第207話【新王国建国へその1】
フェンナト王国は差別の国であった。その為に国から出てきたものは貴族や王国民に差別された者も多い。
ダリル伯爵はローランド家とは窮地の中であり、フェンナト王国のこの現状をどうかと常に話題にしていた。
実際に破壊の蛇竜を封じ込めた勇者・フェンナトは国王になってから堕落してしまい、長年愛し合い結ばれたマリアンヌが口煩く邪魔になり手を掛けてしまった為に女神から見捨てられ勇者の力を失った。
結果としてレッドクリムゾンは復活し、フェンナト王国は滅亡し、エデンの街も巨人族達によって踏み荒らされてしまいなくなってしまった。
もしもあの時、ミックスとメルディアがこのポートフォリオンを護ってくれなければ同じ道を歩んでいただろうと2人はいう。それはポートフォリオンの民も生き残ったフェンナト国民も同じである。
ポートフォリオンは多種多様の種族が共存し協力している街でありフェンナト王国のように差別のある国にはしたくないと2人は決めていた。
「同じ過ちは繰り返したくない。実際に海路を使った貿易以外にもクロニアス王国と国交を開けてのはミックス殿達のおかげだ。私もミックス殿が魔物の王になるは賛成派だ」
「待て待て。俺達はまだ巨人族とレッドクリムゾンをラビュリンティスの迷宮に完全に封じ込める旅をしている。王は城にいるものだろ?」
「我々は今後のポートフォリオンの未来の話をしているんだ。魔物だから肌が黒いから差別をする。そんな国にはもうしたくないそれは差別を受けてきた民も同じの筈だ。少なくともミックスとリザーナならば良い。王になれると思うな。リザーナが城から抜け出してミックスがそれを見つけて叱り口喧嘩をする姿を見て民はそれを見て笑う。そんな未来を私たちはみたいのだ」
ダリルとバトラーがそう力説すると、民達もそうだと声を上げた。確かに冒険が落ち着けばそういった暮らしも悪くないだろう。
だが、リザーナも俺も王として学がないと伝えるとメルディアがそこは自分を含めた重鎮達が支えるから気にしなくて良いと笑いながらいう。
しかし、問題はルイを女王にする事に反対する者もいるのではないかと不安であった。すると、オルディガンが人混みを避けてルイに質問をした。
「俺はオルディガン。冒険者ギルドで解体屋をやりながら孤児院をやっている。見ての通り肌が黒くてフェンナト王国じゃ悪魔の肌だと言われ・・・」
「そんな事は絶対にありません!!人は見た目ではありません!!貴方は自分の境遇を悲観せず他者を思いやる事のできる素晴らしい人です。決して悪魔なのではありません!リザーナもエルフですが私の大事な友達なんです!」
「ならいいだろう?なぁ、みんな!このポートフォリオンはミックスとメルディア達に護って貰った。ならこの小さな女王様をみんなで支えてよ。未来の子ども達に差別のねぇ明るい国をみんなで造ってやろうじゃねぇか!」
オルディガンが周りに伝わるように大声をだして民に訊ねた。オルディガンがフェンナト王国時代から孤児院を開くために冒険者をやっていたことを知ってる者や身寄りのない子どもや居場所のない者の為に居場所を造ってくれる。
民はそれをずっと見てきた。少なくともルイが何処の国の出身であろうとオルディガンに掛けた言葉は本心であると分かったからだ。だからこそオルディガンの声には差別を無くす為に行ってきた人柄がある。
「そうだな。オルディガンの旦那も子どもが産まれるんだ。子ども達に差別のねぇいい国を見せてやりてぇ!俺はその子が初代女王様でも関係ねぇ!ポートフォリオンを差別のねぇ明る国にする事に賛成だ!」
1人の男性がそう声を上げるとそれに賛同する声が大きくなっていく。ダリルもバトラーもその様子を見てルイに近づくと目の前で跪いた。
是非とも新たな国の女王になりこのポートフォリオンに明るい未来を子ども達に力を貸してくださいと頭を下げたのだ。
民達もダリルとバトラーに続いてその場に跪いた。
ルイはポートフォリオンの民から新王国の女王として認められたのだ。
ルイは突然の出来事に戸惑った表情を見せたが、リザーナがいつの間に近づくとレオーネの横で跪いた。
ルイはリザーナの顔を見ると微笑み、民に向かって力を貸してくださいと頭を下げると歓喜が沸き上がった。
その様子を見てディオスは多種族が仲良く暮らせる国を天界から見るのが楽しみだと笑うとマリアンヌもかつて悪政となってしまったフェンナト王国など比べ物にならない素晴らしい国ができるだろうを微笑んだ。
すると、リザーナがこちらに駆け寄ってきた。
「んじゃ、魔物の王様は国の建国の為に有り余ってる力で領土拡大と私らとルイちゃんのお城の建設お願いね!暫くはポートフォリオンに滞在して建国の手伝いするよ!ミックスとメルディアは絶対いるもん!!」
エレーナもそれは違いないと笑ったが結局は俺とメルディアに丸投げのようなものだ。リザーナを捕まえて親指と人差し指で頬を摘まむと「にゃにすんにょぉ~」と間抜けな声を出して皆を笑わせた。ダリルとバトラーそして、オルディガンが挑む国の建国が始まる。
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