあえずはその3部族に認めて貰える力量見せねぇ事には話し合いにならんって事になるだろ?向こうの面子護るのも王の役割りじゃねぇのか?」
そう言うと、リザーナはポカンっと口を開けていた。他の面子もだが、メルディアも「ミックスはんが一番マトモな事をいってるわ」と苦笑いされた。
実際の所が旧・フェンナト王国が暴力による当地によって納めた国はルイが望む国の形として相応しくない。少なくとも魔物の王に選ばれたからにはそういった事も重要だと旅で学んだからだ。
だが、ダークエルフ、アマゾネス、有翼族の面子を護りこちらに協力して貰える情報がない。そう考えていると何処から強大な魔力が近づいてくる気配を感じ取り子ども達屋敷中に急いで入るようにいい戦斧を取り出して空を睨み付けた。
とてつもない魔力を持った者が近づいてくる気配に身構えた。
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