表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

202/216

第202話【偽勇者の末路】



勇者は世界によっては複数人いる事も珍しくはない。魔王を倒す役割りを国や神から授かった者がなる一種の職業である。

 

 魔王も同じく職業であり、同族を束ね、他種族の魔物や魔獣を産み出す役割りがある。そうすることで世界の均衡を保っていた。勇者とその仲間に討伐される魔王とは違い、勇者にはその後の物語が当然ある。

 

  だが、勇者だからと恵まれた物語が用意されている訳ではない。選ばれた勇者に用意された物語はあくまでも魔王を討伐するまであり、後は勇者として民衆や王族にどう思われてきたかだ。

 

 魔王を倒す力を持つ勇者は人間の枠組みからはみ出した存在であるだろう。

 

  魔王亡き世界では勇者の存在は魔王よりも厄介な存在になる。王族に仇なす存在として国と戦うか、受け入れて勇者を政治的に利用するかのどちらかだろう。

 

 そんな状況下で何が正義で何が悪なのかわからなくなってしまう異世界の勇者は多くいた。

 

 あるものは国にいわれるがまま、他国の侵略の為に力を震い、あるものは平穏を求めて魔王がいた場所に赴き新たな魔王として世界を混沌の世にしようとした者もいた。

 

 ここいる勇者の魂は勇者としての心を失いかつての仲間や愛した国や人々そして、神々を心の底から恨んでいる。

 

 ◇◆◇

 

 ケンタウロスはそういった勇者の恨みが集まった集合体である。並みの勇者は上位魔族と引けをとらない強さを持ち、武器になっている異世界の勇者の魂が元となった武器はそれに共鳴するように造られていた。

 

 一太刀一太刀に人々に対する恨みが込められているのは呪いのような怨念のようなものを感じた。


リリスは逆に魔力が有り余っているからこそ戦い辛いを述べた。

 

元々リリスのモンスターウェポンは武器側の負担が大きいが同じ魔王であり、出鱈目な魔力量を保持している武器を扱うのは初めてである為だというのだ。


『ああ、ウゼェ!ウゼェなぁぁぁ~!!!飛び回りやがっていい加減くたばりやがれ!!!』

 

「ちょっと流石に不味いかな?戦斧(バトル・アックス)での戦闘は久しぶりですもん」

 

『魔力はまだ余裕があるぞ? 俺のせいか?』』

 

 ケンタウロスはクロスボウで弓矢を乱射し、リリスを仕留めようと放ち続けている中、リリスは逆に魔力が有り余っているからこそ戦い辛いを述べた。

 

元々リリスのモンスターウェポンは武器側の負担が大きいが同じ魔王であり、出鱈目な魔力量を保持している武器を扱うのは初めてである為だというのだ。

 

弓矢を戦斧(バトル・アックス)を利用して叩き落とすとケンタウロスは攻撃を辞めた。

 

『あぁ、辞めた辞めた。面倒くせぇしな 』

 

「あら?諦めてくれるの?」

 

 ケンタウロスはそういい放つと、身体を変化させ、ヒト型の姿に変えた。正確にいえばこのケンタウロスもゴーレムである為に変形といった方が正しいだろう。

 

『魔王相手にケンタウロスの姿じゃあ分が悪すぎるからなぁ~ こっちのスタイルのが殺りやすいぜ』

 

「確かにクロスボウを扱う勇者は珍しいわね。二刀流の戦士は多いわね」

 

『あの魔剣、さっき持ってたヤツよりも変な魔力を感じるんだが?』

 

「呪いの魔剣。普通の魔剣よりも威力はあるけど呪われる代物よ? 」

 

 確かここにいる魂は異世界から転移と転生してきた勇者達だった者達の魂だ。



 なによりもこの世界ではない神々から力を授けられたのであれば流石のリリスでも苦戦しても不思議な事でないだろう。

 

少なくとも今はリリスの戦斧(ぶき)だ。 言われた事をやるしか今の自分には出来る事はない。

 

 覚悟を決めてリリスに何でもやると告げると、突如として笑い始めた。

 

 それに激怒したケンタウロスが巨大な大剣を振り下ろしすがリリスはそれを意図も簡単に片手で受け止めてしまった。

 

「まぁ、ここに集められた時点で何と無くレベルはわかってたけどね。これじゃあ、リザーナが考えた【必殺技】を披露する余興相手にもならないわ?」

 

『さっきから黙って聴いてれば俺様は異世界の勇者達の魂を生け贄にして造られたゴーレムだぞ? たかが魔王ごときに負ける筈ねぇだろ?』

 

「あら?他の世界の魔王は知らないけど、私もミックスもあなたが使えるベリアルも神々の力を借りて封印する程度しかできなかったのよ? 」

 

 確かにこの世界の魔王、レッドクリムゾンも巨人族達の王・オルガも封印はされたが倒された訳ではない。

 

 ただ勇者らに封印されてしまっただけの事だという。

 

 現にリザーナの身体であるにも関わらず、大剣を片手で受け止めて動かせないでいた。気の短いケンタウロスはもう片手の大剣を振り下ろしてきたが、それよりも先にリリスはケンタウロスの身体を切り裂いた。

 

 ゆっくりと振り返り、下半身を魔素にして吸収する。

 そして、コツコツと足音を立てて上半身の部分へと近づいていった。

 

『よ、寄るな!!俺様に寄るんじゃねぇよ! 俺様『勇者』様だぞ!?魔王ごときに・・・』

 

「黙れ。この世界の魔王であるリリスが勇者として認めなれば勇者ではない。私には勇者を選ぶ権利がある」

 

 魔王とは種族の王にして世界の均衡を保つの者だ。

 

 ただ神々から力を授かった仮初めの力で成り上がった勇者などこの世界では認められない。他の世界ではどうだったのか知らないが少なくともこの世界で『勇者』の称号を与えられた者は軒並みダメであった。

 

 リリスは戦斧を振りかざすと、サヨウナラと無慈悲に振り下ろして魔力として吸収してしまった。

 





良かったらいいね・ブックマーク宜しくお願いいたします。


誤字脱字等の報告も承ってます。何卒宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ